国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

風雲急を告げるトルコ情勢:トルコの破滅的対外戦争の始まりか?

2007年10月12日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコ軍がイラク領クルド地域への越境攻撃の構えを見せている。もし本格的な戦争に突入すれば、イラクを占領する米国とトルコが軍事的に激突するという可能性も否定できないだろう。一方で、米国下院ではトルコによるアルメニア人虐殺非難決議が外務委員会で承認され、下院本会議での採択も視野に入っているなど、トルコは対米関係悪化を深刻化させている。このまま本会議でも非難決議が採択されれば、トルコは通告通り米国のイラク作戦に不可欠なトルコ領内のインジルリク基地の使用を拒むかもしれない。それは、イラク戦争継続を困難にさせるだろう。 私は、米国が下院総会でもアルメニア人虐殺非難決議案を採択するというシナリオが組まれているのではないかと想像している。そしてトルコ領内のインジルリク基地の使用拒否、イラク北部へのトルコ軍の侵攻が発生し、その事態に対処するという明目で米国とイラン・シリアとの(表向きの)対立が解消される予定になっているのではないかと想像する。ベトナム戦争の深刻化が米中国交回復に繋がったのと同様のシナリオである。北朝鮮の核支援を受けたシリア・イランが米国の友好国になることでイスラエルの滅亡が確定することになる。 その後はトルコでは、米軍に支援されたイラク領クルディスタンから分離独立軍が大規模に侵入して内戦が激化すると想像する。同時にアルメニア国境、ギリシャ国境、キプロス軍事境界線付近でも領土返還を求める争いが勃発する可能性がある。トルコは周辺国全てを敵に回した破滅的戦争に突入して敗北することになるだろう。 このシナリオでは、米国・イラン・シリアの全てが利益を得ることができる。その代わり、イスラエルは滅亡し、トルコは破滅的敗北を経験することになる。イスラエル・トルコではこの敗北によって逆に活路を開くことを意図する勢力が政権を支配しているのではないかと私は想像している。イスラエルの国家としての先行きの暗さを考えたとき、アシュケナジーが自国の滅亡と引き替えに出身地の東欧への移住を検討するのは当然とも考えられる。また、トルコの支配階層は北キプロス、クルディスタン、アナトリア半島のイスラム原理主義的トルコ人といった不良資産を敗北によって一挙に切り捨てて、世俗的イスラム教徒から成るイスタンブール・イズミル両地区だけの小国を建国することを狙っているのではないか。 . . . 本文を読む
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