ANAの機内誌「翼の王国」だけれど、娘の引越しの手伝いで3月に行って、4月に帰ってきたので、帰りは号が新しくなっていた。
新しい号の「あるこほーるどりーむ」は、レストランを経営している日本人女性のエッセーだった。
「ホワイトアスパラガス」というタイトルに惹かれて読み始めた。
筆者はレストラン経営の合間を見ては世界中を旅しているというから、なんとも羨ましい。
あるとき、彼女がフランス、イタリアだったかも知れないけれど、そのあたりの地方の町へ行ったとき、季節はホワイトアスパラガスのシーズンだった。
ホテルの近くの市場ではいまや盛りのホワイトアスパラガスが、山盛りに売られていた。
筆者の近くに立っていた主婦らしき中年の女性が、買い物籠を握り締め、ホワイトアスパラガスの山を睨むように見ている。
彼女は頭の中では、家族の人数と目の前の一山、その金額とが繰り返し繰り返し巡っているらしい。
やはり、ホワイトアスパラガスは洋の東西を問わず希少で高価なものらしい。
その主婦はやがてホワイトアスパラガスを一山買って帰ったのだが、その夜の食卓は春の香りでいっぱいだったことだろう。
ああ、私も食べたい、ホワイトアスパラガス。
でも、まだ早いわね。
帰宅して冷蔵庫を開けるとほとんどからっぽ。
出かける前の2~3日で、冷蔵庫の中のものを食べつくして出かけたんだっけ。
翌日冷蔵庫を一杯にするべく買い物に出かけると、野菜コーナーに、ホワイトアスパラガスがほんの数束並べられていた。
おや、シーズンには少し早いような、どうしたんだろう。もしかして、私の気持ちが通じたのかしら?
北海道はアスパラガスの産地として知られているけれど、大概のお宅でも庭に数株は植えている。
我が家でも5~6株はある。そして、春から夏にかけては毎日収穫して新鮮な味を堪能している。
でも、ホワイトとなると話は別。
グリーンとホワイトはもともとは同じものだけれど、ホワイトにするために土に埋めるなど日が当たらないように手間隙かけて育てなければならない。
そのうえ、痛みが早い。
まさに深窓の令嬢なのだ。
放任主義の我が家などでは到底無理だ。
そういうわけで、農家でもそうたくさんは作られていない。作られているものの殆どは贈答用だという。
我が家の近くのスーパーに置かれるのは、年に1~2度。
それも、シーズンがきたら毎年あるというわけではなくて、あたかも農家さんの気まぐれのように、売っていたり売っていなかったりする。
贈答用に使えなかった分があるときだけ、スーパーに廻しているのかも知れない。
あ、もう出かける用意をしなければ。