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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

08年卒業式・入学式闘争を終えて

2008年05月02日 | 集会報告
4月27日午後、水道橋の在日韓国YMCAで08年卒業式・入学式闘争 総括と今後の方向という集会が開催された(主催 石原・都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネット 参加150人)。今年は2003年の10.23通達から5回目の卒入学式、今年も卒業式で20人の教員が処分され被処分者は累計408人となった。都教委包囲ネットが力を注いだ、根津公子さんの解雇阻止に成功したことが大きな成果として挙げられる。

1 卒業式・入学式の状況
●被処分者について  高校卒入対策委員会
今年の入学式では、停職6か月2人、減給6か月2人を含め20人の教職員が処分され、2人の教員が今回の処分を理由に再雇用・再任用・非常勤教員の採用を取り消された。また処分を受けた3人だけが非常勤教員不合格になり、うち1人は時間講師を申し込んだがそれも認められなかった。退職後生活できないということだ。2月7日の嘱託不採用訴訟判決で権利濫用が認定されたにもかかわらずこの措置である。入学式でも現時点で2人処分されそうである。 今年は例年以上に自分の学校から処分者を出さない傾向が強くなり、受付など外に出すことがこれまでになく徹底して行われた。また受付を命じられた嘱託の教員が徹底的にマークされ、トイレに監視役がついてくるといった個人へのいやがらせまで起こった。また一度も処分されたことのない教員が、裁判の陳述書を書いただけで嘱託を更新されないということも起こった。生徒の内心の自由への侵害もみられる。司会の進行表には「不起立の生徒がいたときは起立を促す」との記載があり、ある高校では「全員起立するまで式を始めるな」と書いていた。
●豊島区の小学校教員 不起立で処分は受けなかったが異動になった。入学式に「当日勤務」が命じられ行ってみると、地域の人でもない外部の人が君が代のピアノ伴奏をしており驚いた。前の学校には3年在籍できた。それは地域の人が不起立を応援し支えてくれたことが大きい。新しい学校でも地域の人とのつながりをつくっていきたい。
●八王子市の中学教員いままでは市教委から1人が派遣されたが今年は2人に増えた。しかも副校長の隣に座っていた。不起立を現認する副校長を監視する役割のようだ。税金のムダづかいともいうべき、くだらない仕事だ。
●河原井純子さん 6回目の処分で停職6か月の処分を受けた。以前勤務していた七生養護では教員が職務命令書を受け取らない抗議行動があった。しかし八王子東養護では「職務命令書を校長室まで取りにくるように」と校内放送されると列をなして取りに行き、国旗も国歌もない予行演習ですら全員起立する状況になった。「あっ、都教委は、自ら進んで立つ教員を望んでいたんだ」ということに気がついた。停職期間には昨年と同じく全国行脚し、若者たちと話し合いたい。
●今春定年退職した高校教員 三十数年前、教員になり赴任した高校の入学式には日の丸があった。卒業式では先輩が働きかけ、職員会議での2時間の激論の末掲揚をやめることにした。2校目に転勤して1年後、今度はわたしが提案して掲揚をやめることにした。国旗は戦後ずっと掲揚されなかったわけではない。教員の必死の努力でなくなっていったことを知ってほしい。ところが99年の国旗国歌法以降掲揚されるようになり、わたしはその時間だけ会場の外に出ていた。10.23通達以降それもできなくなった。今年、わたしにとって初めてで最後の不起立をし、処分を受けた。 今後も国旗国歌反対運動の「聖なる火」を次世代がつなげていってほしい
●入学式で不起立した高校教員 今年、1年生の担任になり入学式で不起立をした。不起立の理由を「そんなに自信がないの?ストーカーみたいなことはやめて!コーディリアに伴われたリア王になっちゃうよ」と生徒にわかる言葉で短いプリントにした。この問題は少数者の人権の問題ではない。社会全体への侮辱である。そういう思いが臆病なわたしを支えている。
●卒入学式のビラ撒き退職して2年目になる。今年も多くの高校のビラ撒きに参加した。多摩地区のある高校では、校長がビラ撒きを本心からいやがり、校門に入ったところで主幹が生徒や保護者からビラを回収しそのままゴミ箱に投げ捨てていた。 今年は、スーツ姿で校門前に立ち、ビラ撒きを終了してから教員に「ありがとうございました」と声をかけ、わたしの陳述書を渡すよう心がけた。いろんな場所でいろんな人に働きかけ「国旗国歌にはどうも問題がありそうだ」と少しでも思ってもらえれば、ビラ撒きは成功なのではないかと思う。
●神奈川県高校教員神奈川県では、東京より遅れて04年に県教委から起立が通知され、05年から不起立者の氏名収集が始まった。これに対し、教員16人が県の個人情報保護条例に違反すると、県の審査会に異議申し立てを行い昨年10月違反が認められた。県は、条例のただし書きにある「例外的取扱い」に当たると審議会に諮問したが、今年1月ふたたび「不適当」との判断を下した。それなのに松沢知事は「わたしの考えとは違う」と述べ、今年も氏名収集を強行した。条例を形骸化し、暴走を正当化する行為だ。昨年は不起立者が44校73人だったが、今年は54校82人に増えた。
●門真市教委と北海道・芽室町教委への抗議声明大阪の門真市立第三中学の卒業式で170人の卒業生と担任の大半が不起立だったことを産経新聞が3月27日付け紙面で大々的に報道し、4月7日の入学式には職務命令が発出された。一方、北海道・十勝の芽室町小学校の入学式で在校生の半数ほどが不起立したことを十勝毎日新聞が4月11日に記事にし、町教委は校長宛に「教員に対する国旗掲揚・国歌斉唱の指導の徹底」を通知した。 これは2000年の産経の国立二小卒業式へのキャンペーンと酷似したマスコミの攻撃である。国立の場合、被処分者が4つの教職員組合分会に分かれて所属していた。団結重視で外部へのアピールをしにくい事情があり、こちらも有効な反撃策を打てなかった。 いうまでもなく児童生徒には、自ら考え判断し行動する権利がある。保護者や市民をまきこみ抗議運動を展開し、子どもの権利を拡大したい。都教委の姿勢と同じ行動に対し「職務命令を出した門真市教委と校長への指導文書を出した芽室町教委に対する抗議声明」を集会参加者一同で採択した。

第2部 根津さん解雇阻止の闘い

●河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会 佐藤丈夫さん
この10年根津さんは、生徒、同僚、地域の人、究極は組合からも分断孤立する都教委の攻撃にさらされてきた。今年はそれを取り返す闘いだった。 2月以降都庁前には合計1500人もの支援者が押し寄せ、激動の2か月となった。その過程で弾圧する側と考えていた都庁職員が、警備の人も含め働く仲間であることがわかってきた。都庁に仲間が増え、わたしたち自身も学び変わった2か月だった。一方組合は動かなかった。2月2日の日教組全国教研で根津レポートの発表が排除された。しかしわれわれは町田教組の「根津公子さんを解雇させるな!」というレポートを復活させた。「解雇させない会」はもともと根津さんの元の職場の同僚が始めた会だ。組合が動けばこの攻撃はぶっとばせると思う。
●根津公子さん
10.23通達直後から都教委は不起立3度で解雇というウワサを流した。07年3月停職6か月処分を受けたとき「あと1年でクビだ。クビにさせないためにはどうすればよいか」を考えた。復職した10月から具体的な活動を始めた。すると都教委は2月1日トレーナー着用でわたしを事情聴取した。職務専念義務違反だと思っていたら職務命令違反が付け加わっていた。3月の卒業式を待たず、これでクビにする気かと思った。 大勢の方からサジェスチョンをいただき、攻撃を受けたらまず多くの人に知らせることを心がけた。わたしたちにとってもインターネットやメールは大きな武器になる。同僚にお願いして時間休を取り、連日夕方都庁で行動した。意見広告やマスコミ報道も大きな力になった。また町田教組や組合の人も行動してくれたので、都教委も組合が動いていることがわかったはずだ。3月31日には絶対クビだと思っていた。副校長が呼びにきたとき、心は覚悟できていたが体は震えていた。だれかいっしょに行ってほしいというと、なんと5人の方が同行してくださった。クビではなく停職6か月処分だった。わたしにとっては解雇を阻止したことが99%だ。 今後は、10.23通達を白紙撤回させるとともに、次の処分を停職3か月にする運動を繰り広げたい。闘いは力関係だ。いままで一方的に処分の階段を上らせられたが、今度は階段を下りる番だ。都教委の目標は不起立ゼロだ。しかしそうはなっていない。都教委がいちばんいやがることをみんなでするべきだ。クビにはできないのだから。
その他、ビラ撒き行動監視の応援に参加した平松真二郎弁護士、鶴川二中の所在地である町田教組の方や南大沢学園の同僚の発言があった。停職6か月の根津さんと河原井さんへの生活資金として会場カンパを行い、集まった6万4000円に包囲ネットからのカンパを合せて、二人に手渡された。
最後に伏見忠さんから「起立の強制が定着しつつある。意識した個人が創意あふれる行動をしているが、多くの教員が共有するものとはなっていない。これは組合が不起立を『個人の問題にすぎない』とし、賃金問題しか取り組まないせいだ。個人の点と点を線にし、面にする闘いを巻き起こしたい。いま多くの職場では不起立はタブーで、論議すらできない。積極的に職場の仲間に語りかけ、説得し、いっしょに抵抗する方法を考えたい。今年の被処分者の半数が初めての不起立だった。 多くの教員が闘える運動をつくり個人を守る運動にしたい」とのアピールがあった。

☆討論のなかで次の報告があった。文科省は4月21日新・学習指導要領へのパブリックコメント5679件を庁舎内据置で公開した。21分冊のファイルをみると「国旗国歌は当然だ。反対する教師は処分すべき」「唱歌や童謡を通して愛国心を身につけさせてほしい」など95%以上が国家主義的意見だった。同一の文章が100通、200通単位で存在し、パブリックコメントというより政治活動そのものだった。現在5月24日締切で「国を愛する態度の教化に関するパブリックコメントを募集している。ぜひ積極的に応募してほしい。
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