国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

「トルコはユダヤとの同盟を失った」 ターキッシュデイリーニュース 10月15日

2007年10月16日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
米国下院本会議でトルコ「虐殺」非難決議案が採択される可能性が一層高まってきた。この件に関して、トルコの英字紙「ターキッシュデイリーニュース」が「トルコはユダヤとの同盟を失った」と題する興味深い記事を載せている。先週、米国下院外交委員会で27-21で採択されたトルコ非難決議案だが、50名の構成員の内で8名を占めるユダヤ系議員(全員が民主党)のうち7人が決議に賛成し、決議反対議員は1人しかいなかったというのだ。トルコ政府の必死のロビー活動は、ユダヤ系議員達の心を動かさなかったという。また、下院外交委員会の議長のラントス議員(民主党、カリフォルニア州選出、ユダヤ系)が議決を実行し自らも賛成票を投じたことにその場にいたトルコ政府関係者は衝撃と怒りを覚えたという。2000年にこの決議が初めて議決された際にはラントス議員は反対であったが、2005年にはトルコがシリア・イランに再接近したことを理由に「トルコを罰するため」に決議案に賛成したという。その他、同じ10月15日付けでサルコジ仏大統領が賢人会議によってトルコのEU加盟を妨害しようとしている、という記事を「ターキッシュデイリーニュース」が掲載している。この二本の記事は欧州と米国に於けるトルコ外交の敗北を象徴していると思われる。この問題に関する私の見解は従来と変わりない。トルコ・イスラエル両国の支配階層はわざと敗北することで不良資産を一挙にリストラしようとしているのだと想像する。トルコにとっての不良資産はクルド人、北キプロス、アナトリア半島の非世俗的トルコ人であり、イスラエルにとっての不良資産はイスラエルの国土そのものと、中近東出身のアラブ系ユダヤ人たちである。そのリストラのために、両国政府が米国内のユダヤ系議員の協力を得てトルコ非難決議を米国下院外交委員会で採択させ、下院総会でも採択させようとしているというのが真相ではないかと私は想像(妄想)している。折しも、米国金融市場ではサブプライム関連信用デリバティブ(ABX)指数が10月15日に続落し、米株投資家の恐怖心理を反映するVIX指数が急上昇している。米国を中心とする世界的なバブルは破裂寸前であるが、トルコが巻き起こす破滅的戦争がその破裂の引き金を引くことになるのかもしれない。 . . . 本文を読む
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