北海道東部の釧路と根室の間に牡蠣で有名な厚岸町という町があります。
この町にある厚岸湖には、牡蠣殻が堆積してできた牡蠣島があり、ここで海水を栄養分として育つ珍しい塩生植物が1891年に発見されました。
この珍しい塩性植物は、この町の名前を取って「アッケシソウ」と命名されたそうです。
今日はこの珍しい塩生植物「アッケシソウ」について調べました。
「アッケシソウ」はアカザ科に属する一年性草木で、海水を栄養分にして育つ珍しい塩生植物です。
・これが「アッケシソウ」です。(植物雑学辞典HPより)
・秋になるとこのように紅色に紅葉します。(植物雑学辞典HPより)
「アッケシソウ」は波が直接あたることの少ない海岸の入り江や塩田、干拓地などの塩湿地という特殊な環境に生育する塩生植物で、茎は多くの枝に分かれ、高さ10~40cmになります。
枝は茎よりも短く、葉は退化して麟片状になっており、秋には全体が緑から赤へと色づきます。その見た目から「サンゴソウ」とも呼ばれています。
・一面に紅葉した「アッケシソウ」です。(植物雑学辞典HPより)
世界的には、ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどの寒帯地域に広範囲に分布し、北半球のほぼ全域で見られるそうです。
日本では、厚岸町に続いて1912年(大正1年)には愛媛県でも発見され、日本の第2の産地として発表されました。
その後、各地で分布が確認されていましたが、塩田跡地の開発によって「アッケシソウ」群落は殆ど絶滅に近いとされていましたが、2003年末に岡山県浅口市寄島町で自生していることが確認され、住民の人たちが「守る会」を発足させて自生地の保護や生態調査を行っているそうです。
・赤く色づき始めた浅口市寄島町の「アッケシソウ」です。(浅口市のHPより)
「アッケシソウ」は、環境省のレッドデータブックで、絶滅危惧種に指定されている海浜植物で、本州では唯一、寄島干拓地で自生が確認されてるそうです。
・真紅に紅葉したアッケシソウです(浅口市のHPより)
「アッケシソウ」は、海岸地方においては昔から刺身のツマとして利用されたり、夏バテの防止などの薬用にも用いられたと伝えられています。
ヨーロッパではサラダの食材やピクルスの材料として利用されており、また中国では漢方薬として多くの病院で使用されているそうです。
(お断り)
寄島町は私の実家の隣町ですが、北海道から遠く離れたこの町に、このような珍しい塩生植物が自生していることは全く知りませんでした。
この夏に、図らずも実弟からこのことを聞き、秋の紅葉時期に帰省して、実物を確認したうえで記事にすることを考えていました。
しかし、年内にはその機会がないため、「アッケシソウ」の実物を確認することなく、更に、他者のHPからの画像を借用していることをお断しておきます。