国際情勢の分析と予測

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台湾の呂秀蓮副総統と李登輝前総統、チベットのダライラマが相次いで中国からの独立を放棄した理由は何か?

2007年04月17日 | 中国
台湾の陳水扁総統は独立強硬派であり、世界保健機構に台湾名義での正式加盟を申請して中国政府を挑発している。しかし、その一方で呂秀蓮副総統と李登輝前総統という陳水扁陣営の重要人物二人が相次いで独立運動を放棄するかのような発言を行っている。台湾政府は聖火リレー問題でも独立を放棄しつつある。 米軍統合参謀本部議長、安倍首相も台湾の独立を支持しないと最近主張している。独立を悲願とする陳水扁総統は孤立無援に成りつつある様にも見える。この理由は「上海一国二制度論」ではないか。香港とマカオの2つの特別行政区は、一国二制度と呼ばれる中国独特の統治システムで、「高度な自治権を有するが、外交と防衛権を有しない」行政単位であり、行政長官と立法機関をもつ。上海閥は特別行政区の地位を狙っているだろう。台湾の呂秀蓮副総統と李登輝前総統、チベットのダライラマが相次いで中国からの独立を放棄した理由は、上海・チベット・台湾がでいずれも中国の特別行政区になり、一つの中国の名の下に統一されるという青写真を中国政府に対して主張することで、上海とチベットの特別行政区化を支援することであると想像する。上海の特別行政区化は膨大な税収の消滅による国家財政の危機を生み出す。一般の中国人の富裕な上海に対する不満も爆発しかねない。国内の均衡ある発展を目指す胡錦濤政権は決して上海の特別行政区化を容認できないだろう。しかし、上海の特別行政区化を否定することは、上海と共に特別行政区になることで台湾やチベットの分離独立問題が解消できるという台湾の呂秀蓮副総統と李登輝前総統、チベットのダライラマの主張を否定するものであり、台湾独立強硬派の陳水扁総統の立場を強化するものである。中国政府は困難な選択を迫られ、結局は上海からの上納金を確保するために台湾の統一派を見捨てる事になるだろう。上海は、中国政府に上納金を納めたくないというホンネを隠して、「特別行政区化による台湾と大陸の統一という中国人の悲願を踏みにじった」という明目で中国政府を激しく批判する。この批判は中国政府の威信に大打撃を与えるだろう。そして、上海とチベットの二カ所で同時に、抗議運動が実行されると想像する。東西二正面作戦を強いられる中国政府に勝ち目が乏しいと思われる。 . . . 本文を読む
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