国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

北極地政学と倉前盛通氏の「新新ハートランド理論」から見た内モンゴルの砂漠化問題の重要性

2007年04月08日 | 中国
近未来の世界は二十世紀後半の南北問題と同様に、天然資源を利用して豊かな生活を送る勝ち組国家と、過剰人口を抱えた負け組国家に二分されることが想像される。単純に考えれば、この「勝ち組国家」の中核はG8であり、その全てが北半球の大陸では中緯度乾燥地帯の北側の「北極海を挟む欧州・シベリアと北米からなる新ハートランド」に位置している。 ただ、中緯度乾燥地帯は中東に代表される天然資源の宝庫であるだけでなく、人口が少ないという特徴があり、勝ち組国家グループが資源確保の目的で彼らを仲間に入れる可能性が考えられる。その場合は、北半球勝ち組地域の南部国境はサハラ砂漠南部、パキスタン西部、パミール~チベット高原、ゴビ砂漠になるだろう。砂漠は空からの監視が容易で難民流入防止に適していると思われる。米露両国が最近アフガニスタンやイラク、チェチェンなどの砂漠地帯で戦争の経験を積んでいるのは、来るべき世界支配システムでの紛争の焦点がこれらの地域であることを指している可能性もある。イラク・イラン・北朝鮮・シリア・リビア・スーダン・キューバは米国により「テロ支援国家」に指定されているが、いずれも北半球中緯度乾燥帯南縁付近に位置しており、これらの地域の間接支配や国境の引き直しが「テロ支援国家」指定の隠された目的かもしれない。そして、冷戦が茶番であったのと同様に米国の「テロ支援国家」被指定国は実は米国と親密な関係にあり、この茶番劇を他人事と思い込んで眺めているブラックアフリカやインド亜大陸、シナ本土などの南側の地域が真の敗者なのかもしれない。 倉前盛通はモンゴルの乾燥地帯が河北省の渤海湾に接していることに注目し、日本・朝鮮半島・満州が新新ハートランドの一部になり得ると主張している。楊海英氏の言うとおり、内モンゴルの砂漠化は過剰な耕地化や過剰放牧による人災である。内モンゴルや満州西部の人々は将来勝ち組地域に入ることを目的に、過剰放牧や草原の農地化を実行して砂漠化を推進し、北京の郊外まで既に到達している移動砂丘が北京を飲み込んで黄海沿岸に達する日を心待ちにしているのではないか。そして、日本は表向きは緑化運動に協力しているが、実際は砂漠化推進運動に協力し、その成果を評価する目的で緑化運動を実行しているのかもしれない。 . . . 本文を読む
コメント (5)