国際情勢の分析と予測

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トルコ軍がイラク領内に侵攻することを認める法案をトルコ政府が議会に提出、17日に可決される

2007年10月18日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
米国下院本会議でアルメニア人虐殺問題に関するトルコ非難決議が採択される可能性が高まっているのと並行して、トルコ議会ではトルコ軍にイラク領内への侵攻を認める法案が提出されており、10月17日に可決された。作戦中に米軍兵士と遭遇した場合の対処を含め、作戦の詳細について関係者は明らかにしていない。最も可能性の高いシナリオとしてターキッシュデイリーニュース紙は、『空軍に支援されたトルコ陸軍がイラク領内で標的となるPKK基地を攻撃した後トルコ領内に戻る』というものを挙げている。 また、イラク国境警備隊の伝えるところによれば、国境沿いに展開したトルコ軍は国境を越えてイラク北部の村を砲撃している。地図で見ると、最新の攻撃対象となった村は国境から30ないし35km程度離れていると想像され、トルコ陸軍は国境を越えていないとしても既にイラク領内深部まで攻撃が及んでいることを示している。 トルコ第三政党の民族主義者行動党が米国への報復としてインジルリク基地の閉鎖を主張し、基地労働者も基地閉鎖を容認するなど、事態は一層混迷の度を深めている。米国下院本会議でトルコ非難決議が採択されればインジルリク基地閉鎖とイラク北部へのトルコ陸軍の侵攻が現実のものとなりそうだ。その場合、イラク北部で活動する米軍部隊とトルコ陸軍が遭遇した場合にどのような事態が起こるかという点が非常に注目される。場合によっては米陸軍とトルコ陸軍が激突するということもあり得るかもしれない。 . . . 本文を読む
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