記憶力のよい男の子

午後の散歩の帰り道
小学校のそばを通った
体格のよい男の子がいた

「こんにちは」と声をかけてくれて、「こんにちは」

少し間を置いて、

「……」

なにやら声をかけてきた
聞こえなかったので

「暑いね。」

と声をかけたら、急に両親のケータイ番号をしゃべりはじめた

「０９０　××××　××××」

続けて、

「０９０　××××　××××」

「もしかしてケータイの番号？よく覚えてるわね
ワタシなんて自分のも覚えてないわよ」

「あとね、ウチのおばーちゃんちの電話はね
０１７２　××　××××　だよ」

「僕、あまり知らない人に教えちゃだめだからね」

そういった私の声は聞いていないようだった…


どうやら話好きの男の子で、いろんな話をしてくるのだった
ふとランドセルに目がいって触らせてもらった
紺色を少し明るくしたような色合いでさわった感じがくにゃくにゃしている

「今のランドセルってやわらかいのね。久しぶりだわ」

黒と赤のランドセルはいつのことだったかしら…
途中で別れることになったが、

「またいつかね」

楽しいひとときでした