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馳星周『少年と犬』2023・文春文庫-犬と人間の深い友情を描く

2024年08月05日 | 小説を読む

 2024年8月のブログです

     *

 馳星周さんの『少年と犬』(2023・文春文庫)を読む。

 以前から気になっていた本だが、なかなか読めず、今回、旭川の本屋さんで買って読んだ。

 いい小説だ。

 最後は久しぶりに泣いてしまった。

 じーじの涙がまだ渇ききっていなくてよかった。

 一匹の犬をめぐる短編連作だが、それに関わりあう人々の様子がとてもうまく描けていると思う。

 どの人たちも、貧困や病気、犯罪、障害などを抱えていて、なかなか大変な人生である。

 楽な人生は一つとしてないが、犬との出会いで、一時の安らぎを得る。

 犬との別れも必ずしも幸せな形とはいえないが、ある種の余韻を残して、充足感が漂う。

 おとなの小説だと思う。

 いろんな読み方、味わい方がありそうだ。

 子どもには少しわかりにくいかもしれない。

 最後は、東日本大震災での犬と人間の関わりが明かされるが、ここでもハッピーエンドとはならない。

 しかし、ひょっとすると、それ以上の学びになっているのかもしれない。

 深い小説だなと思う。 

 (文庫本には、2020年刊行の単行本に未収録の「少女と犬」が収録されています。これもいいお話です)    (2024.8 記)

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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コメント、ありがとうございます。 (どさんこじーじ)
2024-08-14 12:32:04
すみません。パソコンが不調で、今日、コメントが届きました(?)。ありがとうございます。
看護師さんのお仕事、ご苦労さまです。
人さまから教えていただいて読む本も確かにいいものですよね。
じーじもずいぶん教えてもらって読んでいます。
リタイア後も読書は楽しみですね。
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Unknown (kumaneko48 )
2024-08-05 12:55:31
初めまして 奈良のkumaneko48 現役の看護師です。
去年、患者に勧められて、本を貸して頂き拝読しました、『少年と犬』
短編集でよみやすかったです。

老人と犬」「少年と犬」が印象的でした。
人を通して出会える本も良いものです。
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