ANAの機内誌「翼の王国」に「あるこほーるどりーむ」という2~3ページほどのシリーズがある。
3月号は「ボトルりんご」という作者は名前を忘れてしまったが外国人の作品だった。
ちょど収穫時という時にタイミング悪く骨折してしまったりんご園の主の話だ。
一年で一番大事なときに骨折するという夫の自覚の無さに奥さんは激怒、骨折の理由が酒場で足を滑らせてというのだから、無理もない。
リンゴ園の収穫作業は、働き手を失って、奥さんの肩にずっしりとのしかかることになる。
そこで、園主である夫は、あるものを使い、短い休暇を楽しんでいたスキーインストラクターたちを駆り出し、収穫の大仕事を見事乗り切るのだ。
そのあるものとは、ボトルりんごと呼ばれる主手作りのアップルモルトのウイスキーだ。
それは、見たところ、何の変哲もない、ウイスキーなのだけれど、そのボトルの中になぜかりんごが丸ごと一個入っているのだ。
ラムネのような感じだろうけれど、ラムネの玉とりんごでは大きさが全然違う。
なんとも不思議だ。
その不思議なボトルりんご、作り方はこうだ。
りんごの芽の剪定時に、程よい芽に適度なボトルをさかさまに被せるように周りの枝などに縛り付けて固定する。
すると、芽がボトルの中で育っていってりんごの実をつける。
あまり大きくならないうちに摘み取ると、見事にりんごはボトルの中に。
そこへウイスキーを注ぎいれ2ヶ月ほど熟成させると、アップルモルトのできあがりだ。
このボトルりんごのウイスキー、これ1本で、大の男が休暇を投げ出し果樹園労働を買って出るほどの絶品なのだ。
でも、これがエッセーなのか小説なのかそもそもはっきりしないから、ほんとうに作れるものなのかどうかわからない。
私は、りんごが生っているのをつぶさに観察したことはないから、単純にりんごの実といえば垂れ下がって生っているような気がする。
この場合、りんごは逆立ちしながら育っていくわけだけれど、あり得るのだろうか?
りんごの頭の部分についている枝というかあの部分が、育っていく実の重さに耐えられるのだろうか?
さかさまのボトルの肩に乗っかって育って行くならば、実には傷がつくと思うし・・・。
もしかしたら、翻訳の間違えじゃないのかしら?
ボトルは下にぶら下がるように固定するんじゃないのかしら?
でも、それなら、雨が壜の口から入ってしまうかな~。
それに、挿絵に逆立ちのボトルが描かれているから、やっぱりこれでいいんだろう。
うう~む、このボトルりんご、ほんとうに作れるものなのかしら?
我が家にりんごの木があったら作ってみたい。
でも、りんごの木はないのよ、ああ、残念
友人の顔を思い浮かべてみる。
りんごの木を植えている人はいないな~。
余市の果樹園にメールで提案してみようかしら。
でも、迷惑がられそう
さて、そのボトルりんごは、インストラクターたちの報酬となった3本で終わった。
彼はボトルりんごを、リンゴ園の端っこの自分専用の木でほそぼそと作っていたのだけれど、収穫の時期を逃すとりんごが大きくなりすぎてボトルを割ってしまう。
そこまで奥さんが気を配ってくれないだろうから、ボトルは全部割れているだろうと諦めていた。
すると、なんと奥さんが丁度良いタイミングで全部収穫してくれていたのだ。
奥さんの夫への愛情か、ボトルりんごの思わぬ価値に気づいたからなのか。
両方でしょうね。