◎正しい教え、誠の信仰
さて伊弉諾命は、黒御鬘(くろみかづら)を投げ捨て給うたところ、誠の教えの信仰の若い信者が出てきた。ところが追ってきた黄泉醜女はこれを拾って取って食らうという挙に出る。
この妨害行為にたまらず伊弉諾命は、今度は御角髪(みみづら)にまかせる湯津津間櫛(ゆづつまぐし)を引きぬいて、世間に正しい教えを宣伝したところ、箏(たかむら)という上流階級の貴紳の理解を得るようになった。ところが黄泉醜女軍団は、これをも抜いて食べ、この試みをも亡きものにしようとした。その隙に伊弉諾命は逃走を続けた。
さて、正しい教え、誠の信仰と気軽に使っているが、ある宗教教団が無条件に正しいと言えることはなく、またずれたような教団でもちゃんと神仏に出会った正しき人は時にいるもの。また一方で万教同根と云い、宗派を問わず正しい教えはあるものだという主張もしている。
よってその教えが正しいかどうかはその人次第ということでもあり、加入している教団が正しいかどうかは、真の神仏がどういうものかを知らない本人には見分ける術はないということでもある。また正しい教団でも正しからざる信者もいる。