国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

EUはキプロス問題をどの様に考えているのか?

2007年10月03日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
EUはなぜこれほどまでにキプロス問題でトルコに対して強硬なのだろうか?その答えは、トルコが北キプロスに本土から住民を大量に送り込んでいることにあると思われる。トルコ側の意図としては、少数派のトルコ系キプロス人の人口を増やして交渉を有利にすることが最も考えやすい(移住者にクルド人が多いのは、生活苦で移住を希望する人にクルド人が多いからだろう)。そして、キプロスをトルコ系北キプロスとギリシャ系南キプロスの連邦国家に変身させることで、EU国内にトルコ系住民から成る主権国家を作り出すことが最大の狙いなのだろう。それは、トルコ本体をEUに加盟させるための工作の一環とも考えられる。 しかし、EUの側から見るならば、多数派のギリシャ人と少数派のトルコ系住民が共存していたキプロスに軍隊を送り込んで北キプロスを占領し、そこに本土から住民を大量に送り込むというトルコの行動は絶対に許せないものだろう。これを放置すれば、将来トルコ系住民がキプロスで多数派になり、キプロス全体がトルコに乗っ取られるという事態も起きかねないだろう。EU域内でありながらEU政府の権限が及ばず、トルコ政府が大量に移民を送り込んでいるという現状は非常に危険なものである。不法移民対策に躍起となっているEU政府を現在のトルコ政府は刺激し続けているのだ。 では、EUはトルコや北キプロスについて一体どの様な状態を理想と考え、どの様なシナリオを立てているのだろうか?JANJANに紹介された『ヨーロッパは中世に100年にわたって十字軍戦争を戦い、ギリシャのあるバルカン半島は16世紀から400年近くオスマントルコの支配に苦しんできた。今は移民(イスラム教徒が多い)問題を抱える。対立の歴史は長く、今にまで及んでいる。EUのある委員は「トルコは中東とのバッファ(緩衝地帯)となるためにも外にいてもらいたい」とさえ言う。ものは言いようだが、トルコには加盟してほしくないというのが欧州諸国の本音だろう。』という部分がEUの本音、理想ではないだろうか。 . . . 本文を読む
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