今年の干支は「辰」ですが、十二支の中では「辰」だけが空想の動物となっています。
空想の動物「辰」はどのようにして生まれたのでしょか?
「干支の始まり」
先ず、十二支の始まりは、紀元前1600年頃、中国最古の王朝である殷(いん)の時代とされています。
古代中国では、惑星のうちで、もっとも尊い星と考えられていた木星が、約12年で天球を一周することから、その位置を示すために天球を12の区画に分けてそれぞれに名前を付けたものが十二支の名前の由来といわれています。
元来「子」や「丑」などの字に「ねずみ」や「うし」といった意味はありませんが、民衆にも十二支を広めたいという思いから、動物の名前を当てはめるようになったそうです。
日本に十二支が伝わったのは6世紀半ばで、江戸時代に入ると民衆の間で年回りや時刻を動物で表現する習慣が浸透しました。
「三停九似説」
中国で龍のイメージができあがったのは後漢の王符という学者による「九似説」と宋の羅願曾の「三停説」を合わせた「三停九似説」に基づいているといわれています。
「三停」
「三停」とは龍のプロポーションについてを示しています。
首から腕の付け根までを上停、腕の付け根から腰までを中停、腰から尾までを下停と言い、この三つの部分の長さがそれぞれ等しいことを意味しており、これは、天上、海中、地底の三界に通じるとされています。
「九似」
「九似」とは、龍の九つの部位がそれぞれ他の動物に似ていることを言います。
・角は鹿、
・耳は牛
・頭は駝(らくだ)
・目は鬼
・鱗は鯉
・爪は鷹、
・掌(たなごころ=てのひら)は虎、
・腹は蜃(蛟:みずち)=(蛇に似て4脚を持ち、毒気を吐いて人を害するという)
・項(うなじ)は蛇
に似ていると記されており、龍を描く時にはこの「三停九似説」に則り描かれるという事です。
・龍の九似です。
「龍のかたちの特徴」
龍のかたちには下記の特徴があると言われています。
・背中に81枚の鱗があって、
・喉の下に1枚だけ逆さにはえている鱗がある。(逆鱗(げきりん)
・口の横には長い髭があり、
・声は銅盤(銅製のたらい)を打った時の音に似ている
・顎の下に輝く珠がある
・手には宝珠を持っているとされています。
三停九似説や龍の特徴は、人間の創造力からできたものですが、龍はあらゆる動物の祖であり、あらゆる動物の頂点に君臨するものとして最高の瑞祥と崇められているという事です。
「辰と龍の関係」
なお「辰」には「龍」という意味はありません。
「辰」は十二支の一つで「草木が成長して、形が整ってくること」を表す漢字で、「草木の整う時期」「草木が或る程度茂り、形になってくる時期」と言う事です。
十二支に動物が充てられた時に五番目の項目として「辰」に「龍」が充てはまめられ、それ以来、元々関係のない「辰」と「龍」は同じと考えられてきたという事です。