金精峠
峠に登り着いたのが午前1時ちょうど、漆黒の樹林を抜け出れば、そこはランプ無しでも歩ける明るさです。
煌々と地上を照らす月は満月を二日ほど過ぎたばかり。
まずはここで男体山を入れてオリオン座を狙います。
一発目、モニターで確認してホワイトバランスなどの設定を調整します。
僅かにクリーム色の月のため、ホワイトバランスをデイライトままでは画面全体が黄色みがかってしまいます。
戦場ヶ原をガスが覆っているのが分かります。
問題発生
ホワイトバランスをオートに変え、ブルーが強く出るように調整してOK。
このとき、ローパスフィルターにゴミが付着していることに気づきました。家を出る前にローパスフィルターを掃除したのに・・・。
さてどうしようか? ブロアーは持ってきていないし・・・
ローパスフィルターにライトを当てて覗いてみると、やはり大きなゴミ?唾が付着したような汚れが見えます。
絶対にやってはいけない事ですが、強い風の吹く山の中で、ティッシュを棒のように依って汚れをふき取ります。
が、うまくはいきません。 ここまできて万事休すか・・・
こんどは、持ち合わせたレンズ拭きの布でローパスフィルターを拭ってみると、どうにか汚れをふき取ることは出来ました。
問題はここからです。 ティッシュを当てた時に着いたであろう細かいゴミを吹き飛ばさねばなりません。
つばが絶対に飛ばないように、ローパスフィルターへ向けて強く息を吹きかけます。
もしもローパスフィルターに傷がついたなら・・・ 下山したら修理に出そう・・・
もう午前1時半になってしまいました。 先へ進みます。
金精山山頂
金精山直下の急斜面を慎重に登れば間もなく山頂です。
午前2時、山頂へ いつの間にかシリウスも男体山の上に輝き始めていました。
その大犬座のシリウスとオリオン座のベテルギウス、そして女峰山の上で輝いている子犬座のプロキオンとで冬の大三角形の出来上がりです。
国境平
深い樹林の中にポツリと広がる笹の原、いまは月明かりに照らされた不思議な世界。
ダケカンバの白い木肌が月明かりに浮かび上がります。
夜空を覆いだした絹雲を透かして、いまはふたご座にいる木星がひときわ明るく輝いています。
五色山山頂
午前3時 五色山に立つとそこは想像以上の強い西風が吹いています。
男体山の奥、遠くの町明かりも見えてきました。
前白根山
前白根山に近づくと、西風はさらに強く吹いています。
午前4時、 西に傾いた月は白根山の真上に、 冬の大三角形もすっかり高く登りました。
白根山と五色沼を入れてイメージしていた構図をフレーミングしようと、山頂の西側を探し歩きます。
確かこの辺りのはずだが・・・ 暗くてファインダーの隅まで確認できません。
あきらめて前白根山を後にします。 午前4時を30分も過ぎてしまいました。
月明かりではっきりとは分かりませんが、もうじき薄明の始まるころです。
東の地平線の辺りが茄子色から薄っすらオレンジ色になってきました。
Nikon D700 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR GITZO三脚