国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国の環境問題の解決は、下流大都市から上流自治体・上流住民への報奨金が有効では?

2007年04月15日 | 中国
中国の環境問題は、水資源の受益者である下流の大都市が上流の自治体に対して環境保護を要求し、植林による緑化や工場排水処理を実行させ、その進度に応じて自治体に報奨金を支払う、更に植林労働者への給与も支払うという形式が最も有効ではないか。禿げ山に植林すると金が貰えると知った中国の農民は争って植林を始め、命懸けで盗伐者と戦うようになるかもしれない。具体的には上海都市圏が揚子江流域を、広州経済圏が珠江流域を支えることになる。植林運動は中国の農村に新たな職を生み出して大都市への出稼ぎの必要性を減少させると共に、都市部が支払った金が消費に廻って経済成長を生み出す効果も期待できる。緑化の進度を計測するという明目で大卒者向けの職を増やすこともできるだろう。 この案は、従来政府に多くの金を吸い上げられる一方であった上海が、自己の利益のために資金を使えるという点で上海の政治的勝利と言える。そして、最も砂漠化が深刻な黄河流域~華北では、黄河の断流のために下流の大都市が地下水に依存する傾向があり、従って黄河上流域の緑化運動を求める声が揚子江や珠江よりも弱くなると想像される。 これは根拠のない私の想像だが、現在の中国政府は黄河上流域や内モンゴルの砂漠化を故意に推進しているのではないかと思う。砂漠化により近い将来に北京は砂に埋まり、内モンゴルも農耕が不可能になって漢民族が大量に脱出する。中国人は集団の利益より個人の利益、目先の利益を追求する性格が染みついており、黄河上流域や内モンゴルの環境を守るには漢民族の農民を地域から追放する以外に解決策は存在しないからだ。また、砂漠が北京を飲み込み黄海沿岸に達すれば、満州と中国本土は砂漠で切り離され、それによって中国本土がロシアに与える脅威を小さくすることもできる。 日本人や極東のロシア人は、利己主義的な中国人の巨大な人口を非常に恐れている。しかし、中国の都市部の住民は日本人や極東ロシア人よりも遙かに頻繁に中国の農村出身出稼ぎ者と接しており、上流の地域の環境汚染の悪影響をもろに受ける立場にある。上海などの都市部住民は日本人やロシア人よりもずっと中国人の巨大な人口を恐れているのではないだろうか。そう考えると、日露両国の代理人として上海・広州などの沿海部大都市が中国の農民の意識を改善してくれる、というシナリオは十分考えられるだろう。 . . . 本文を読む
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