国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

イランを巡る戦争危機の茶番劇が隠蔽する真の脅威・対立と新たな世界支配システムへの移行

2007年04月01日 | 中近東地域
以前から私が予想していた通り、米国とイラン・シリアとの対立は茶番劇の可能性が高いと思われる。 シリアを民主党のペロシ下院議長らが近く訪問するとされ、ブッシュ政権はこれを批判している。この動きは、今年1月に山崎拓元自民党副総裁が政府に批判されながら北朝鮮を訪問したこととよく似ている。日本と北朝鮮、米国とイラン+シリアは秘密同盟関係にあり、それを隠蔽するために壮大な対立劇が必要なのだ。 東欧地区へのミサイル防衛システム施設建設を巡る米国+東欧と独露連合の対立についても、米露間で協調の動きが見られる。冷戦が茶番劇であった様に、最近の東欧とロシアの対立(ウクライナの政争はその象徴)も茶番劇であり、実際には米・欧・露は非常に緊密な同盟関係にあると想像される。これらの茶番劇が隠蔽する真の対立、欧州の視点から見た真の脅威は何か? 歴史を紐解くと、欧州への脅威は常に遊牧民族世界から来た。最も最近の脅威は、1453年のオスマントルコによる東ローマ帝国滅亡とその後のバルカン半島侵略、ウィーン包囲だろう。他には、モンゴル帝国による東欧侵略、ウマイヤ朝によるスペイン侵略が挙げられる。最近のドイツのトルコのアルメニア人虐殺問題での強硬姿勢は恐らくオーストリアを中心とするカトリックドイツに主導されており、イスタンブールを含む欧州大陸からイスラム勢力を追放するという強い意志が感じられる。5世紀前にスペインからイスラム勢力が追放された事件がバルカン半島で繰り返されようとしているのだろう。その意味で、この五百年間の歴史の総決算という見方ができる。 トルコ系民族は中央アジアから移動してきた人々であり、アラブ人やペルシャ人と対立関係にある。トルコの脅威を封じ込めるには、強大なペルシャ民族国家、アラブ国家は有益である。また、ペルシャとアラブの対立、アラブの中でアラビア半島地域が主導権を握ることは北アフリカから欧州への脅威を縮小させる効果も期待できる。恐らく欧州の意図は第一にトルコ、第二に北アフリカのアラブ人の脅威の封じ込めであり、その為にイランとアラビア半島のアラブ国家(サウジやシリア)を強大化させることを狙っているのだろう。そして、米国はその作戦で戦争を実行するという悪役を実行する引き替えに何らかの見返りを約束されているのではないか。 そして、世界支配者はP5からG8へと移行するだろう。 . . . 本文を読む
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