国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

スペインの不法移民問題とセウタ・メリリャの領土問題:国際海峡対岸の橋頭堡は必要か?

2007年11月08日 | 欧州
今回のスペイン国王のセウタ・メリリャ訪問は公式には「住民との親睦を深めること」とされている。しかし、スペイン政府はジブラルタルを英国から奪還する目処を立て、それと同時に不法移民問題で重荷になりつつあるセウタとメリリャをモロッコに返還することを決意し、スペイン国王は両地域に別れを告げるために訪問したのではないかと私は想像する。軍艦と大砲が最新兵器であった19世紀と異なり、ミサイルや超音速戦闘機が最新兵器となった現代ではセウタやメリリャの重要性は低下している。また、国際金融資本の世界支配崩壊に伴ってジブラルタルが英国領土であり続ける必然性はなくなり、EU統合の枠組みの中でスペインに吸収されていくことはほぼ確実である。ジブラルタルを奪還するという悲願とセウタ・メリリャの領有は道義上両立しない。そして、欧州文明にとってはこれらの地域が大きな脅威となっている不法移民の玄関口になっていることも問題であろう。欧州としてはモロッコの経済発展を促進させることでモロッコからの不法移民流入を防止するとともに、不法移民への罰則を強化する(例えば、悪質な不法入国・滞在者に無期懲役あるいは死刑などの重い刑罰を与えるなど)ことが必要になってくるだろう。命懸けで流入してくるアフリカからの不法移民には、それに見合った刑罰でなければ阻止は困難だからだ。 日本から遠く離れたスペインのことなどどうでもよいという考えの人も多いだろう。しかし、重要な国際海峡の対岸の橋頭堡の行方というこの問題は、日本と韓国の関係と似通っている。国際金融資本の世界支配崩壊に伴って現在、世界中で国境線や文明間境界線の引き直しが進んでいる。日本文明と中国文明の境界線は従来朝鮮半島中央部の軍事境界線に存在してきたが、近い将来に米軍が撤退して朝鮮半島は統一され、日本文明と中国文明の境界線は対馬海峡(あるいは鴨緑江?)に移動することになると想像される。その時、日本は陸軍を派遣して釜山の橋頭堡だけは維持すべきか、それとも対馬を最前線にすべきかという問題と、このスペインの問題は重なってくるであろう。 . . . 本文を読む
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ユーゴスラビア紛争は誰が何のために計画し実行したのか?

2007年10月05日 | 欧州
「世界覇権国オーストリア」シナリオを前提に考えると、ユーゴスラビア紛争は非常にわかりやすい。ユーゴスラビアはセルビアが中心となった南スラブ人の国家であったが、第一次世界大戦でオーストリアの皇太子夫妻を暗殺したセルビアの民族主義は二重帝国の平和にとって非常に危険なものである。従って、セルビア民族主義を徹底的に叩き潰すために、オーストリアによってユーゴスラビア紛争が計画・実行されたのだと私は想像する。いわば、第一次世界大戦に対する復讐、第一次世界大戦の戦争責任に対する処罰と言えるかもしれない。紛争の期間中、セルビア陣営は常に悪者扱いされてきた。そして、セルビアの覇権の元に形成されたユーゴスラビアは解体され、言語や宗教を同じくするモンテネグロまで分離独立したことでセルビアはバルカン半島の小国に落ちぶれた。セルビアの将来を見限って、言語や宗教で近い関係にあるブルガリアの大学に進学するセルビア人高校生も国境沿いで出始めているという。「大セルビア主義」を唱えるセルビア民族主義は根絶されつつあり、バルカン半島に於けるオーストリアの優越が明瞭になりつつあると思われる。EU加盟問題でも、既に加盟済みのスロベニアに加え、クロアチアの加盟交渉が始まっており、近い将来の加盟は確実だろう。セルビアの加盟はモンテネグロやマケドニアより後回しになるかもしれない。 しかし、バルカン半島にはセルビア民族主義の他にオーストリアにとっての重大な敵が存在すると思われる。それは、かつて二度に渡ってウィーンを包囲したオスマントルコの後継国家であるトルコと、トルコによってイスラム化されたボスニア人・アルバニア人である。ボスニア人の文化にはトルコの影響が色濃く残っており、彼らは「イスラム化」されたというよりも「トルコ化」されたと言うべきかと思われる。ボスニアとアルバニアはいわばトルコが欧州内に持つ文化的飛び地であり、ロシアの沿ドニエストル共和国やカリーニングラードと似た状態とも言える。今後トルコが大国化するならば、彼らはボスニアやアルバニアという橋頭堡を利用して再びバルカン半島に勢力を伸ばし、ウィーンを包囲するかもしれない。欧州にはトルコ系移民労働者が多数存在しており、彼らがトルコ政府に呼応して活動する危険すら考えられるのだ。 . . . 本文を読む
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大英帝国=国際金融資本の世界覇権崩壊後の欧州世界

2007年09月02日 | 欧州
江田島孔明氏の主張するとおり、欧州大陸は英国=国際金融資本によって分裂・対立させられてきた。EUの統合はこの対立に終止符を打つものであり、英国に対する宣戦布告とも言える。そして、冷戦終了後にEUは東欧まで大きく拡大した。近い将来にはロシアもEUに加盟することになると私は想像している。ロシアと欧州諸国は現在対立しているように見えるがそれは冷戦と同様に単なる茶番劇なのではないか。 英国の歴史家ノーマン・デイビスが書いた英国史の大著「アイルズ」では、大英帝国の繁栄の過去だけでなく、欧州の一地方に転落してゆく近未来も描写されている。米国政府が英国=国際金融資本による支配からの脱出のためにイラク戦争を開始し、独仏露といった欧州大陸の大国が英国に対抗して統合を目指している現状は英国にとって無惨な敗北に他ならない。そして、永年英国=国際金融資本が支配してきた地中海も、「地中海連合」構想を提唱するサルコジ大統領を擁するフランスに支配権を奪われつつある。国際金融資本の残党がロンドンを捨ててランドパワーの一角であるフランスに移住しつつある様にも思われる。 このような現状を考えると、江田島孔明氏の主張する「新日英同盟」は敗北し急速に衰退する英国と同盟すべきと言う愚かな政策である。日本は勝ち組である独仏露と組んで北ユーラシアを支配すればよい。そして、北ユーラシアがポルトガルから日本まで軍事的に統合されるならば、その統合された地域は大西洋と太平洋という二つの大洋に広く接する地域となり、米国と同様に大陸国家でありながら一大シーパワーでもあるという状態になる。シーパワーとしての英国の地理的強みは決定的に失われる。未来の英国は現在のインド亜大陸に於けるセイロン島程度の地位に転落することだろう。 英国政府は2隻の大型航空母艦の建造を正式決定し、2014-16年頃に完成する見込みだという。また、2012年にはロンドンでの夏季五輪も予定されている。しかし、深刻な恐慌に見舞われ国際的地位が低下する英国にそれを実行する力が残されているだろうか?私は、英国は近い将来に経済的困難故に空母建設を断念するのではないかと想像する。更に、ロンドンでの夏季五輪すら断念せざるを得なくなるかもしれない。 . . . 本文を読む
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英国の不動産バブル崩壊の衝撃は米国のそれを上回るか??

2007年08月16日 | 欧州
サブプライム融資を発端とする米国の不動産バブル破裂が話題となっている。しかし、ブルームバーグの記事によれば、英国の不動産バブルは米国よりも深刻だという。その原因としては、1.不動産価格の上昇が継続していること、 2.金利上昇が継続していること、 3.金融機関の多くが所得証明なしに貸し出しを行うなど、返済能力の評価が不十分であること、等が挙げられている。 現在の世界的な過剰流動性が逆流し始めるならば、英国でも金融機関が貸し出し余力を失い、不動産バブルは急に蛇口を止められて破裂するだろう。更に、国際金融資本の本拠地であるロンドン金融街の繁栄に依存しきった英国経済は大手金融機関の相次ぐ破綻で大打撃を受け、大恐慌に突入する可能性が高いと思われる。 欧州諸国の中で不動産バブルが最も深刻なのはスペインである。ただ、2010年以降に太陽活動の低下に伴って欧州が寒冷化する可能性があり、スペインは寒冷化の打撃を受ける北欧諸国の住民の避難先として住宅需要が下支えされる可能性がある。英国は欧州寒冷化の打撃が最も大きい国の一つであり、住宅需要の下支えは存在しないだろう。 欧州経済で注目すべきことは、ドイツに不動産バブルが存在しないことである。このため、バブル崩壊による内需減少はドイツではほとんど起こらないと想像される。この点は日本も同様である。石油・天然ガスの輸出で蓄積した膨大な対外資産を有し、シベリア開発などの設備投資の高まりも想像されるロシア経済も成長を続けるだろう。近未来の世界では、恐慌の混乱の中でダメージの小さい日本・ドイツ・ロシアが経済的にも政治的にも急速に影響力を拡大すると想像される。英国は既に製造業を失い、北海油田も枯渇寸前であり、唯一繁栄している金融業も破綻がほぼ確実である。近未来の英国は英語だけが資産となり、ラテンアメリカとの言語的繋がりを有するスペインと同じ程度まで国際的影響力を低下させていくことになるだろう。 . . . 本文を読む
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独仏両国が支配するEUとオーストリア・ハンガリー二重帝国の類似性

2007年07月01日 | 欧州
第一次世界大戦の引き金となったサラエボ事件が起きたのは1914年の6月28日である。1863年以来の皇帝一族の悲劇的な殺害事件や不審死は、陰謀論的立場からは国際金融資本による計画的犯行の可能性も考えられるだろう。 かつて私は「覇権国家米国を凌駕する見えないドイツ」はオーストリア+カトリック(バチカン)ではないか という説を取り上げたことがある。現在のローマ教皇はカトリックの牙城のバイエルンのオーストリア国境に近い地域出身である。現在のドイツ首相であるメルケルはオーストリア人ヒトラーの娘であるという真偽不明の情報もある。そして、現在のフランスの大統領は亡命ハンガリー貴族の息子のサルコジである。欧州大陸の中央に位置しておりEU内で人口の最も多い民族がドイツ人(ドイツ+オーストリア+スイス中部・東部)であり、二番目がフランス人(フランス+ベルギー南部+スイス西部)であること、オーストリア皇位継承者のオットー・フォン・ハプスブルグがEU統合推進派の欧州議会議員として長年活躍したことを考えると、独仏連合によって支配されつつある現在のEUはドイツとハンガリーの二民族に支配されていたかつてのオーストリア・ハンガリー二重帝国の再来であるという見方ができる様に思う。 かつてのオーストリア・ハンガリー二重帝国の民族構成はドイツ人が最多で24%、二番目がハンガリー人の20%であり、三番目のチェコ人(13%)以下を大きく引き離していた。二重帝国はドイツ人・ハンガリー人が主導権を握るために苦心したとされるが、これは独仏両国が現在トルコのEU加盟に反対していることとよく合致する様に思われる。現在人口7000万人、近い将来に人口がドイツを上回る1億に達するとされるトルコのEU加盟はEUに於ける独仏両国の主導権を破壊してしまうからだ。また、帝国はオーストリア帝国とハンガリー王国に二分され、ウィーンとブダペシュトの二つの首都を持っており、両国は共同外務省と共同財務省を設置して、外交・軍事・財政以外の内政権をハンガリーに対して大幅に認めたとされるが、それは現在のEUの国家像に似通っている面もある。 . . . 本文を読む
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サルコジ大統領の「地中海連合」構想で、米英両国のシーパワーによる地中海支配は終焉した?

2007年06月01日 | 欧州
5月31日付けの日経で、サルコジ仏大統領の「地中海連合」構想に関する記事がある。記事では「トルコとの良好な関係維持も狙う」としているが、実際にはトルコ側は「トルコのEU加盟を拒否するための陰謀」とみなし激怒している。日経はトルコとEUの関係悪化という欧米やトルコのマスコミで多数報道されている事実を伏せたい様だ。トルコ首相の外交補佐官は「EUへの加盟交渉を開始した国は全てが最終的に加盟しており、トルコだけが例外になれば世界の15億人のイスラム教徒に非常に悪いメッセージを送ることになる。」と主張しているが、アラブ系、ペルシャ系、マレー系のイスラム教徒たちは決してEU加盟を望んではいないと思われる。イスラエルも近い将来に東欧系ユダヤ人がEUに引き取られれば後に残るスファラディは「ユダヤ教を信仰するアラブ人」である。中東工科大学の教授は「イスラエル、トルコ、モロッコといった政治的・言語的・文化的に余りに多様な国々をまとめるのは困難であり、この構想は失敗する運命にある」と主張するが、私はこの構想は成功し、地中海の北側の巨大なEUと南側の巨大なアラブ連合、トルコの東の巨大なペルシャ連合の三つの巨大組織に囲まれて孤立する小国トルコを生み出すと想像する。 トルコ問題の他にもう一つ重要なのは、この構想にはシーパワーの米英両国が関与していないことである。ジブラルタルやキプロス島の軍事基地を経てイスラエル・スエズ地峡に至るイギリスの軍事的影響力は、大英帝国の時代から第二次大戦後まで維持され続けており、まさに地中海帝国と呼ぶに相応しい強大なものであった。スエズ戦争後は英国の力は低下したが米国の影響力が強まり、地中海はアングロサクソンの海であり続けた。サルコジ大統領の登場と共に地中海の支配者が米英(国際金融資本)からフランスを中心とするラテン民族に交代したことを意味するのではないかと思われる。 最後にもう一つ重要な点は、この「地中海連合」にはドイツもロシアも参加していないことである。IHTのフランス外交官の発言と合わせて考えると、独仏両国はアジア+アフリカの二大陸を二分割し、ドイツは欧州の東側、フランスは欧州の南側を担当することで役割分担が成立しているのだと思われる。 . . . 本文を読む
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フランス・サルコジ大統領政権発足が意味するもの

2007年05月24日 | 欧州
2007年5月16日に大統領に就任したサルコジ氏はカトリック教徒で、父方はハンガリーの下級貴族の家系、母方はテッサロニキ出身のギリシア系ユダヤ人で祖父の代にカトリックへ改宗している。ハンガリー人は現在では混血により他の白人と区別困難だが、元来はトルコ人と同様の中央アジア~モンゴル高原出身の移住民族である。また、サルコジ大統領の母方の血筋は恐らくスファラディと想像され、アラブ人やペルシャ人と同様の中近東のコーカソイドがルーツとなる。サルコジ大統領政権の出現は、例えアジアのモンゴロイドや中近東のコーカソイドの血を引いていても、キリスト教を受容し(少なくとも迫害はせず)、欧州文化を受容するならば欧州の一員として受け入れられることを欧州が宣言する意味合いがあると思われる。サルコジ内閣の約半数が女性であることは、フランスでは男性と女性が平等であることの宣言であり、フランス国内では男性優位のムスリム社会の存在を許さないと言う強い意思表明とも考えられる。 また、モロッコ出身のラシダ・ダティ法相、セネガル出身のラマ・ヤド氏のUMP党執行機関委員への抜擢は、一見アフリカ系・アラブ系住民をフランスに受け入れている様に見える。しかし、両者が女性である点が重要だろう。サルコジ政権は、アフリカ系・アラブ系の男性をフランス社会は歓迎しない、女性なら受け入れ可能であることを示したと思われる。アラブ系・アフリカ系の社会に於いて女性の方が男性より政治的・経済的に大きな影響力を持つ状態を作り出すことで、フランス国内のムスリムの男性優位社会を崩壊させることが真の狙いではないかと想像する。そして、フランスの欧州に於ける政治的影響力を考えると、これは欧州全体の意思表明であると考えるべきだろう。 G8を中心とする先進国集団は、シベリアや新大陸の支配を正当化するために、現在先住民を保護しその文化を尊重しているならば、過去に先住民を迫害した歴史があっても移住民のその地域での居住が引き続き許容されるという、欧米先進国に一方的に有利な身勝手とも言える「グローバルな分野で使われる統一ルールのようなもの」を作りだすのではないかと想像する。それによって先進国への移民の阻止と新大陸やシベリアで侵略者・迫害者の子孫である白人が居住し続ける権利の獲得という矛盾する二つの目的が同時に達成されることだろう。 . . . 本文を読む
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5/3スコットランド議会選挙での独立派政党躍進は連合王国を崩壊させるか?

2007年05月04日 | 欧州
スコットランド議会の選挙が現在開票中だが、予想通り独立派のSNPが躍進している。スコットランド議会の選挙制度は日本やドイツの選挙制度と同様に小選挙区と比例代表区の両方を持つが、総議席数は比例代表区の得票に相関する傾向があり、日本型ではなくドイツ型である。この選挙制度の導入を行ったのは労働党のブレア政権であり、保守党の頑強な反対を押し切ってスコットランドの自治を含めた地方分権化を推進したのもブレア政権である。そもそも、英米などの国際金融資本系国家では小選挙区制により小政党の出現が阻止され、それ故に国際金融資本が二大政党両方に献金することで容易に影響力を行使できるというシステムが取られていた。スコットランド議会の選挙制度はそれを完全に覆す画期的なものである。 このように考えると、ブレア政権は労働党の牙城であるスコットランドを連合王国から独立させて切り離して連合王国(大英帝国)を崩壊させるという計画を実行している様に見える。ブレアもまた、東洋的な「わざと負ける」という戦略を実行しているのかもしれない。エリザベス女王の16年ぶりの訪米も、「英国人入植400周年記念式典出席」という明目とは別に、連合王国の君主としての花道なのかもしれない。あるいは国際金融資本の世界支配の終焉を飾る式典として出席したのかもしれない。 ブレア首相を巡る醜聞、イギリスの石油メジャーBPのCEOだったジョン・ブラウン卿の同性愛の愛人問題、米国の有力政治家を巡る高級買春疑惑などのスキャンダル、イスラエルでの反政府デモ、トルコの大統領選挙を巡る混乱なども、実際には各国の政府当局が「わざと負ける」という戦略のために裏で工作し実行している可能性が考えられる。これらの国々は従来は国際金融資本の強い影響下にあったが、国際金融資本の世界支配崩壊と共に国力が低下しはじめている。かつては我慢していた周辺国(例えばトルコに対するアルメニア・ギリシャなど)はこの機会を逃さずに襲いかかることも考えられるが、その前に内紛と敗北を演出することで周辺国の不満をガス抜きするとともに、余力を残した状態で敗北することで敗戦処理を自国有利に導くことが目的ではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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ブレア首相が5月9日に辞職する予定という一部報道について考える。

2007年04月29日 | 欧州
ロシアのお膝元の小国エストニアで反ロシアの動きが高まっている。米国でもブッシュ大統領がキューバのカストロ体制の終焉を予告している。私は、これらの動きは日本と北朝鮮、あるいは米国とイランの対立と同様の茶番劇ではないかと予想する。 エストニア人はスターリン体制を激しく嫌悪しているが、ロシア人自身も本音ではスターリン体制を嫌悪している筈である。1953年のジューコフ元帥の政変によってソ連はスターリンと国際金融資本から解放されたが、これは、1953年1月に元連合国軍司令長官であったアイゼンハワーが米国大統領に就任したことと無関係とは思えない。アイゼンハワーは西から、ジューコフは東からドイツを攻撃し占領した連合国軍の司令官だったのである。ほぼ同時期にキューバではカストロが活動を開始し、やがて反米政権を樹立することになる。しかし、カストロが真に嫌悪したものが国際金融資本による支配であったとするならば、カストロ・ジューコフ・フルシチョフ・アイゼンハワー・ニクソン・ケネディはいずれも国際金融資本に対抗するという点で仲間であり、カストロのキューバ革命は国際金融資本に支配されて米国本土から失われてしまった真のアメリカの精神をキューバで維持し続けることが目的であるようにも思われる。江田島孔明氏の言葉を借りれば、カストロ政権はドゴールであり、米国政府はヴィシー政権に相当するのではないか。米国とキューバは表向き激しく対立しているが、カナダやメキシコはキューバと通常の交流を有しており、キューバは決して孤立無援の国家ではない。日本政府が裏ルートで北朝鮮を支援してきたように、米国も裏ルートでキューバを支援してきたのではないかと想像する。 国際金融資本の表のリーダーは恐らく英国のブレア首相であろうと私は想像する。そのブレアが辞任すると一部で報道されている5月9日は、欧州・米国の対独戦勝記念日である5月8日の翌日、ロシアでの対独戦勝記念日である5月9日と同日である。62年の歳月を経て、スターリンは正義ではなかったこと、ホロコーストが捏造であることなどがロシア政府首脳の口から告白され、敗戦国ドイツの名誉が回復されるようなシナリオが組まれているのかもしれない。そのシナリオは、第二次世界大戦での米国の正義をも否定することで、世界覇権国としての米国の臨終を意味するものになるかもしれない。 . . . 本文を読む
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原田武夫氏の言う「覇権国家米国を凌駕する、見えないドイツ」はオーストリア?ロシア?ロスチャイルド?

2007年03月03日 | 欧州
1.見えないドイツ=オーストリア説:19世紀にドイツはプロテスタントのプロイセン主導で統一され、その後第一次大戦でドイツ帝国とオーストリア・ハンガリー二重帝国の両方が崩壊した。これは、かつて神聖ローマ帝国の皇帝をオーストリア皇帝が兼ねていた中欧の政治システムを完全に破壊するものであった。第二次大戦を実行したヒトラーはオーストリア人であり、現在のドイツのメルケル首相はヒトラーの娘であるという情報(真偽は不明)もある。また、「オーストリア・ハンガリー帝国」最後の皇太子でハプスブルグ家当主でもあるオットー・フォン・ハプスブルク氏が欧州統合運動を推進し、欧州議会議員として永年活躍したこと、ローマ教皇ベネディクト十六世がオーストリア国境に近いドイツバイエルン州出身であること、カリフォルニア州知事であるシュワルツネッガー氏がオーストリア生まれであることもその根拠の一つである。これは、中世以降の神聖ローマ帝国・オーストリア帝国が第一次大戦までの期間に国際金融資本によって弱体化し崩壊させられたことを前提として、神聖ローマ帝国の再興、あるいはハプスブルグ家が夢見た欧州統一の夢をEUという形で実現することを狙っているのではないかという大胆な仮説である。オーストリア人ヒトラーは、プロイセン的なものをドイツから一掃するためにオーストリアから送り込まれた人物だったのかもしれない。 2.見えないドイツ=ロシア説:第二次大戦でドイツはソ連に侵攻し退却したが、退却後も残置諜者を含めた諜報ネットワークをソ連・東欧に広く保有しており、これらの地域に強い影響力を行使して間接支配していた可能性がある。第二次大戦後のドイツ本国が国際金融資本の占領下に置かれた一方で、1953年のジューコフ元帥の反乱によってソ連から国際金融資本勢力は追放され、それ以後のソ連政府はドイツ反国際金融資本勢力の亡命政権的な役割をも果たしていた可能性も考えられる。 原田武夫氏の主張が真実であるならば、現在ニューヨークとロンドンに本拠を置く国際金融資本と激戦を繰り広げている勢力の中枢はウィーンかあるいはモスクワにあり、そこに世界覇権が移動しつつある様に思われる。将来的には、オーストリア・ハンガリー二重帝国の様にウィーンとサンクトペテルブルグの二つの首都を持つ世界覇権国EUが誕生するのかもしれない。 . . . 本文を読む
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東欧へのミサイル防衛システムの配備計画を巡る米・東欧と独露の対立が意味するものは何か?

2007年02月23日 | 欧州
米国がポーランドとチェコに弾道弾迎撃ミサイル(ABM)の配備を予定していることが米露両国間の対立を激化させている。ハドリー米大統領補佐官は「ロシアではなく北朝鮮やイラン(からのミサイル)を想定したものだ」と発言している。しかし、イランと欧米の対立は冷戦と同様の茶番劇である可能性が高いと私は疑う。イランは中東一の軍事大国であるイスラエルに加えトルコ・サウジアラビア・パキスタンなどのスンニ派の大国に囲まれており、これらとの関係が安全保障上の最大の懸念だろう。ミサイル防衛システムはその建設・維持に莫大な費用がかかるとされる。イラク戦争の戦費で米国経済が破綻寸前になっていることを考えると、今後このミサイル防衛システムが米国主導で本当に建設されるとは思えない。欧州の中心であるドイツの同意が得られていないのも致命的である。更に、ロシアはミサイル防衛網を突破できるとされる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)のトーポリMの配備を開始している。トーポリMは、ミサイル防衛システムよりも遙かに安価であろう。このようにコストパフォーマンスの低いミサイル防衛システムを建設するより、他の手段を取る方が有益であることは自明である。では、このミサイル防衛システムを巡る米国・東欧とロシアの対立は何を意味しているのだろうか?私は、レーガン政権初期の米ソ対立、あるいは現在の米国とイランの対立と同様に、対立を演出すること自体を目的とする茶番劇ではないかと考える。米国の経済的破綻による計画中止でロシア側の勝利に終わるという結末まで含めたシナリオが既に用意されており、米露や東欧主要国はそれに従って対立を演じているだけではないかと想像される。江田島孔明氏が主張する「米軍とロシアの反国際金融資本連合」「ソ連・東欧圏共産主義国家崩壊がKGBの自作自演」との説とも矛盾しない。国際金融資本・英国・イスラエル連合は米国の戦略を知りつつもそれに乗る以外に方法がないため、ポーランドやチェコの反ロシア政策を煽っているのではないか?あるいは、国際金融資本自身も敗北を悟り、わざと負ける戦略で被害を小さくして、来るべき独露連合の支配する欧州での生き残りを図っているのではないだろうか? . . . 本文を読む
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メルケル独首相は凍結精子による人工授精で生まれ、バチカンの管理下で育ったヒトラーの実の娘?

2007年01月26日 | 欧州
エバ・ブラウンの生き写しの妹であるグレーテル・ブラウンを代理母とし、ヒトラーの凍結精子の人工授精で生まれた娘がドイツの首相に就任しているというこの驚くべき情報はにわかには信じがたい。 ただ、メルケル首相が実は西ドイツ生まれであり、牧師である父親の転居に伴って誕生後間もなく東独に移住している点は注目される。当時のドイツでは東から西への移住者は多数存在したが、逆の移住という珍しいパターンである。カトリックの神父は妻帯できないので、妻帯可能なプロテスタントの牧師を育ての親として利用したということになる。CDUが東側に送り込んだという見方もできるので、何らかの陰謀が存在した可能性はあり得るだろう。EU議長国のドイツはEU内で、ナチス・ドイツによる第2次大戦中のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の事実を否定したり、ナチスのシンボルである「カギ十字」を公の場で掲げたりすることを禁止することを1月15日のEU会合で提唱しているが、それはドイツの首相がヒトラーの娘であるという1月7日付けのこの情報を隠蔽する目的なのだろうか? . . . 本文を読む
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熱塩循環低下に伴う欧州寒冷化で北欧からスペインへの移民が殺到?スペインのバブルは弾けずユーロは安泰?

2007年01月22日 | 欧州
●地球寒冷化に関するペンタゴンレポート・1 原 亨 2004年6月に日本でも公開された「デイ・アフタートゥモロー(The Day After Tomorrow)」はカリフォルニアが竜巻に教われ、二ューヨークが大雪に見舞われる異常気象を描いて観客を驚かせた。この映画の基礎になったのが、ここでいう「ペンタゴンレポート」である。 出典 この報告書は原題を“An Abrupt Climate C . . . 本文を読む
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ヒトラーが自滅的な東西二正面作戦を実行したのは、旧プロイセンを滅亡させ南ドイツ中心の国家を作るため?

2006年12月27日 | 欧州
ヒトラーの自滅的な対ソ戦開始が合理的選択であるとの仮定の元にその理由を大胆に考察してみよう。日本が朝鮮半島・満州といった不良資産やそれを維持するために必要な巨大な軍隊を一挙にリストラするために自滅的な対米戦争を開始したのと同様に考えると、ヒトラーは旧プロイセン地域を中心とするドイツ北東部のプロテスタント地域、プロイセンの伝統から来る巨大な軍隊組織を一挙にリストラして、バイエルン、あるいは南ドイツを中心とするドイツを作り上げることが目的であったのではないか?もっと簡単に言えば、ドイツからプロイセン的なものを一掃するのが目的だったのではないか?19世紀半ばのドイツ統一時にはオーストリア中心の統一(大ドイツ主義)にプロイセン中心の統一(小ドイツ主義)が勝利したが、20世紀のドイツではカトリックの南ドイツがプロテスタントのプロイセンに勝利したのではないかと想像する。現在のドイツでバイエルン州と西隣のバーデン=ヴュルテンベルク州が最も繁栄していることはその証拠とも言える。また、先代と今のローマ教皇が共にビスマルクのカトリック教会弾圧の影響を受けた地域の出身であることは、カトリックの絆でポーランドと南ドイツが強い連携関係にあることを想像させる。 上記の私の仮説は確たる証拠もなく、陰謀マニアの妄想に過ぎない可能性が高いだろう。しかし、第一次大戦から現在までのドイツ史を見るとき、国民国家の単位ではなく、バイエルン州の様な自治体レベル、あるいは「西隣のバーデン=ヴュルテンベルク州を含めた南ドイツという地域」のレベル、更には「オーストリアを含めたカトリック地域のドイツ民族」という国境を越えたレベルや、「ポーランド・バイエルン・バチカンの連携」という民族と言語の境も越えた宗教のレベルから見直すことは有意義なのではないだろうか?言語も民族も宗教も同一であるにも関わらず別の国に属するバイエルン州とオーストリアの国境の町ブラウナウで生まれ育ち、故郷の両側で暮らしたヒトラーは、我々の考える国民国家とは異なる国家像を持っていた可能性がある。 . . . 本文を読む
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マドリッド・ジブラルタル間航空路の12/16開設は英・イスラエル連合による地中海帝国の終焉か?

2006年12月19日 | 欧州
12月16日にジブラルタルとマドリッドの間の定期航空便が開始された。イベリア航空は現在1日1往復運行しており、英国航空も5月から定期便を運行する。1713年にスペインから英国に割譲されて以来スペインはジブラルタルの返還を要求しており、この30年間スペインからジブラルタルへの航空便を禁止してきた。そのため、ジブラルタルへの航空路線はほぼ全てが英国からの路線であった。1969年から1985年までの期間は陸上国境の道路まで封鎖されていた。しかし、2006年9月に航空便再開の協定が両国間で合意され、今回の就航になった。  wikipediaによるとジブラルタルは経済の70%を英国軍基地に依存している。ジブラルタルは地中海の西の端の地政学的要地にあり、ここからマルタ島やキプロス島の英国軍基地を経てイスラエルに至る経路を英国が支配することは国際金融資本の「地中海帝国」支配の要であった。 スペインとジブラルタルの間の国境線の閉鎖や航空路線の禁止といった処置は、一見スペインの英国に対する領土返還要求を反映しているように見えるが、実態は逆であると思われる。 ジブラルタル空港の付近のスペイン領には空港はなく、最も近い空港は直線距離で200km弱離れたマラガ空港とヘレス空港で、年間利用者はマラガ空港で1267万人、ヘレス空港で130万人である。マラガ周辺からジブラルタルにかけての海岸地帯はコスタ・デル・ソル(太陽海岸の意味)と呼ばれる日照日の多いリゾート地帯であり、英国人やドイツ人などが多数訪問している。ジブラルタル空港が英国以外の航空会社に解放されるならば、ドイツ人を含めた英国以外の欧州北部の観光客が押し掛けることは間違いない。また、ジブラルタル観光がコスタ・デル・ソル観光と一体化することで、ジブラルタル経済がスペイン南部のアンダルシア州の経済に吸収統合される効果もあるだろう。人口約10万人のアルヘシラスなど、隣接スペイン領土地域の住民の数も多く、地域住民の利用も見込まれる。 このように考えると、ジブラルタル・スペイン間の陸上国境閉鎖や航空路線禁止は、ジブラルタルの観光業の発展、ジブラルタル経済のアンダルシア州への実質的吸収を抑制し、英国と強い繋がりを持つ軍事基地としてジブラルタルを存続させることに貢献してきたと思われる。 . . . 本文を読む
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