◎意識して肉体を動かす
今日で丁度きくち体操を始めて半年。きくち体操は、老人向けに特化した老化防止と、脳と筋肉の若返りを狙う体操。
老化とは、20代の後半から自覚されるものだが、60代に入るといろいろな形で実感されるものだと思う。
きくち体操本は6、7冊読んで、youtubeで練習を重ねている。創始者の菊池和子先生は、幼くして右手の指にやけどを負い動かない指があったが、菊池体操で中年になってからその指の感覚を取り戻し動くようになったという。
もちろんそれはきくち体操の功徳であるが、そこに至るまでの様々な苦心と工夫、一途な願いの結実だと思う。きくち体操では、身体を意識的に(脳で)動かす、動かす部位を見て意識する。感覚のなくなったり薄くなった部位をさすったり、触ったりして感覚を呼び戻すなど、どういうポーズ、ポスチャーを何回とるということよりも、そうした意識の使い方の方に主眼があるように思う。
さらに意識してか知らずか、下腹を引いて腹筋を使いなさいという指示がよく出る。どこを動かすにも丹田を使って手足の先までつなげて動かしなさいという配慮の気配がある。
私は、過去半年は、日常の動作がスムーズにできることと運動のスタミナをつけることを目標にしてやってきた。ここにきて、だいぶ普通に動けるようになるという成果はあったが、むしろどのような部分の老化が進んでいるのかを知ることになったのが大きな進歩と感じている。
具体的には、足腰回りはかなりよくなったが、
腕・手・手指の老化がかなり進んでいたことに気がつかされた。それで最近は、腕・手・手指に力点を置いて運動するようにしている。
老化と言えば筋肉の痩せだと思う人が多いが、それを能動的に動かす脳と筋肉のつながりが切れてしまうのも老化。菊池先生は、認知症になるときくち体操は効果がないとおっしゃる。意識的に筋肉を動かすことができないからである。
有る部位の筋肉を強化する運動をしてもその強度が残るのは、この年齢ではせいぜい3日。友人から筋肉復活といっても筋肉は一気につくものではなく、一度には薄皮一枚つくだけと聞いた。
この半年に感じたことは、普段動かしていない部位、あるいは痩せてしまった部位を動かすと、リンパあるいは血液が集まり張りが出るが、筋肉ではない。これを継続するとなぜかその付近のすじや筋肉の軽い痛みが継続する。が、筋肉はついていない。やがてその痛みがなくなった頃、その部位が少々太くなり、筋肉がついたようだとわかる。
宇宙から帰還した宇宙飛行士は、毎日ハードなリハビリを3時間で3か月やれば復活するそうだが、この年ではケガをしないようにやることが肝要。
そういえば、この半年間で、両脚の膝の外側の筋肉に負荷を掛け過ぎ、二日間自宅に蟄居したことがあった。これはきくち体操の先生の指示通りやったら、そうなったので、以後その部位は軽くやることにしている。筋肉は痩せると萎縮して固まるもの。この件では、無理はできないことを痛感した。
また年を取ると頭に霞がかかるというが、慢性的貧血のようなことに脳がなっているのだろう。
これも実は、筋肉量の減少によって起きているものらしく、頭をはっきりさせるには、筋肉をつけねばならないという事も改めて意識させられた。
そしてそれに関連して心肺機能の低下も筋肉量の減少によって起きているものらしく、筋肉量を増やさないと心肺機能も改善しないことがわかった。
菊池和子先生は、過去何十年も人の老化例を無数に見てきており、半言隻句に意味があることが次第にわかるようになってきた。
特に私はお粗末に聞いているのかもしれないが、5つ指図されて3つしかできていないということがままあることがだんだんわかってきて汗顔の至り。
菊池和子先生の言うように意識して肉体を動かすというのは、大切であると思う。