春のポピュラーな花として、日本中のどこの道端や荒れ地、土手や畦などに、かわいい黄色の花を咲かせるタンポポは、大型連休のこの時期には、多くが短い花の生涯を終えています。
しかし、今でも出遅れた僅かな茎が花を咲かせて、精一杯自分の存在をアピールしているように見える健気な姿が散見されます。
タンポポって本当に可愛い花ですね。
ところで、タンポポと言えば子供のころから馴染みの深い野草ですが、この名前の由来はどこからなのでしょうか?
調べてみました。
「タンポポ」
タンポポ(蒲公英)はキク科タンポポ属の多年草で、世界には数百、日本には数十種類が自生しています。
地面を這うように茎や葉っぱを生やし、春に黄色い花を咲かせます。
この黄色い花が枯れると、綿毛のような種ができ、綿毛は風に乗って飛んでいって子孫を残します。
「名前の由来」
名前の由来は、諸説あります。
・その一つは、種の冠毛(かんもう)が丸く集まっている様子が、綿を丸めて布などで包んだ「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」と名づけられたとする説。
・他には、田んぼのあぜ道などによく生えていることから、昔は「田菜」と呼ばれていて、その「たな」が「たん」に変化し、綿毛がほほけるという特徴を表す「ほほ」と結びついて「たんぽぽ」になったという説。
・更に、タンポポの茎の両端を細かく裂くと、反り返って鼓のような形になることから「鼓草(つつみぐさ)」と呼ばれていて、鼓を叩いたときの「タンタン、ポンポン」という音がタンポポの名前の由来になったという説もあります。
いずれにしても、タンポポは昔から日本人の暮らしに溶け込んでいる親しみのある野草です。
「花言葉の由来」
タンポポの花言葉には「幸せ」「愛の信託」「真心の愛」「信託」「別離」などがありますが、多くはヨーロッパで昔から親しまれてきた、「タンポポの綿毛を一息で吹き切ることができれば恋心が叶う」という恋占いに由来しているそうです。
その中の一つ、「離別」の花言葉には次のような話が残っています。
・南風に吹かれて離別したタンポポ(右の茎)です。
・花言葉「離別」の由来
「タンポポと南風」
昔、怠け者の南風は、いつもよのうにのんびりと木陰に寝そべり、穏やかな風を吹かせていました。
ある日、南風は美しい黄色い髪をした少女に一目惚れし、彼女のいる場所から離れることなく、毎日うっとりと眺めて過ごすようになりました。
南風は気づいていませんでしたが、少女はタンポポの花でした。
やがて月日が経つと、黄色いタンポポが綿毛になるように、黄色い髪の少女は白髪の老婆になってしまいました。
その姿をみて悲しくなった南風がため息をつくと、綿毛が全て飛ばされてしまい、南風は二度と少女に会うことができなくなってしまったというお話です。
アメリカに古くから伝わる、少し切ないこの物語が「別離」という花言葉の由来となったという事です。