先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

年内にスペースXで宇宙飛行!

2021年02月08日 10時52分42秒 | 日記

MITテクノロジーレビューによると、『宇宙旅行新時代の幕開け、スペースXが民間人だけの飛行実施へ』という。開発費の調達の出発は、2003年7月1日(17年前)のテスラ自動車の設立で、20年足らずで、膨大な資金がかかる宇宙開発をやってのけるとは、アメリカのイノベーション、恐れ入る。

スペースXは、民間人だけで構成される乗組員と商用宇宙船で地球周回軌道に向かう史上初のミッションを、2021年内に実行する計画を発表した。マスクCEOは「誰でも宇宙へ行けるようになるマイルストーン」だと語るが、当分の間、顧客は超高所得層に限られるだろうという。

スペースXは、既に昨年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを切り抜け、民間企業として初めて、商用宇宙船を使用して宇宙飛行士を宇宙空間へ送り出すことに成功している。

そして、2月1日にスペースXは、軌道を目指す「すべて民間人による」初のミッションを今年中に実行する計画を発表した。「インスピレーション4(Inspiration4)」と名付けられたこのミッションでは、熟練のパイロットであり、デジタル決済企業であるシフト4ペイメンツ(Shift4Payments)のCEO(最高経営責任者)を務める資本家、ジャレッド・アイザックマンとその他3名の搭乗者が、クルードラゴン(Crew Dragon)号で地球低軌道へと送り出される。ミッションの期間は2~4日間、あるいはそれ以上となる予定だ。

インスピレーション4にはチャリティ事業の側面もある。このミッションの単独出資者であり、「指揮官」であるアイザックマンCEOは、メンフィス市のセント・ジュード小児研究病院に1億ドルを寄付しており、さらに一般からの募金を募って少なくともあと1億ドルの調達を目指している。座席のひとつは、すでに選定済みの「セント・ジュード病院大使」のものとなる。しかし残りの2座席に座ることになる人物はまだ決定していない。1人はセント・ジュード病院に最低10ドルを寄付した人の中から抽選で選ばれることとなっており、あともう1人はシフト4ペイメンツが開催するコンペで選出される起業家となる予定だ。

2月1日の発表でスペースX のイーロン・マスクCEOは記者に対し、「皆さんが宇宙へ行けるようになる上で、これは重要な節目となります」と語った。「徐々にコストを削減し、誰もが宇宙へ行けるようにすることは、こういったミッションを通じてこそ可能になるのです」。

インスピレーション4はスペースXが今後数年間に予定している4つの民間ミッションのひとつだ。他の3つのミッションは、スペース・ドラゴンを使用して4人が国際宇宙ステーションに8日間滞在するアクシアム・スペースとの共同ミッション(現在の実施予定時期は2022年1月以降)、同じくスペース・ドラゴンを使用し、ツーリズム企業のスペース・アドベンチャーズ(Space Adventures)を通じて民間人4人を軌道に送り出す2022年実施予定のミッション、そして2023年に予定されている、日本の資産家、前澤友作と7~10人の搭乗者がスターシップ(Starship)号で月周回軌道を目指す#dearMoonミッションだ。

スペースXはこれまで、ブルー・オリジン(Blue Origin)やヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)ほど積極的には宇宙観光企業を自称してこなかった。クルー・ドラゴンが地球低軌道まで到達するのに対し、ヴァージン・ギャラクティックのスペースシップ・ツー(SpaceShipTwo)とブルーオリジンのニュー・シェパード(New Shepard)は準軌道宇宙空間までしか届かない。両社の宇宙船は微小重力状態と遥か上空からの地球の眺めをほんの数分だけ味わわせてくれるにすぎないが、価格は格段に安い。それでもなお、より高価な打ち上げコストとより強力なロケットで遥か遠くを目指すビジネスを構築していく上で、スペースXにはすでに他のどんな企業より4件も多くの民間ミッションが確約されているのだ。

スペースXが昨年、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士を初めて宇宙へ送り出したとき、思い浮かんだ大きな問いのひとつは、NASA以外の一般人が実際に宇宙旅行に興味を示すか否かということだった。

ワシントンDCのアメリカン大学の宇宙政策専門家であるハワード・マカーディー教授は、「多くの人が、宇宙旅行には市場が見込めると考えています」と語る。「しかし現時点では、宇宙旅行の顧客は超高所得層に限られています。輸送能力の改善に伴うコストダウンが期待されますが、そうなった場合、新規の宇宙企業を宇宙観光事業のみで維持できるでしょうか。私は、不可能ではないかと思います」。

ならば、スペースXの民間ミッションへの進出がこれまでのところ非常にうまくいっているのはなぜだろうか。今現在スペースXが持っている提携先ブランドとしての魅力の高さが一因となっていることは間違いない。しかし、民間ミッションを収益性の高いベンチャー事業に変えるような市場がすぐに現れなくても、スペースXは心配する必要がない。収益を上げる方法は他にもたくさんあるのだから。

「イーロン・マスクCEOが、宇宙観光ビジネスで利益を出せるかどうかを気に掛けているようには思えません」とマカーディー教授は言う。「しかし彼は、自らの事業をうまく活用して資金調達をすることに非常に長けています」。スペースXは、政府や世界中の民間顧客のために衛星の打ち上げを手掛け、NASAと契約を結んで国際宇宙ステーション向けの貨物や宇宙飛行士の輸送を請け負ってもいる。スターリンク(Starlink)衛星群の配備も急ピッチで進めており、今年中にインターネットサービスの提供が始まるはずだ。

「ロケットと宇宙技術の一足飛びの進歩に基づく事業で、複数の収益源とビジネスを持っていることは、かなりのリスク低減になります」とマカーディー教授は語る。「宇宙観光市場は民間宇宙企業を維持できるほどには大きくありません。公共事業の受注や民間投資、海外売上高を組み合わせて初めて持続可能な事業となるのです」。

宇宙観光、特に地球低軌道を目指す宇宙旅行は、当面のあいだ信じられないほどの高価格が続くだろう。そこで浮かび上がってくるのが、公平性という課題だ。「もし我々が宇宙進出を果たすなら、その『我々』には一体誰が該当するのでしょうか」とマカーディー教授は問う。「『我々』というのは、上位1%の人の中のさらに1%に過ぎないのでしょうか」。

抽選という発想は、この課題にある程度は対処可能で、一般人にチャンスをもたらしはする。だが、それだけでは不十分だ。宇宙観光産業は依然として、より多くの人々を招き入れることのできる持続可能なモデルを必要としている。

今のところ、宇宙旅行の普及に向けた取り組みはスペースXがリードしているようだが、競合他社は必ずしも同社のビジネスモデルを正確になぞる必要はない。ドイツ在住の宇宙観光専門家であるエンブリー・リドル航空大学のロバート・ゲーリッヒ助教授は、宇宙観光自体が、準軌道フライト、軌道フライト、宇宙ステーションへのフライト、宇宙ホテルに宿泊するフライト、月を目指すフライトなどの形で既に多角化していると指摘する。たとえば比較的安価な準軌道フライトなど、あるひとつの事業形態の市場が、必ずしも他の事業形態と同じ制約に直面するとは限らないのだ。

それでも、2021年が民間ミッション実現の年となる可能性があることに疑問の余地はない。「私たちは長いあいだ宇宙旅行を待ち望んできました」とマカーディー教授は言う。「今年は、期待通りにことが運ぶかどうかを試すチャンスが得られるでしょう」。


NTT東が無人ストアを全国展開

2021年02月08日 07時00分48秒 | 日記

 

 

NTT東がそのWeb サイトで、『人口減少社会の到来を見据えた「スマートストア」を本社ビル内にオープン~無人×ICTによる非接触購買と店舗運営の効率化を目指して~』と発表していた。日本は、小売業での、IT 化でも出遅れている。それでどの程度の革新的なものかサーベーしてみた。当面の対象は、NTT 内のショップと従業員向けの様であるが、それは容易に一般向けに拡張できるだろう。無人店舗で、顧客もスマホで決済するもので、AmazonGoなどではすでに実現していて、普及促進の段階にある。それゆえ、後発も良い所であることもあるから、通信周りではより実現性が高く、近い将来、広範な小売業界で受け入れられるのでは?

一言注文を付ければ、商品の読み取りはバーコードベースだが、より進化した、RFIDの利用が施行できなかったものだろうか?RFIDにすれば、仕入れ、在庫管理、カート入れなどが正確に出来る。ただ、RFID タグ、依然高価で1枚100円はしているが故、実用化の目途が立っていない。NTTのような大企業が取り組むべき課題では?

 

  • 東日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、以下 NTT東日本)は、労働力不足の解消ニーズや新型コロナ禍における非接触ニーズを受け、入店から商品選択、決済までをスマートフォンで完結する「スマートストア」の実験店舗を、2020年11月19日(木)からNTT東日本本社ビルにオープンします。
  • 非接触型決済に加え、店内のカメラ映像を当社のアセットである通信ビル内に伝送し購買行動を分析することにより、販売事業者の商品仕入れの効率化や利用者属性に応じた商品ラインナップの充実を図るとともに、地域商店のパン等を取り扱うなど、地域に根差した当社ならではの新しい無人ストアの展開のサポートをめざします。

1.背景と目的

日本の少子高齢化率は主要先進国で最も高い水準にあり※1、なかでも小売・卸売業は、製造業と並んで産業別の労働人口が多い業種となっている※2ことから、労働力不足が深刻化していくことが予想されます。

また新型コロナウイルスの影響により、来店客と従業員の双方の安全と安心を守るため、人を介さない現場オペレーションや購買行動が求められています。

NTT東日本では、このような社会課題や環境の変化を踏まえ、無人でも運営可能なスマートストア※3の実現に向けた実証実験を開始し、人口減少社会、そしてニューノーマルの時代に即した社会システムの実現をめざしてまいります。

  • ※1内閣府「高齢化白書」
  • ※2総務省統計局「労働力調査(基本集計)2020年」
  • ※3陳列や清掃は人手により行います。

2.取り組みの概要

スマートフォンのアプリにより、入店から商品選択、決済までが完結することで、レジ待ちをなくし、密接・密集を避けた非接触の購買を実現します。

運営においては、当社のアセットを活かした以下の特徴により、人口の少ないマイクロマーケット※4でも成り立ちうる、軽量のスマートストア運営モデルを検証してまいります。

<主な特徴>

  1. (1)購買データ、AIカメラ解析による来店、販売数予測および陳列等の改善
    当社通信ビルや高速ネットワークの「閉域網でセキュアな環境」という特性を活かし、店内のカメラ映像をプライバシーを確保したうえで解析し、利用者属性にマッチした店舗作りを実現し、商品の仕入れ、棚割りの効率化を図っていきます。
  2. (2)非接触によるお客さま対応
    利用者および事業運営者のサポートについて、当社のロボットやコールセンターを活用し、非接触による接客を行います。
  3. (3)地域店舗との連携による作りたて商品の販売
    商品には、定番の飲料や菓子類、文具、書籍などの他、地域店舗と連携し商品(焼きたてパン等)を扱い、利用者ニーズ、店舗価値を高めながら、地域の販路としての役割を担う※5こともめざしてまいります。
  4. (4)物流拠点としての通信ビル活用
    通信ビルの空きスペースを物流拠点とし、車両によって社内実験店舗へのラストワンマイルの配送を行うことで、保管や配送の効率性、費用低減の検証を行ってまいります。
  • ※4小さな商圏を意味しています。
  • ※5販売、運営は、当社と共同実験契約を締結する事業者様が行っています。

<イメージ>

3.今後の展開

実証実験の結果を踏まえ、当社の旧窓口などにおいて、社員や地域のお客さまが利用できる店舗や、人手不足などに課題を抱える事業者様との店舗展開を実現してまいります。

また、カメラ映像の解析と重量センサーを組み合わせることで、誰がどんな商品を手に取ったかを認識し、自動的に決済が完了する、よりよいユーザ体験を実現する店舗の提供も検討しています。

通信ビルやコールセンターは、通信サービスの提供に欠かせないものですが、そのようなアセットと最新のテクノロジーを掛け合わせ、ニューノーマルの時代にあった地域のスマートストア展開を目指してまいります。