ゆずりは ~子想~

幼い葉が成長するのを待って、古い葉が譲って落ちることから名付けられた「ゆずり葉の樹」。語りつがれる想いとは・・・

奈良女児殺人事件から1年・・・

2005年11月17日 | 子ども
今日、奈良で起こった当時小学1年生の女の子が殺害され、放置された事件からちょうど1年経った、という記事を夕方目にした。そっかぁ、そうだったかぁ、もう1年経ったのかぁ~と、なんだか心から何かが抜けたような感覚がした。

この事件は、なんだか自分自身身近に感じて、とてつもない怒りがこみ上げたのを覚えている。歳も我が子と近いし、奈良の夫の実家に割と近いところで起こった事件だったから余計に自分と置き換えてしまった。どこにも行き場の無い怒り、悔やみ、悲しみ・・・。こんなことがあってはならない!という社会に対する怒りと疑問。

そんな今日、私は子どもたちを連れて某ゆめタ○ンへ遊びに行っていた。だいたい庭のようになっている2階部分。どこになにがあるか知り尽くしているサーヤは、「ママ、あそこに行ってくるね。」「ママ、ここで見てるね。」と言っては、どこかへ消えてしまう。慣れっこになっている私も私で、ま、大丈夫だろうと、「知らない人に着いていかないんだよ。」「知らない人に声を掛けられたら、お店の人に言うんだよ。」「ママは知らない人にサーヤを呼ばせたりしないからね。」と言うことだけ言って、別行動になることがあるのだ。こんな助言や注意が当てにならないことを知っていながら、自分の気持ちを納得させるために、自分の防御のために言っているのだ。本当に、当てにならないのに。この事件の時に、「1年生だって3年生だって、分かっていても人のことを信じたり、疑いながらも付いていったりするよねぇ。あたりまえよねぇ。」なんて、子どもの危うさを再確認したはずなのに。

今日も、エリーをひとしきり遊ばせた後、別のところに行っているサーヤを迎えに行った。その途中、変な人物に出くわした。歩き方も、風貌も、どことなく不自然な男性だった。障害者?それとも足の不自由な人?誰かのお父さん?そんな曖昧な印象ではあったが、私の頭には「要注意」信号が出ていた。そして、サーヤのところに着くと、しばらく一緒にいたが、そのうちエリーがグズグズ言い出したので、「おっぱいルームに行ってくるけど、サーヤはどうする?」と聞いた。サーヤは、「ここで待ってる。」
そんなやり取りを3回繰り返し、サーヤはやっぱり待っていると言うので、置いて行こうとしたところへ、先ほどの男がささっと、私の後ろからサーヤへの距離を縮めたのだ。後ろにいたことにも驚いたが、サーヤとの会話後、私がサーヤに背中を向けたとたんにさっと動いたことにも驚いた。そして、私はやはり心配になって、「変な人がいるから、サーヤ、一緒に行こう。」と言い、一緒に移動した。すると、その男はいつの間にやら、近くのおもちゃ屋のゲームで遊んでいたのだ。さも、それをずっとしていたかのように。それが目的であるかのように。

用を済ませた後、私たちはしばらくおもちゃ屋で遊んでいた。近くにはサーヤと同じくらいの可愛い女の子が、一人でふらふらおもちゃを眺めていた。すると、女の子のいるスペースから2メートル以内のところに、あの男が立っているではないか。そして、女の子が移動するたびに、その子に付いていく。私は、ちらちらとその動向を見ていた。やはり、女の子のそばから離れない。「あの子のお父さん?」と、ふと思って、変な心配だったかな、と少し安心した。
女の子のお母さんが現れ、下の子と一緒に話している。その時は、男はいない。「お母さんが来たから、面倒を見るのを交代したんだ。」と思う。そして再び、女の子は一人になる。すると、男が現れる。
「???やっぱり、どこか不自然?」
2度目にお母さんが現れた時に、私はそっと聞いてみた。
「さっきからそばにいる男の人は、お父さんですか?」
すると、「え?いいえ、そんな人いるんですか?」と、びっくりした様子。
「さっきから、この子のそばを付いている男の人がいるから、気をつけてください。」と、女警備官さながらに言ってみた。渡辺えり子みたい。
そのお母さん、私みたいだったんだもん。もうだいぶ大きくなって、離れられる年齢で、しかもゆめタ○ンやし、なんにも危なくないし・・・、という心の隙が、私と一緒やったんだもん。不安になったのさ。

知り合いの店の人に聞いたら、その男は、毎日夕方から来る人で、そのように子どもの後を付けたり、じーっと見ていたりする、少し脳にハンディのある人だそうだ。1度客から苦情があり、一旦は母親と一緒に来店していたらしいが、ほとぼりが醒めるとまたこうして一人でぶらっと来ているらしい。このような少し行動のおかしな人が、こんな大型店にはよく来るので、本当に注意してほしいって言っていた。何を根拠にかは分からないが、親御さん自身が子どもを一人にしているケースが目立つから(子ども服屋とかに置き去りにして、他のテナントへ行ってしまうとか)、何かあっても店の方では責任が取れないし、何かあってからでは遅いから・・・、とぼやいていた。気をつけよう。私が一番、気をつけよう、と襟を正した日だった。

陥りやすい日常のすき間。
ああ、恐かった。

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