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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

「コリアに平和の道を」 東京朝鮮中高級学校文化祭

2018年06月23日 | 日記
こ6月17日(日)東京朝鮮中高級学校の文化祭が開催された。わたくしは午後別の予定があったため、10時開幕ということで朝一番に十条に行った。この学校には「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の集会で2回ほど行ったことがあるが、生徒と接するのは初めてのようなものだった。

朝鮮半島情勢はこの1年半ほどで劇的に変化した。いまにも戦争が始まりそうな国際包囲網、安倍首相の「恫喝」と「最大限の圧力・制裁」が一変した。2016年秋からのキャンドル革命による朴槿恵(パク・クネ)政権の訴追と逮捕・裁判、文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生、南北対話、平昌(ピョンチャン)冬期オリンピックでの南北合同チームと統一旗での入場、38度線を越えた4.27板門店宣言、そして6月12日の米朝首脳会談での「朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築」と「朝鮮半島の完全な非核化」に向けた共同声明である。朝鮮戦争の休戦から終戦へ、さらに平和条約締結という道筋も見え始めた。
受付横では祖国情勢、民族教育展示会というタイトルの展示が行われた。メインは4月の4.27板門店宣言、金・文の2人の首脳が共に板門店の国境線を越えてできた宣言だ。「平和 新しい時代の幕開け」というタイトルが踊り、「世界各国の声」も展示されていた。
朝高生の一日、一週間、年間行事の解説展示もあった。文化祭(6月)、運動会(10月)、校内合唱コンクール(2月)など、日本の高校と同じ行事もあるが、「祖国講習」(8月)は民族学校ならではだ。1学年5クラス、120―130人だそうだ。
「朝鮮の芸術団」では、牡丹峰(もらんぼん)楽団、青峰(ちょんぼん)楽団、万寿台(まんすで)芸術団などが紹介されていた。大型ディスプレイに公演が映されていたが、平昌オリンピック成功祈願イベントのものだそうだ。
展示は、1年生は冷やしうどん、焼肉丼、焼きそばなどの売店、2年生は歴史、3年生は美術という分担になっていて、3年は来月修学旅行で平壌へ行く。平壌への修学旅行は茨城朝鮮初中高級学校の「蒼のシンフォニー(朴英二〈パク・ヨンイ〉監督 2016)をみて知っていたが、「制裁一本やり」の安倍政権の下、高校生の平壌訪問もできなくなったかと危惧していたので、続いていてよかったと思った。
また文化祭は当初6月10日開催の予定だったのが、チラシにも17日に延期された跡があり、これはひょっとすると12日の米朝会談の結果をみてからという考えからかとも思ったのだが、受付で尋ねると、梅雨入りの時期なので、天候の関係でずらしただけとのことだった。

売店は1年生が冷やしうどん(300円)、クレープ(200円)、焼肉丼(400円)、スムージー(200円)、焼きそば(300円)、タピオカ(200円)、ラーポッキ(400円)、キムチチャーハン(400円)などクラスごとに異なるメニューのものを色とりどりのテントの下でつくって売っていた。日本の学園祭でもよくみかける光景だ。

大きな多目的ホール(食堂)では、美術部と3年生の共催で「進む展」という美術展をやっていた。一番目立つのは、会場まんなかの「想いは昇り」という3年生の共同制作だった。青い地から青と白の風船がいくつも天のほうに上がる。真ん中には天に届く柱がある。よくみると足跡で、3年生全員の「自分の想い」が書かれていた。わたくしはハングルが読めないがひとつだけ「コリアに平和の道を 統一」と日本語で書かれたものがあり、これはわかった。
朝鮮半島は今、非核化、統一に向けて行動を起こしている(略)朝鮮学校の生徒たちはどんな思いを馳せるのか。彼らの思いは天高く、これから目の当たりにする未来に向かって進んでいく」との紹介が添えられていた。たしかに歴史的な瞬間に居合わせた3年生だ。
 白いひなげし畑のなか、チマチョゴリを着た白鳩が赤いツメの鷲(?)に連れ去られようとしている絵も強く印象に残った。


2階の教室では、白頭山、開城・板門店、京畿道・ソウル、済州島、平壌の5つの朝鮮名所の展示があり、写真を撮れるようになっており、また自分の名前をハングルで書いたパスポートをつくり、各教室でスタンプを押すシステムになっていた。白頭山の部屋には、頂上にある「天地」(チョンジ)というきれいな池の模型などがあり、初めに入った部屋のせいもあるだろうが、充実していたように思った。池の水を一口飲むと100年生きられるという言い伝えがあると生徒に教えてもらった。また1938年の金日成の抗日抗日パルチザン活動の記念碑があるそうで写真があった。

わたくしが一番興味深く見学したのは1階の「朝日友好の歴史」という展示だった。歴史的なものでは、朝鮮通信使、鬼ノ城(岡山県)、奈良、高麗神社、あきる野市(妙見宮が百済様式の建物)など。朝鮮通信使、高麗神社は知っていたが、朝鮮様式の山城・鬼ノ城(岡山県)、あきる野は知らなかった。最近のものではイギョラ杯(東京で行われる国際友好親善ユースサッカー大会)、枝川裁判、ミレ(枝川朝鮮語講座)、サランの会長谷川和男代表の全国朝鮮学校訪問、高校無償化裁判への協力など。「友好的な日本の芸能人」ではアントニオ猪木議員とデビ夫人が取り上げられていた。
トップは1990年9月28日の金丸信(自民)、田辺誠(社会党)、金正日(朝鮮労働党)の三党共同宣言で、日本の朝鮮への「公式的な謝罪」と補償」を明言している。これ以降、どんどん情勢が悪くなった。海部首相の時代だったが、考えると28年前のこの時代がピークでどんどん後戻りしている。
その後、小泉訪朝の日朝平壌宣言(2002年9月)、安倍政権下で採択された唯一の合意文・ストックホルム合意(2014年5月)があるが、拉致・核・ミサイルで関係はどんどん悪化した。
 
最後に、東京朝高無償化裁判「スンリ基金」の募金箱を見つけた。ほんの少額だがカンパのお金を入れた。 
わたくしは11時過ぎに学校を出ないといけなかったのだが、昼前後から特設ステージで舞踊、テコンドー、歌舞、合唱が披露され、グラウンドでは12時キックオフで明大中野や法政二高とのサッカーの試合が行われたはずだ。
少しだけ男子高校生8人の合唱を聞くことができた。打楽器8人、弦楽器2人の伴奏付きだ。女子の合唱や舞踊はよく見ていて、美しさに感動したが、男子の合唱も力強いものだった。

次回はもう少し余裕をもって音楽や舞踊もみて、生徒ともう少し話したいと思った。
そのときは、いまより日朝関係はよくなっているだろう。トランプがいうように、韓国や日本が経済支援するようになれば、さすがに朝鮮学校にだけ停止している高校無償化も止める理由はなくなり、一般の高校生と同じ「待遇」になっていることを期待する。
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