《前回までのあらすじ》
昨日の夜に読んだ、小明(あかり)女史の『アイドル墜落日記』があまりにも生々しかったため、そうだいは寝不足になっていた!
5、かわいそうなぞうVS宇宙怪獣
1957年期日不祥『地球へ2千万マイル』(レイ=ハリーハウゼン 特殊効果)
「宇宙怪獣」の話をする前に、「地球防衛軍」発足後の宇宙人の動きについてふれておきたいと思います。
1957年のミステリアン遊星人侵攻以降、実は宇宙人の大規模な地球侵略は1965年までピタッとやみました。その間、「ナタール人」という宇宙人が攻撃をかけてきたこともあったのですが(1959年『宇宙大戦争』)、主戦場はもっぱら月面か宇宙ステーションだったため、いまいち「地球が危ない!」という緊迫感はありませんでした。さすがは地球防衛軍。びびって宇宙人も寄りつかなくなったのか?
しかしながら、この数年間がまるまる平和だったということでもなく、たとえばあの「超自然災害大国」日本では、以下のような出来事がありました。
1958年 岩手で覚醒した古代恐竜バランが東京に飛来
1961年 南海の守護怪獣モスラがご主人様の小美人を捜して東京に上陸
※モスラ退治のためにあのマーカライトファープの軽量強化型パラボラ超兵器「原子熱線砲」が投入されるが、あんまし役にたたず
1962年 7年ぶりに復活した大怪獣ゴジラが日本に上陸し、なぜかそこにいた巨大猿キングコングとガチ対決
1963年 宇宙じゃなくて海底からやって来たムウ帝国侵攻軍と旧日本海軍の秘密超兵器「海底軍艦轟天号」が決戦
1964年 また日本にやって来たゴジラとモスラがガチ対決、結果モスラが勝利してゴジラ行方不明
こんな国でオリンピックが開催できるかァ!! 毎年のようになんか大事件が起きてる……
この間、宇宙人が攻めてこなかったのが、不幸中の幸いでした。というか、こんな地球あぶなっかしくて征服する気になりませんか。
とにかく、1960年代のなかばまでは「宇宙人」の地球襲来は沈静化していたのですが、そのいっぽうでちら、ちらと地球にやって来るようになったのが「宇宙怪獣」です。
おお! やっと出てきたか、宇宙怪獣が。
宇宙怪獣とはなにか。まぁざっと言っちゃうと、「科学力」じゃなくて「自力」で、ハダカ一貫で地球にぶらっと来た宇宙生物のことですね。
地球に人類がいるように宇宙にも宇宙人がおり、それと同じく、地球に動物がいるように宇宙にも宇宙怪獣がいるのです。その中には、空を飛ぶ鳥のごとく自由に宇宙空間を飛び回るものもいれば、百獣の王ライオンのごとく宇宙にその名をとどろかせる強者もいるのです。
特に地球征服などを企てているわけではないのですが、地球にとって理解しがたい超能力を持っていることの多い宇宙怪獣は、なにかと地球産の怪獣以上の迷惑度をそなえていることも多いわけで。
地球に初めてやってきた宇宙怪獣は?というと、やはり1957年にイタリアのローマで大暴れした「金星竜イーミア(日本ではイーマという発音でも有名)」なのではないでしょうか。
とはいっても、イーミアが金星から地球まで自力で飛んできたわけではありません。アメリカの発射した金星探査ロケットが地球に帰還した時に、なぜかそれにくっついていたのがイーミアの卵だったのです。
イタリア沖に墜落したロケットから、なにげに漁師が持ち帰ったゼリー状の卵から生まれたのは、2本足で歩行するゴリラのような顔つきの生物。ところが、全身は緑色のウロコでおおわれており、りっぱなシッポもはえている。
最初は30センチほどの大きさしかなかったこの金星トカゲだったのですが、イタリアを逃走するうちに信じられないスピードで成長していき、最終的にローマで暴れた時には身長5メートルほどまでの巨体になっていました。
あっ、あなた今、「5メートル」って聞いてショボいと思ったでしょ。
それがねぇ、身長5メートルの怪獣って、デカさが妙にリアルでこわいんですよ! 逃げる人間をガシッとつかんで振り回しちゃったりして。
また、動物園の飼育員がけしかけたゾウと闘うのも、おんなじくらいの背丈なので迫力がありまくり! ゾウを宇宙怪獣にけしかけるという動物虐待もいいところの暴挙におよんだ飼育員のおやじは、2匹の格闘に巻き込まれて圧死してしまいました。因果応報。
いやー、しかし……ハリーハウゼン様は、ここでも実にいいお仕事をしてるねぇ!
前回にも説明した「ストップモーション方式」によって生きているかのごとく暴れ回るイーミアに対して、地球の動物を代表して立ち向かうゾウも人形で造形されているのですが、つくりも動きもほんっとにリアルなのね!
着ぐるみ同士の怪獣対決もいいんですが、この『地球へ2千万マイル』におけるイーミアとゾウの対決も、独特のリズムと味わいがあってほんとに手に汗握ります。
お話をローマの死闘に戻して、奮戦むなしく、イーミアに頸動脈を噛み切られて敗れ去るかわいそうなゾウ。
しかしその直後には、かけつけたアメリカ軍のバズーカ砲攻撃によって、イーミアもコロッセオの最上部から転落、異国の地で無念の死をとげるのでした。合掌。
あわれだねぇ。結局、何の因果か来たくて来たわけでもない地球で生まれて、さんざんみんなに追いかけられた挙げ句に殺されちゃったんですから。
「金星竜」なんていいながらも、ゾウよりちょっと強い程度だったイーミアの存在自体は非常にちいさなものだったのですが、「地球にやって来た(来させられた)史上初の宇宙怪獣」というその意義は絶大なものがありました。
ともあれ、「宇宙には、地球人には想像のつかない特徴をもった生物がいる。」という事実をあらためて実感させてくれたのがイーミアだったのです。宇宙人だけじゃないんだねい。
恒例の余談ですが、現実の世界で人類の惑星探査機が初めて金星に降り立ったのは、『地球へ2千万マイル』が製作された時期から10年以上たった1970年のことでした。到達に成功したのはソヴィエト連邦の探査機「ベネラ7号」。
それ以降の数多くの調査によって判明したのは、金星が平均気温400℃の灼熱の惑星であること。地球にくらべてほんの414万キロだけ太陽に近いだけなのに、かなり暑くなるのねぇ。
だとしたら、バズーカ砲で死んじゃうような虚弱体質のイーミアにとっては過酷すぎる環境だったんじゃないかな。やっぱ、地球に来たほうがよかったんだよ、あんた。
《次回予告》
ハプニング的な感じで発生した1957年の「金星竜イーミア事件」だったのだが、宇宙怪獣もまた、宇宙人と同じくそれ以降はしばらくの間の沈黙を余儀なくされる。
つうか、宇宙人は侵略であれ友好であれなにかの目的があって地球に来るわけなのだが、あんまり物事を深く考えない宇宙怪獣は、宇宙をほっつき歩いているうちに偶然に地球を見つけてぶらり途中下車をするパターンが多くなるので、宇宙人以上に地球にやってくる確率は低くなるはずだ。
それに最初の例となったイーミアも、偶然とはいえ結果的には「人間が持ってきた」ことになるので(恐怖の『エイリアン』パターンのご先祖か!?)、正真正銘の「宇宙怪獣襲来!」といった迫力にはちと欠けていた。
しっか~し! 人々が宇宙人や宇宙怪獣の記憶を次第に薄れさせていた1964年。
ふたたび宇宙怪獣は地球に襲来した! 今度は自主的に! しかも2匹も! それぞれの事情をかかえつつ!!
ということで、次回は1964年の2大宇宙怪獣、「クラゲ」と「黄金の3つ首竜」のおでましだ~い。うおお!
みなさん、ついに次回で1964年です。「ガッツ星人」の1968年まであと、たったの4年しかないところまできたよ~。
もうちょっと! もうちょっとでゴールだよぉ。
とは言っても、この4年間の密度こそが超絶特濃なんですけどね……
昨日の夜に読んだ、小明(あかり)女史の『アイドル墜落日記』があまりにも生々しかったため、そうだいは寝不足になっていた!
5、かわいそうなぞうVS宇宙怪獣
1957年期日不祥『地球へ2千万マイル』(レイ=ハリーハウゼン 特殊効果)
「宇宙怪獣」の話をする前に、「地球防衛軍」発足後の宇宙人の動きについてふれておきたいと思います。
1957年のミステリアン遊星人侵攻以降、実は宇宙人の大規模な地球侵略は1965年までピタッとやみました。その間、「ナタール人」という宇宙人が攻撃をかけてきたこともあったのですが(1959年『宇宙大戦争』)、主戦場はもっぱら月面か宇宙ステーションだったため、いまいち「地球が危ない!」という緊迫感はありませんでした。さすがは地球防衛軍。びびって宇宙人も寄りつかなくなったのか?
しかしながら、この数年間がまるまる平和だったということでもなく、たとえばあの「超自然災害大国」日本では、以下のような出来事がありました。
1958年 岩手で覚醒した古代恐竜バランが東京に飛来
1961年 南海の守護怪獣モスラがご主人様の小美人を捜して東京に上陸
※モスラ退治のためにあのマーカライトファープの軽量強化型パラボラ超兵器「原子熱線砲」が投入されるが、あんまし役にたたず
1962年 7年ぶりに復活した大怪獣ゴジラが日本に上陸し、なぜかそこにいた巨大猿キングコングとガチ対決
1963年 宇宙じゃなくて海底からやって来たムウ帝国侵攻軍と旧日本海軍の秘密超兵器「海底軍艦轟天号」が決戦
1964年 また日本にやって来たゴジラとモスラがガチ対決、結果モスラが勝利してゴジラ行方不明
こんな国でオリンピックが開催できるかァ!! 毎年のようになんか大事件が起きてる……
この間、宇宙人が攻めてこなかったのが、不幸中の幸いでした。というか、こんな地球あぶなっかしくて征服する気になりませんか。
とにかく、1960年代のなかばまでは「宇宙人」の地球襲来は沈静化していたのですが、そのいっぽうでちら、ちらと地球にやって来るようになったのが「宇宙怪獣」です。
おお! やっと出てきたか、宇宙怪獣が。
宇宙怪獣とはなにか。まぁざっと言っちゃうと、「科学力」じゃなくて「自力」で、ハダカ一貫で地球にぶらっと来た宇宙生物のことですね。
地球に人類がいるように宇宙にも宇宙人がおり、それと同じく、地球に動物がいるように宇宙にも宇宙怪獣がいるのです。その中には、空を飛ぶ鳥のごとく自由に宇宙空間を飛び回るものもいれば、百獣の王ライオンのごとく宇宙にその名をとどろかせる強者もいるのです。
特に地球征服などを企てているわけではないのですが、地球にとって理解しがたい超能力を持っていることの多い宇宙怪獣は、なにかと地球産の怪獣以上の迷惑度をそなえていることも多いわけで。
地球に初めてやってきた宇宙怪獣は?というと、やはり1957年にイタリアのローマで大暴れした「金星竜イーミア(日本ではイーマという発音でも有名)」なのではないでしょうか。
とはいっても、イーミアが金星から地球まで自力で飛んできたわけではありません。アメリカの発射した金星探査ロケットが地球に帰還した時に、なぜかそれにくっついていたのがイーミアの卵だったのです。
イタリア沖に墜落したロケットから、なにげに漁師が持ち帰ったゼリー状の卵から生まれたのは、2本足で歩行するゴリラのような顔つきの生物。ところが、全身は緑色のウロコでおおわれており、りっぱなシッポもはえている。
最初は30センチほどの大きさしかなかったこの金星トカゲだったのですが、イタリアを逃走するうちに信じられないスピードで成長していき、最終的にローマで暴れた時には身長5メートルほどまでの巨体になっていました。
あっ、あなた今、「5メートル」って聞いてショボいと思ったでしょ。
それがねぇ、身長5メートルの怪獣って、デカさが妙にリアルでこわいんですよ! 逃げる人間をガシッとつかんで振り回しちゃったりして。
また、動物園の飼育員がけしかけたゾウと闘うのも、おんなじくらいの背丈なので迫力がありまくり! ゾウを宇宙怪獣にけしかけるという動物虐待もいいところの暴挙におよんだ飼育員のおやじは、2匹の格闘に巻き込まれて圧死してしまいました。因果応報。
いやー、しかし……ハリーハウゼン様は、ここでも実にいいお仕事をしてるねぇ!
前回にも説明した「ストップモーション方式」によって生きているかのごとく暴れ回るイーミアに対して、地球の動物を代表して立ち向かうゾウも人形で造形されているのですが、つくりも動きもほんっとにリアルなのね!
着ぐるみ同士の怪獣対決もいいんですが、この『地球へ2千万マイル』におけるイーミアとゾウの対決も、独特のリズムと味わいがあってほんとに手に汗握ります。
お話をローマの死闘に戻して、奮戦むなしく、イーミアに頸動脈を噛み切られて敗れ去るかわいそうなゾウ。
しかしその直後には、かけつけたアメリカ軍のバズーカ砲攻撃によって、イーミアもコロッセオの最上部から転落、異国の地で無念の死をとげるのでした。合掌。
あわれだねぇ。結局、何の因果か来たくて来たわけでもない地球で生まれて、さんざんみんなに追いかけられた挙げ句に殺されちゃったんですから。
「金星竜」なんていいながらも、ゾウよりちょっと強い程度だったイーミアの存在自体は非常にちいさなものだったのですが、「地球にやって来た(来させられた)史上初の宇宙怪獣」というその意義は絶大なものがありました。
ともあれ、「宇宙には、地球人には想像のつかない特徴をもった生物がいる。」という事実をあらためて実感させてくれたのがイーミアだったのです。宇宙人だけじゃないんだねい。
恒例の余談ですが、現実の世界で人類の惑星探査機が初めて金星に降り立ったのは、『地球へ2千万マイル』が製作された時期から10年以上たった1970年のことでした。到達に成功したのはソヴィエト連邦の探査機「ベネラ7号」。
それ以降の数多くの調査によって判明したのは、金星が平均気温400℃の灼熱の惑星であること。地球にくらべてほんの414万キロだけ太陽に近いだけなのに、かなり暑くなるのねぇ。
だとしたら、バズーカ砲で死んじゃうような虚弱体質のイーミアにとっては過酷すぎる環境だったんじゃないかな。やっぱ、地球に来たほうがよかったんだよ、あんた。
《次回予告》
ハプニング的な感じで発生した1957年の「金星竜イーミア事件」だったのだが、宇宙怪獣もまた、宇宙人と同じくそれ以降はしばらくの間の沈黙を余儀なくされる。
つうか、宇宙人は侵略であれ友好であれなにかの目的があって地球に来るわけなのだが、あんまり物事を深く考えない宇宙怪獣は、宇宙をほっつき歩いているうちに偶然に地球を見つけてぶらり途中下車をするパターンが多くなるので、宇宙人以上に地球にやってくる確率は低くなるはずだ。
それに最初の例となったイーミアも、偶然とはいえ結果的には「人間が持ってきた」ことになるので(恐怖の『エイリアン』パターンのご先祖か!?)、正真正銘の「宇宙怪獣襲来!」といった迫力にはちと欠けていた。
しっか~し! 人々が宇宙人や宇宙怪獣の記憶を次第に薄れさせていた1964年。
ふたたび宇宙怪獣は地球に襲来した! 今度は自主的に! しかも2匹も! それぞれの事情をかかえつつ!!
ということで、次回は1964年の2大宇宙怪獣、「クラゲ」と「黄金の3つ首竜」のおでましだ~い。うおお!
みなさん、ついに次回で1964年です。「ガッツ星人」の1968年まであと、たったの4年しかないところまできたよ~。
もうちょっと! もうちょっとでゴールだよぉ。
とは言っても、この4年間の密度こそが超絶特濃なんですけどね……