ゆずりは ~子想~

幼い葉が成長するのを待って、古い葉が譲って落ちることから名付けられた「ゆずり葉の樹」。語りつがれる想いとは・・・

ハッピーバースデー 青木和雄・吉富多美

2005年11月20日 | 子ども
青木和雄・吉富多美著の「ハッピーバースデー」を完読した。
サーヤとエリーを寝かしつけてから読んだらいいのだろうけど、なかなかそうはいかずに、いつも一緒に眠ってしまう。そんな中、今日の昼過ぎのこと。二人とも昼寝をしていたことを理由に、おもむろに
「ちょっと出かけてくる・・。」
そう言い残し、私は家を出た。
もちろん、サーヤもエリーも置いて。夫に暗黙の子守を押し付けて。

どこへ向かったかというと、家の近くにあるケーキ屋さん。カフェも併設しているそのお店には、家の近くにありながらあまり行かない。子どもを連れて行ってもとても愛想のいいお店ではあるが、なかなか、ね。
今日は、初めて一人で入った。そして、コーヒーを注文し、読みふけった。
もちろん、日曜日の昼下がりには人が多く、席を待つ人が何人か現れたり、店を出る人も何人かいたりしながら、コンスタントに出入りしている中、私は2杯目のコーヒーを注文して居座った。2時間も!!

そして、完読したのだ。あんな明るくて人の多いところで読むんじゃなかった・・、と少しばかり後悔したが、かえってその方が感情を出し切らずに良かったのかもしれない。涙なくしては読めなかった。自分の子育てと自分の生い立ちとを重ね合わせながら、“あすか”という小学生の主人公の気持ちや関わる人たちの気持ちを汲み取る内に、大人になっての読書はいいものだなぁと、しみじみ思った。深く深く、行間や心の裏や言葉の意味を考えられるようになるからだ。

本の中で、衝撃的な言葉がいくつか登場する。
母親から虐待を受けていたあすかが、そのつらさを克服し強く生まれ変わった後に、またアイロンを押し付けられた時に発する言葉。
「ママだと思うから甘えたくなるんだよね。どんなに傷ついても、愛してほしいって思うんだよね。」中略「もうママとは呼びません。今日から静代さん(母の名前)と名前で呼ぶことにします。わたしを自分の一部のようにはもう思わないで下さい。」
それから、感動する言葉もいくつも登場する。
「空はね、元気をくれるんだってじいちゃんが言っていたよ。だからね、心が空っぽになったと思ったら、空を見上げて何度も深呼吸しなさいって。」
「人は変わるために学ぶんだよね。」

心に深く留まる一冊になった。
この児童書版を、サーヤはすでに読みきっていた。(読めない漢字については、感で読んでいたらしいので、本当の意味はわからなかっただろうけど。)泣きながら読んでいた。読後感想は、聞いていない。彼女の心の中にも、きっと残る一冊になっているに違いないと思っている。子どもも、大人も、そして1度読んだことのある人もぜひもう一度、読んでみてください。深いです。

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