エドワード・ルトワック氏のフォーリンアフェアーズ誌に掲載予定の論文が注目される。中国はドイツと同じ誤りを繰り返そうとしているという。これは、第二次大戦でドイツが米国に宣戦布告して自滅的な二正面作戦をとって敗北したことを指しているのではないかと思われる。「現在の共産党指導層は、戦前の日本軍のようなものであり、全体のコースは変えられないと思う。米海軍校毎年留学生を送っていた日本軍の一部には、当然、米国との戦争が無謀であることはわかっていた。しかし、そうした見解は軍の方針とはならなかった。それと同じことである。」とのコメントも、ドイツと同様の日本の無謀な戦略を指摘したものである。しかし、ヒトラーが第二次大戦で対米宣戦布告したのは、戦争でわざと負けて旧プロイセン王国のプロテスタント地域をソビエトの支配下に追いやり衰退させ、カトリックのバイエルンやオーストリアをアメリカ等の支配下で繁栄させるという戦略があったのではないかとおもわれる。欧州の第二次大戦は1618-1648年の三十年戦争と同様のカトリックドイツとプロテスタントドイツの内戦だったのだろう。そして、ヒトラーの戦略は見事に成功した。ヒトラーがバイエルンとオーストリアの国境地域で生まれ育ったことを考えれば、彼はカトリックドイツの手先であったと思われる。日本が対米宣戦布告したのも、戦争でわざと負けて朝鮮半島や満州、台湾といった貧しい植民地を切り捨て、日本本土だけの国となって米国の衛星国となり繁栄するのが目的であったと考えられる。その戦略は見事に成功した。成功しすぎたために、1990年代に米国が日本を仮想敵国と認識して激しく攻撃したことは記憶に新しい。この様な背景を考慮に入れると、エドワード・ルトワック氏の主張は、中国も米国にわざと負ける戦略をとろうとしていることを示しているように思われる。中国では沿海部大都市の富裕層が支配階層であり、広大な内陸農村部の農村戸籍者が被支配階層であって、その間の格差は巨大である。中国支配階層はジャスミン革命でわざと共産党政権を崩壊させ、貧しい内陸部を切り捨てて、沿海部の親米・親日都市国家として生き残ることを計画しているのではないかと私は想像している。この戦略は、中国人の大部分が貧困状態を継続することで、世界の資源需要が小さくなる点で日米欧などの先進国にとって有益である。 . . . 本文を読む
園田義明めもで取り上げられた日経の米中のアジア勢力圏争いの地図は興味深い。アジアタイムズの記事も、来るべき多極化時代は不安定であり、特に米国の一極体制が崩れる2020年から多極体制が安定する2050年までの30年間が危ないと指摘している。これらはアメリカ発の情報であろう。ただ、陰謀愛好者の私は少し違った見方をしている。 アジアタイムズの記事では、第一次世界大戦の引き金を引いたセルビアの役割を孤立したミャンマーや北朝鮮が果たす可能性が指摘されている。日経の記事でも北朝鮮とミャンマーは最も親中的で危険とされている。しかし、北朝鮮の建国には帝国陸軍が深く関与しているという噂がある。ミャンマーも同様に、帝国陸軍がその建国に間接的に関与している。総本家の中国も日本の支援で潤う上海閥が大きな勢力を保っている。これらの親中国勢力は実は全員が帝国陸軍の後継者ではないのかというのが私の想像である。 明治維新以降の日本には大きく二つの勢力が出来た。一つは脱亜入欧派であり、帝国海軍が属する。もう一つは、中国などのアジアと手を組んで欧米に対抗していこうという勢力であり、帝国陸軍が属する。戦前の日本で海軍と陸軍の仲が悪かったのは当然だ。真珠湾攻撃はアジア切り捨ての帝国海軍派戦略であり、戦後も日本はそれを継続した。それが完成し日本が欧米に完全に追いついたのが1980年代であるが、その後日本は米国から激しい攻撃を受ける。やはり、日本単独で欧米に追いつくには無理があったのだ。その後、日本は中国の上海閥支援を強化し、中国が高度成長を遂げ、欧米は世界の主導権が徐々に東洋に移動していることを認め始めている。帝国陸軍はやっと第二次大戦に勝利しつつあるのだ。今後は、日本が中国などの東アジア諸国をどこまでコントロールできるかがアジアの安定の鍵になっていくだろう。 ちなみに、私がアジアで一番軍事的に危険だとみなすのは韓国、パキスタン、イスラエルである。この三カ国はいずれも強大な仮想敵国に包囲され孤立しており、軍事力でそれを解決しようと言う誘惑に駆られやすいからだ。韓国の北朝鮮侵攻は米中戦争という第三次世界大戦に直結する。この韓国を如何に安全に滅亡させ、旧帝国陸軍人脈からなる安定した東アジア大陸統治システムを作っていくかが日本にとって最も重要である。 . . . 本文を読む
昨年、習近平国家副主席が無理矢理天皇と会見し日本の外交的敗北が報道された。そして、今年は習近平氏が中華人民共和国中央軍事委員会副主席に選出されて次期最高指導者に確定するのと時期を同じくして尖閣諸島で紛争が発生し、日本の更なる外交的敗北が報道された。日本は一見、外交的に敗北ばかりしているように見える。しかし、冷静に見れば習近平は上海閥・太子党の派閥所属であり、江沢民の後継者である。江沢民が表向きは反日を激しく叫びつつ、裏では日本との協力関係によって上海などの沿海都市を大発展させたことを考えるならば、習近平の次期最高指導者確定は日本にとって有益と考えられる。そして、彼が次期最高指導者就任確定の前に天皇との会見を強く希望したことは、天皇に承認を受けることが中国最高指導者就任の必要条件であることを意味している様に思われる。西力東漸以前の東アジアでは、中華帝国の皇帝は属国で新王が即位する度に册封使を派遣し新王を承認した。今や東アジアでは皇帝を名乗る君主は天皇だけであり、その歴史の長さと日本の国力と外交方針の正しさは群を抜いている。中国はもはや日本の属国に転落し、日本による册封なしには正統性を保てなくなったのではないかと私は妄想している。そして、この日本の外交的大勝利を隠すために天皇会見ごり押し事件と尖閣問題が演出されたのではないかと考えている。 . . . 本文を読む
谷口智彦氏は、中国から北海道・千島近海を抜けて北米西海岸に至るシーレーンと、南西諸島周辺海域・フィジー近辺を経て南米に至るシーレーンの二つのシーレーンの重要性を取り上げている。事実、中国から北米西岸への貨物船は対馬海峡・津軽海峡を経て北海道・千島列島の南海上を行き来している。また、谷口智彦氏は中国のアイスランド支援を取り上げて北極海航路への布石と認識しているが、このシーレーンも北米西海岸に至るシーレーンと日本近海では同じ場所を辿る。この三つのシーレーンは日本近海を経由しており、中国の対外貿易に非常に重要であることから、今後制海権を巡って日本陣営と中国の間で激しい競争が起きることが予想される。
その他、中国はユーロ圏のPIGSと呼ばれる問題国家のうちで、ギリシャとポルトガルは支援を表明しているが、アイルランドに対しては支援を表明していない。このことは、中国が南シナ海・インド洋・紅海・地中海を経てオランダのユーロポートに至るシーレーンを支配しようと考えていることを示していると思われる。既に中国はミャンマー・スリランカ・パキスタンなどに港湾施設を確保して中東からの石油輸入ルートの支配を狙っているが、ギリシャ・ポルトガル支援はインド洋だけでなく地中海・大西洋も中国が支配する意図の反映であると思われる。アイルランドはこのシーレーンから外れているので支援対象外なのではないだろうかと思われる。また、今後スペインが支援を必要とする状態になれば、ジブラルタル海峡を支配するために中国は支援を申し出ることだろう。
このように考えると、中国の海洋戦略は、ユーラシア大陸の北回りと南回りの東西海運ルートと、北米航路、南米航路の4つが柱になると思われる。日本としてはこの4つの航路を中国に支配されないようにする必要がある。
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尖閣問題は沖縄返還時に米国が作り出したものである。その目的は、日本と台湾、日本の中国の間に国境紛争を作り出し、日台中、特に日中の同盟形成を阻止することにあったと思われる。日本とソ連が同盟を形成することを阻止するために米国が北方領土問題を作り出したのと同様の経緯である。現在、中国と日本はそれぞれ経済規模で世界第二位と第三位であり、この二カ国が同盟を結んで日本のように強固で中国のように巨大な覇権国が生まれることを米国人や西洋人は心の底から恐れているのだ。同様に、核戦力や宇宙開発で世界第二位のロシアと、経済規模で世界第三位の日本が同盟を組むことも米国人や西洋人は恐れていると思われる。米国が作り出した尖閣・北方領土の領土問題は今や米国・西洋の世界覇権を維持するために決定的に重要なツールになっている。日本としてはこの現状をわきまえた上で、日本の国益を実現するために最適な世界覇権システムを西洋に提案していくべきであると私は考えている。その覇権システムとは、米軍とロシア軍の戦力を統合した上で世界の治安維持の為の公共財とし、米国あるいはその情報技術の中心である西海岸国家、技術力を有し巨額の経常黒字を生み出す日本・ドイツの三国家が資金と情報を出し合ってそれを維持するというものである。
胡錦濤を代表とする団派は、青少年の時期にエリートとして選抜され育成されてきた人々で、日本で言えば東大法学部卒の官僚に相当する。当然彼らは中国の国益を重視する。従って、日本が指導国家となるパンリージョンの形成には反対し、中国を覇権国とする中華体制を目指していくと思われる。これは日本の国益に合致しない。一方の上海閥・太子党連合は既得権益層であり、中国の国益よりも現在の既得権益を重視する。また、太子党は父親(習近平の場合は本人も)が文化大革命などの混乱を体験しており、中国人を信用していない。江沢民に代表される上海閥や江蘇省出身者もかつての日本占領下で治安安定と繁栄を享受した歴史を知っており、改革解放以後も宝山鋼鉄を代表とする日本企業進出や南京大虐殺紀念館の建設・運営を通じて日本人と再び接触を持ったことから、日本人を信用できると考えていると思われる。従って、上海閥・太子党連合は日本を覇権国とする東アジア・西太平洋システムに賛成し、結果的に日本の国益に合致する人々なのではないかと私は想像している。 . . . 本文を読む
11月12日付けの日経新聞の記事(FT紙の翻訳)が尖閣問題を取り上げている。ただ、この記事では日中間の二国間対立しか取り上げていない点が問題である。中国側は尖閣の領有権だけではなく、一部マスコミで過去の宗主権を根拠に沖縄解放を主張する記事すら見られる。今後中国が更に強大化するならば、東南アジア諸国への宗主権が持ち出され、アセアン諸国が中国の属国に転落していくことであろう。
日本の尖閣諸島領有権主張の根拠は西洋の国際法に基づいたものである。一方の中国側の主張はかつての中華世界の華夷秩序に基づくもの。そして、日本にとって都合の悪いことに、かつて(アヘン戦争以前)とは異なり、中国は大陸指向国家から海洋指向国家に変容している。従って、モンゴル人を中心とする遊牧民族が漢民族と何千年も戦い続けてきた様に、今後日本は西洋の国際法の代表として中国と戦い続けなければならなくなっているのである。その戦いの最前線が尖閣諸島であり、沖縄であるということである。
恐らく、今回の日中対立は中国の内部分裂によって日本側=西洋側の勝利に終わる可能性が高い。しかし、中国の歴史は分裂と統一を繰り返してきた。分裂した中国が遠い将来に再統合されたときが日本にとって絶体絶命の危機となる。かつてモンゴルも、統一し強大化した中国軍に奥深くまで攻め込まれた経験を持っている。今後数百年の日本の安全保障を考えるならば、日本は漢民族とモンゴル族・満州族などの北方遊牧民族との対立の歴史を真剣に研究すべきである。
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11月1日にロシア大統領が国後島を訪問した。尖閣問題で日本が苦しんでいる最中のこの行動は、日本を南北から挟み撃ちにするもので日本の打撃は大きいように思われる。また、11月4日に何者かがユーチューブに尖閣事件のビデオをアップロードし、これが拡散することで日本国民の対中感情は更に悪化している。来週横浜で開催されるAPEC会議で中国首脳が訪日する直前のこの動きは何を意味しているのだろうか?
まず、ロシアについて分析する。ロシアと日本は、米国を中心とする国際金融資本と中国という二つの敵に挟まれた国であるという点で国益が合致しており、表向きの対立関係とは裏腹に裏では親密な関係にあると思われる。ロシア大統領の国後訪問はこの親密な関係を隠蔽し、あたかもロシアが中国の味方であるかの様に振る舞ってみせることで中国を強気にさせる為の日露共同作戦の可能性が高い。中国を脅威視する米国の勢力もそれを容認していると思われる。
尖閣ビデオ流出も、表向きは海上保安庁の関係者のリーク説が有力だが、このような重大な問題が海保だけの意志で決定されることはあり得ないのであり、実際には政府や外務省が主導して実行している可能性が高いと思われる。その目的は、日中両国の世論を刺激して日中間の対立を深刻化させることにある。船長逮捕や海保職員が銛で突かれたとの未確認情報の場面はまだリークされておらず、今後それらの場面がリークされることで日中両国の対立は更に深まっていく可能性もある。
この日中対立は、中国国内の権力闘争とも深く関わっていると思われる。中国国内では改革解放で美味しい思いをしている上海派・太子党連合と、中国の統一を維持し貧富の格差を縮小させていこうとする団派が対立している。恐らく上海派・太子党連合は日本と裏で手を結んでおり、団派の代表である胡錦濤国家主席を攻撃するために尖閣事件に協力しているのではないかと私は妄想している。横浜のAPEC会議での胡錦濤と菅直人首相の会談はビデオ流出問題で絶望的となり、団派は大きな打撃を受けていることだろう。今後は上海派・太子党連合が中国政治の主導権を握り、内陸部で反日運動を煽って中国を混乱させ、その隙に上海を事実上独立させてゆくのではないだろうか。 . . . 本文を読む
中国政府は尖閣事件以後対日レアアース輸出を停止しているが、10月18日以降欧米向けの輸出も停止されたようである。中国政府は10月20日に輸出停止との報道を否定したが、これは世界貿易機関(WTO)ルール違反との批判を回避するための方便に過ぎない。中国政府の目的は何だろうか?
表向きの目的は、貴重な戦略資源であるレアアースをこれまで安価で大量に輸出していたことを反省し、もっと高価で少量だけ輸出する方針に変更するというものだ。しかし、それならば急に輸出を停止する必要はなく、徐々に供給を絞れば良いだけのことである。かつて世界各国に存在したレアアースの鉱山は最近の中国政府による大量輸出による価格下落に耐えられずに次々と閉山し、埋蔵量では3割強に過ぎない中国が供給量では97%を占める異常な事態となっていた。このような急激な供給量の変動は需要側に大打撃を与えることは必至であり、特にレアアースの備蓄量が日本に比べて少ない欧米諸国のダメージは大きいと思われる。中国政府はこのダメージの大きさを理解した上で敢えて欧米向け輸出を停止しているのだ。そこには明白なメッセージが込められていると思われる。
そのメッセージとは、10月8日に服役中の中国人である劉暁波 (りゅう ぎょうは)氏にノーベル平和賞が与えられたことへの批判及び、尖閣問題で米国が日米安保条約を尖閣諸島に適応すると明言したことへの批判であると思われる。ノーベル平和賞は欧州諸国の総意と考えられ、欧州諸国首脳だけでなくダライラマやオバマ大統領も歓迎している。また、米国は尖閣諸島問題だけでなく南シナ海の南沙諸島領有権問題でも反中国の姿勢を鮮明にしている。事実上、日米欧三極による中国包囲網が形成された状態であり、輸出停止はこの包囲網への抗議の一環と見て間違いないだろう。
レアアースの価格上昇を受けて中国以外の諸国ではいったん閉山した鉱山の再開や新たな鉱山の開発、レアアース使用量を減らす技術の開発が始まっている。しかし、中国が供給の97%を占めているという現状を考えると、短期的には欧米諸国は大きな打撃を被ることは避けられない。特に打撃が大きいのは軍事用途であり、欧米の軍需産業に影響が出ると致命的である。今後は中国が輸出停止をいつまで継続するのかが焦点になるだろう。
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中国人は相手が弱いと見ると急に強い態度に出る、相手が一歩引っ込むとすかさず一歩進む性格がある。案の定、中国政府は衝突事件で日本に対して謝罪と賠償を要求してきた。中国はレアメタルの輸出制限、ドル売り円買いによる円高誘導、フジタ社員拘束(死刑の可能性あり、新たに他の駐在日本人を拘束することも可能)など多くの切り札を有している。中国政府は、日本の多くの弱みと失策につけ込んで、日本から漁船事件に対する謝罪と賠償を勝ち取るのではないかと私は考えている。日本外交の更なる敗北である。しかし、私は日本の未来を全く悲観していない。現在の中国の外交的勝利は近未来の外交的大敗北の芽を孕んでいるからだ。その大敗北とは、国民が勝利に酔いしいれて大国意識に染まることにより、外国への譲歩が困難になることにある。そもそも、外交で最も困難なのは対外交渉ではなく、国内の反対派の説得なのだ。中国は米国や欧州から膨大な貿易黒字と元安を批判されている。米国は20%以上の大幅切り上げを要求している。現在の中国にとって最も必要なことは、米国や欧州を納得させるような10%以上の通貨切り上げを行うことである。中国外交部の心ある人はそう主張していることだろう。しかし、現在の中国首脳は元切り上げを拒否し続けている。太田述正氏がブログで「軍部、主要官庁、国有企業がてんでんばらばらに勝手な言動を対外的に行うようになってる。」と指摘している様に、もはや中国外交部は国内反対派を説得することがほとんど不可能になっているのだろう。そして、対日勝利で気が大きくなった中国国民や圧力団体に、元切り上げとそれに伴う失業・不況・経営難という苦難に耐える様に説得することはまず不可能と思われる。恐らく元切り上げ問題はこのまま平行線を辿り、11月2日の中間選挙直前に制裁関税が米国によって施行され、他のG8諸国がそれに続くことになると思われる。制裁関税導入に対して、中国人は面子を傷付けられたと感じ、激怒することだろう。日米欧の外資系企業は焼き討ちに合うかもしれない。1900年の義和団事件の再来である。不動産バブル崩壊も加わり、外資系企業に依存して発展してきた中国経済は崩壊する。大国意識で気が大きくなった中国国民は生活苦に耐えられず、経済成長で維持されてきた共産党政権の正統性も失われ、中国は軍閥割拠の内乱状態に移行していくことだろう。 . . . 本文を読む
『1969年および70年に行なわれた国連による海洋調査で、推定1095億バレルという、イラクの埋蔵量に匹敵する大量の石油埋蔵量の可能性が報告され、結果、周辺海域に石油があることがほぼ確実であると判明すると、ただちに台湾がアメリカ合衆国のガルフ社に周辺海域の石油採掘権を与えるとともに、尖閣諸島に上陸し「青天白日旗」を掲揚した写真を撮らせ世界中の通信社に配信したため、日本政府が抗議した。』『1971年6月に台湾、12月に中国が相次いで領有権を主張した。』とのwikipediaの記述は重要である。ガルフ社の石油開発権取得は当然ながら米国政府の意向を受けていると思われる。また、台湾が米国の意志なしに尖閣諸島の領有権を主張するとは考えにくい。尖閣諸島の領有権問題は、北方領土問題と同様に、米国が中心となって作り上げたものである、という認識を持つことが重要である。その目的は、日本・台湾・中国の間に領土問題を作り出すことによりこれらの国々の団結を阻止することにあると思われる。
現在も米国の意図は変わっていないと思われる。米国は「尖閣諸島は日米安保条約の対象である」とは明言しているが、沖縄返還前は尖閣諸島を米軍射撃場として利用していたにも関わらず、現在の帰属については関与しないという、同盟国としては背信的な行動をとり続けているのだ。米国は味方であるという安易な幻想は捨て去って、冷徹な国際政治の現実を見据える必要がある。
米国は元切り上げ問題で中国に圧力をかける目的でこの問題を利用していると思われ、11月2日の中間選挙までは問題解決は無理だろう。上海閥は北京閥を弱体化させる目的があると思われ、その節目は10月に開催される五中全会で胡錦濤国家主席の後継の最有力候補とされる習近平国家副主席が軍の要職である中央軍事委員会副主席に選出されるかどうか、ライバルの李克強がどうなるかが焦点だ。習近平は上海閥、李克強は団派(北京閥)の様である。日本としては、船長を日本の法律で適正に処分するという点は絶対に妥協してはならない。11月3日以降に執行猶予付きの有罪判決を裁判所に出して貰って国外追放、というのが現実的な落とし所ではないかと思われる。それまでは、レアメタルの輸出停止や日本人駐在員の拘束などの恫喝に決して屈してはならないだろう。 . . . 本文を読む
尖閣諸島は日米安保条約の対象となることを米国政府は明言している。このため、中国は日本に対して軍事的手段をとることができない。中国で活動する日本企業に制裁を行うこともできるが、それは中国経済にとってダメージが大きすぎて困難なのか、現時点では実行されていない。結局、交流中止やガス田の単独開発などの形式的な対抗処置しか行われていないのだ。このことは、中国人民に「政府は弱腰だ」という批判を惹起させる可能性が高く、中国の国益に合致しないと思われる。中国が海洋での権益拡大を追求するならば、尖閣諸島のように日本の領有権に関する国際条約や米国との軍事同盟条約が存在する場所ではなく、領有権に関する国際条約や軍事同盟条約が存在しない、そして日本と比較して海軍力が圧倒的に弱い南シナ海の南沙諸島をターゲットにする方がずっと賢明であり、実際に中国はその様な国益に合致する行動をとり続けてきた。今回の尖閣での事件はそれらとは対照的に中国の国益を損なっている。 では、なぜ中国政府は国益に反するような行動をとったのだろうか?私は、今回の事件の裏には上海閥と北京閥の権力闘争があるのではないかと考えている。上海は貧しい内陸部に搾取されることを嫌がっており独立したいと考えている。北京閥は中国の統一を維持することで権益を維持したいと考えている。今回の事件の漁船は福建省所属だが、福建省は上海と同じく貧しい内陸に搾取されることを嫌がっていると思われる。そこで、上海閥が福建省に働きかけて、北京政府の威信を低下させるためにわざと漁船を日本政府に拿捕させたのではないか、というのが私の想像である。そして、上海閥は日本政府や米国政府にも事前に計画を通知していたのではないかと思われる。 今年11月2日に控えた米国の中間選挙では民主党の苦戦が予想されており、オバマ大統領は人気取りのために、通貨の大幅切り上げを拒否し続ける中国に対して制裁関税をかけることが予想される。この制裁関税は欧州やカナダ、日本なども追随すると想像され、中国人の反外国感情を煽ると共に、制裁に対して何ら対抗できない北京政府への威信は更に低下することだろう。 上海閥が日本や米国と手を組んで今回の事件を起こした、というのが私の結論である。 . . . 本文を読む
中国の不動産価格の伸びが停止した。6月は0.1%低下、7月も横這いである。また、上海市の新規住宅ローンは、7月は前年比98%減少、前月比でも91%減少となった。中国政府が4月に導入した住宅融資規制の効果と考えられる。これによって新規住宅建設は減少し、建設関連産業は大不況に見舞われることになるだろう。中国経済を支える柱であった建設業の衰退は中国経済に大打撃を与えるはずだ。冒頭の石平氏のコラムで指摘されている様に、中国経済は三つの柱によって高度成長を成し遂げてきた。それは「輸出の拡大」と「人口の優勢」と「不動産業の急速発展」であった。しかし、不動産業の発展には終止符が打たれた。また、輸出の拡大も、先進国が揃って不況に陥る中でもはや限界に達している。賃金の上昇やストライキによって、安価で勤勉な労働力という強みも失われつつある。三つの柱を失った中国は高度成長時代から低成長時代に移行すると考えられる。その衝撃は、中国共産党への国民の支持を低下させ、腐敗した役人たちへの不満が暴発して中国の治安は悪化することになるだろう。人民解放軍は海洋への拡張政策どころではなくなり、国内の治安対策に忙殺されることになると想像される。しかし、富裕な沿海地区やチベット・ウイグルなどの少数民族地区の分離独立志向を押さえ込む事は出来ず、結果的に中国は近未来に分裂していく事になると思われる。このように、中国にとって不動産バブルを今崩壊させることは決して得策ではない。にも関らず、住宅融資規制が厳しく絞り込まれているのは何故だろうか?私は、中国政府内部には日本や米国との内通者がおり、わざと中国のバブル経済を崩壊させて中国を分裂させることを狙っているのだと妄想している。最近の米国海軍のベトナムとの合同訓練でも分かるとおり、米国の中国包囲網は強化されており、中国がこれにうち勝つことは不可能である。だとすれば、第二次大戦で日本がわざと負けた様に中国政府も米国にわざと負けることを狙っているのだと思われる。その主目的はおそらく、貧困な内陸地区や西部の少数民族地区の切り捨てを通じて、沿海地区の繁栄を維持することであると思われる。中国の支配階層は全て都市戸籍であり、大部分が沿海部の大都市に住んでいるからである。沿海地区の独立は、恐らく上海の分離独立運動、あるいは香港と同様の一国二制度を要求する運動から始まることだろう。 . . . 本文を読む
7月23日、ハノイで開かれたASEAN地域フォーラムで中国外交は大打撃を受けた。米国がASEAN側に立って中国を批判したからである。しかし、この中国外交の敗北は予想通りであったとも言える。軍事力を背景として南シナ海等で領土拡張を狙う中国の姿勢はASEAN諸国の反発を引き起こすことは明らかであり、これまでは大国中国との関係を重視してそれが押さえ込まれていたに過ぎなかったからだ。ASEAN諸国は明らかに、覇権国として中国よりも米国をより好ましいと考えている。
中国はなぜこのような勢力圏拡大姿勢をとり続けるのか?それは、結局は資源が目当てなのだろうと思われる。世界覇権を握るEU+米・加・豪+日本の人口は10億人弱だが中国の人口はそれよりはるかに多い。中国の経済発展には大量の資源が必要になる。最近の中国のアフリカ進出、あるいはチベットや東トルキスタンでの住民弾圧も結局は資源を獲得することが最大目的になっていると思われる。こういった資源の奪い合いは、既得権者である日米欧といった先進国の利害と衝突するため、中国は結果的にこれら先進国をも敵に回すことになる。
同じ巨大な人口を抱える新興国でも、インドは中国ほど先進国に敵視されていない。理由としては、インドはカースト制があり、富裕層になって資源を大量消費するのは一部の上位カーストのみになる可能性が高いことが考えられる。対照的に、中国では漢民族全員が尽きることのない金銭欲を持っており、資源の大量消費を抑制する内的要素が存在しないのだ。中国が先進国化すれば、地球上の資源はどん欲な漢民族に食い尽くされるだろう。
シンガポール華字紙の唱える日韓との同盟構想も、少なくとも日中に関する限り実現の可能性は低いだろう。日中同盟は結果的に日本が中国に飲み込まれる形になってしまい、日本にとって不利益が非常に大きい。また、欧米諸国は日本の技術と中国の人口が結合することを恐れており、日中同盟は日本が欧米を敵に回すことを意味する。日本としては、日本が主体性を持って中国を分割しコントロールする形態が最も望ましいが、それは中国にとっては受け入れがたいことだろう。 . . . 本文を読む
アヘン戦争以前の中国では、基本的に遊牧民族は攻め込む側であり、農耕民族は攻め込まれる側であった。しかしながら、漢の武帝が匈奴や西域に派兵したのを皮切りに、漢民族王朝も何度も遊牧民族領土に攻め込んでいる。また、シルクロードの交通路であった西域のウイグル地区は何度も漢民族王朝によって軍事支配されている。遊牧民族が攻め込む頻度よりは少ないが、漢民族側も遊牧民族側に攻め込んでいるのである。同様のことが21世紀以降の東アジアでも起こると思われる。中国の対外貿易ルートとして重要なのは、インド洋に至る南シナ海と、北米に至る日本近海である。従って、この二つの海域の支配を巡る海洋民族と中国の争いが重要になってくると思われる。現在の中国が陸軍力を減らし海軍力を増強しているのは、第一には台湾の回復が目的であるが、究極的には対外貿易ルートである日本近海・南シナ海の支配が目的であると考えて間違いないだろう。
では、中国はランドパワーであることを止めてしまったのだろうか?そうではないと思われる。中国にとって陸地は資源の産地として重要であると思われる。ウイグル・チベット・内モンゴルなどの人口希薄で資源豊富な地域には多数の中国人が送り込まれ、先住民族が少数民族化している。これが中国の対外膨張の方法である。中国の北側にはモンゴル・シベリアというやはり人口希薄で資源豊富な地域が拡がっており、今後多くの中国人を送り込んでいく戦略を中国は考えていると思われる。ただ、大陸方面の領土拡大よりも海洋方面の領土拡大が優先されるであろう。香港回復→台湾回復→南シナ海・日本近海支配権樹立→モンゴル・シベリア進出という順序になるのではないだろうか?
海洋勢力と大陸勢力の争いの焦点はやはり台湾になると思われる。ここを支配した側が東アジア全体の覇権を握ることになるだろう。かつて宋と遼が北京周辺の領土(燕雲十六州)を巡って争った歴史からも分かるように、北京は軍事拠点として非常に重要な場所にある。同様に、軍事拠点としての台湾は今後数百年の間、海洋勢力と大陸勢力の争いの場になると思われる。 . . . 本文を読む
蓮舫議員の入閣にきな臭さを感じるのは私だけだろうか?私は、台湾と中国の戦争が勃発した時に「私の父の国を助けて下さい」とマスメディアに向かって叫ぶ蓮舫の姿をどうしても想像してしまうのだ。菅直人内閣は選挙管理内閣とされているが、人気は高く参院選でも大勝利しそうである。参院選後に中台戦争が勃発する可能性があるのではないかと思うのである。私の考えるシナリオは以下のようなものだ。1.米国で株価暴落やドル暴落、米国債暴落などの経済危機が発生する。米国は石油ドル体制を守るために、イラク戦争以外の軍備を大幅に縮小し、アフガニスタンは欧州やロシアに任せ、韓国や日本からは撤退してしまう。沖縄の米軍基地問題紛糾はその伏線である。2.米軍の東アジアからの撤退を機に、中国が台湾侵攻を開始する。台湾政府は米国に支援を要請するが、中国政府は「台湾を支援すると米国債を投げ売りするぞ」と脅迫、米国は台湾支援を見送ることになる。ここで蓮舫が「私の父の国を助けて下さい」と絶叫する。日本はこの叫びを受け入れ、台湾を支援することになる。同時に北朝鮮も韓国攻撃を開始すると想像する(清朝の中国制覇、日清戦争などで分かるように、朝鮮半島と台湾では同時期に戦争が発生することが多い)。3.日本は北方領土問題に加え、第二次朝鮮戦争、中台戦争と三つの紛争を抱えることになる。ここで国益をかけた選択が行われ、韓国は見捨て、北方領土も国後・択捉は放棄して日露平和条約を結び、ロシア海軍・空軍に台湾問題での支援を要請する。仏製揚陸艦が北方領土向けと称して極東に配備されるのはその伏線であろう。同時に欧州諸国にも支援を要請する。ロシア経由で日本に軍隊を空輸して貰うことが可能である。また、欧州やオーストラリア・カナダから海軍の艦船を派遣して貰うことも可能だろう。これによって台湾の独立は維持され、中国は面目を失って崩壊することになる。なお、この紛争の最中には、人民解放軍と日露同盟軍が海上で戦う可能性が高いと思われる。これを示唆したのがJJ予知夢の「自衛隊の戦後初の戦争」である。また、日本はロシアの核の傘のもとで戦うことになると思われる。4.中台戦争での中国の敗北後に、中国は政権が崩壊して軍閥割拠の内戦状態に移行する。日露欧豪台の連合軍は中国在留の自国民保護を理由に中国の沿海都市等に出兵しこれを占領する。 . . . 本文を読む