《前回までのあらすじ》
1965年12月。「X星人襲来事件」をもって、地球人類は「宇宙人と宇宙怪獣のタッグ」という史上最悪の危機をむかえてしまった。
しかし、「ある種の電波に鬼よわい」というX星人の弱点をついた反撃によって、今回も人類はなんとか勝利をかちとることができた。
さぁ、次はいったいどんなヤツが宇宙の果てからやって来るんだ~!?
9、なんか変な事件ばっかり連続して起きてきちゃった。
1966年1~7月『ウルトラQ』全28話
X星人に対する全面勝利という輝かしい締めくくりとなった1965年。
しかし、あけた1966年は、1月からずいぶんと調子のおかしな年になってしまいました。
なぜか! な~ぜか、毎週のように変な事件が連発して発生する。しかも、基本的に日本国内だけで……なぜなんだろう。
当時の世界情勢を考えると、依然として予断を許さないアメリカ・ソヴィエトの冷戦体制。そして、それにともない激化するいっぽうの宇宙開発競争と、核戦争の危機。
なにかとピリピリした空気に満ちた時代だったのでしょうが、そんな中で日本はどうだったかというと、まさに高度経済成長のまっただ中。
おそらくは、日本が世界に通用する経済大国になる、そういった気負いもあったのでしょう。いままで誰も手をつけることのなかった、日本に当たり前のように存在していた多くの物事が、世界共通のルール向けに解体・改造されていく時代となりました。
生活サイクル、食生活、ファッション、社会通念、娯楽、そして自然環境、などなど。
そして、たかだか2~30年という短期間の中にギュウギュウ詰めに押し込まれたそれらの無数の変化によって、せまい日本列島の各地でついに、ある種の「ゆがみ」が生じてしまったのでしょうか。
今までの人々の常識では考えられなかった、世にも奇妙な「アンバランス・ゾーン」が発生してしまうようになってしまったのです……
要するに、いわゆる「怪獣」が次々と覚醒する時代が本格的に始まったわけで、こうしたユニコーンもびっくりの大迷惑時代は、いくつかの一時的な中断をはさみながらもだいたい21世紀、2007年の春先ぐらいまで連綿と続いていくことになります。日本って、こんなに住むのが大変な国だったんだ……
さて、そんな中でどさくさにまぎれて宇宙人や宇宙怪獣も襲来してくるわけなんですが、彼らもまた、時代が進むにつれて劇的な進化をとげていくことになります。
そういった流れの始まりとなったのが、今回とりあげる1966年です。とてつもなくおっきなアニバーサリーイヤーなのよ、この年は!
しかし前半の7月くらいまでは、比較的小規模な事件がポツポツ起こるといった程度のものでした。
有名な事件だけを簡単にあげておくと、
1月 東海地方で、トンネル工事中に地底から身長10メートルの古代動物ゴメス(どことなくゴジラに似ている)が出現するが、同時に孵化したライバルの始祖鳥リトラと闘って相討ち
2月 富士山麓に全身が岩石でできた怪獣ゴルゴスが出現するが、コアである謎の発光物体を破壊されて崩壊(発光物体は宇宙から飛来した物質だった可能性あり)
3月 農業研究用の特殊栄養剤を食べたモグラが身長50メートルに巨大化して暴れるが、火山のマグマ層にあやまって衝突し焼死
4月 核実験による南極の温暖化により、ペンギンが突然変異した怪獣ペギラが南極から北極に避難、道すがら春の東京をプチ氷河期にする
5月 地底から出現した怪獣パゴスが好物のウランをねらって原子力発電所を襲撃するが(あぶねぇ!)、「ネオニュートロン・ミサイル」という秘密兵器により粉砕
6月 中東の秘宝の中に眠っていた怪獣ゴーガが覚醒し巨大化、東京で大暴れするが自衛隊の攻撃により焼死
7月 日本初の国産超音速旅客機が謎の異次元空間に迷い込み怪獣トドラに襲われるが、なんやかんやで脱出成功
なんだよ、これ!
のちのことを考えると、これでだいぶおとなしめな事件ばかりなんですからね……日本は本当におそろしい国だ。
そして、そんな中にさしはさんで、宇宙人や宇宙怪獣の登場する事件もちょいちょい発生していたのです。
10、なめくじと風船
1966年1月『宇宙からの贈りもの』・3月『バルンガ』
1月のある日、半年前に消息を絶っていたはずの火星探査ロケットがひょっこり地球に帰還してきます。ロケットには、もともと火星から地球に帰ってこられるシステムはなかったはずなのに、なぜ……
ロケットの中には、正体不明の小さな金色の玉が2つ。なにこれ、宇宙規模の下ネタ?
その後、それを純金だと勘違いしたギャングが宇宙開発局から強奪したり、アクセサリーだと勘違いした由利っぺ(レギュラーヒロインの女性記者)がのんきに首からぶらさげてたりしたのですが、直後に衝撃の展開が!
なんと、謎の金色の玉は、火星怪獣ナメゴンの卵だったのです!
説明するまでもない! ナメゴンはその名の通り、なめくじによく似た火星の生物である。ただし、身長30メートルで体重は1万トンだ。きもちわりぃよ!
武器は、その長ひょろい2本の眼から発射する怪光線。それに当たった生物はことごとく硬直死し、物体はハデに爆破してしまう。うーん、怪獣っぽいね。
弱点は小学生でも予想がつくだろう。そう!「塩水」だ。
火星から地球に送り込まれた2体のナメゴンのうち、ギャングに持ってかれたほうは運悪く伊豆の離れ小島で孵化してしまい、調子に乗って人間を追いかけたはずみで断崖から海に落ちてしまい、ぶくぶくぶく~っと溶け去ってしまった。あわれ……
由利っぺが首飾りにしていたほうも、コーヒーメーカーの熱で孵化したものの(おしゃれ)、それを見た世界的な大科学者・一ノ谷博士はまったく動じず、助手に
「きみ、急いで塩水をつくってきてくれ。」
と言うしまつ。迷惑度がなめくじとおんなじになっちゃったよ、ナメゴン!
劇中にはいっさい登場しないのですが、帰ってくるはずのない火星探査ロケットにナメゴンの卵を2つ入れて送り返したのは誰かというと……やっぱり、火星人ですかねぇ。
かつて70年前にイギリスのロンドンを襲撃した、「侵略宇宙人の元祖」こと、火星人。
ところが、「地球生活はムリ! 住むリスクが高すぎる。」という意外な事実が発覚してしまい、火星人はそれ以後、地球侵略を思わせる活動のいっさいを封印していました。
つまり今回の事件は侵略目的ではなく、ぶしつけに火星に探査ロケットを打ち込んできた地球に対する「警告目的」だったのでしょうか。
とにかく、7割が海でおおわれている地球に塩水が苦手なナメゴンを送ったわけなんですから、悪い冗談ですよね。意図が明確でないだけに不気味な出来事でした。
しかし、今回の事件のいちばんの被害者は、宇宙の都合と地球の都合の板ばさみになっちゃったナメゴンですよね。なにが哀しくて、嫌いなものだらけの異国の地で散らなければならなかったのか……合掌。
「不気味な出来事」といえば、その2ヶ月後に発生した「バルンガ」事件もかなり不気味なものでした。
3月、調査を終えて地球への帰還を間近にひかえていた人類初の有人土星探査ロケット「サタン1号」が、大気圏突入時に原因不明の燃料切れを起こして墜落する事故が発生します。
燃料切れ直前の乗組員の通信音声には、なぜか「風船だ。」という発言が録音されていました。ゾクゾクするねぇ!
一週間後に事故現場付近から発見されたのは、自力でふよふよと空中にただよう風船のような形をした謎の宇宙生物「バルンガ」でした。
バルンガはどうやら、宇宙のどこかで帰還中だったサタン1号の外壁に付着し、サタン1号の燃料エネルギーを吸収しながら地球に運ばれてきたようなのです。
見たところ、目も鼻も口もない赤茶色のこきたない風船といった感じのバルンガだったのですが、セスナ機や自動車のエンジンなどの地球上のありとあらゆる動力エネルギーを吸収してみるみる巨大化していきます。
人類の文明そのものというありあまるエサを食い尽くすバルンガは大都会・東京でどんどん巨大化、ついには季節はずれに発生した台風さえも食っちゃう存在になってしまいます。どんだけ~!?
対応に苦慮した国連は、20年前から宇宙生物バルンガの研究を続けて学会から異端視されていた宇宙科学者・奈良丸明彦博士の助言を得て、大気圏外に人工太陽を打ち上げてバルンガを地球から追い出す作戦を決行します。
実験は成功! 人工太陽を食べようとしたバルンガは宇宙に去り、さらには本物の太陽さえも食べようとして地球から離れていくのでした……
以上のように、「怪獣」という枠におさまりきらないようなスケールを持った宇宙怪獣バルンガだったのですが、パワー押しで迫ってくるあの宇宙超怪獣キングギドラとも違った意味で手ごわい存在でした。
とにかく正体不明、なに考えてるのか全然わからない、どんな武器もエサになるだけで効果がない。まさに「地球の常識」の一切が通用しない宇宙サイズの事件です。
この「バルンガ」事件の資料映像は、鳴き声もださずに不気味な鼓動音だけを響かせて浮遊し続けるバルンガと、人類の発展しすぎた文明を批判する役割も持ち合わせている奈良丸博士の存在感が非常に印象的な「静かな名作」に仕上がっています。
まだ観てない方、ぜひとも観てみて! またモノクロ作品っていうのが、味わい深くていいんだよねぇ~。
日本が世界に誇る、21世紀になっても決して色あせることのない傑作SF特撮ドラマシリーズ『ウルトラQ』の第11話『バルンガ』。
私そうだいといたしましては、数多くあるウルトラシリーズのエピソードでもベスト10に入る珠玉の逸品だと思っております! ベスト8くらいかな。ベスト1は、当然ガッツ星人ね。
最後に余談として、現実の世界で人類初の火星探査機が火星に到達するのは、『ウルトラQ』初放映から7年後、1973年のマルス3号(ソヴィエト連邦)。土星探査は、1997年に打ち上げられた初の探査衛星カッシーニ(アメリカ)が、現在も土星の周辺を回って探査中という状況となっています。
うーん、さすがは『ウルトラQ』! 現実を先取ってますね。でも、宇宙関係は架空であれ現実であれどっちもロマンがあっていいやね。
《次回予告》
とまぁ、こんな感じで奇妙キテレツな宇宙怪獣がぼつぼつ現れはじめた1966年だったのですが、負けじとばかりに宇宙人も地球にやって来るようになります。
まず最初の宇宙人襲来事件は3月。トップバッターは……なんだあれ、ロボットなのか、あのカタチで~?
1965年12月。「X星人襲来事件」をもって、地球人類は「宇宙人と宇宙怪獣のタッグ」という史上最悪の危機をむかえてしまった。
しかし、「ある種の電波に鬼よわい」というX星人の弱点をついた反撃によって、今回も人類はなんとか勝利をかちとることができた。
さぁ、次はいったいどんなヤツが宇宙の果てからやって来るんだ~!?
9、なんか変な事件ばっかり連続して起きてきちゃった。
1966年1~7月『ウルトラQ』全28話
X星人に対する全面勝利という輝かしい締めくくりとなった1965年。
しかし、あけた1966年は、1月からずいぶんと調子のおかしな年になってしまいました。
なぜか! な~ぜか、毎週のように変な事件が連発して発生する。しかも、基本的に日本国内だけで……なぜなんだろう。
当時の世界情勢を考えると、依然として予断を許さないアメリカ・ソヴィエトの冷戦体制。そして、それにともない激化するいっぽうの宇宙開発競争と、核戦争の危機。
なにかとピリピリした空気に満ちた時代だったのでしょうが、そんな中で日本はどうだったかというと、まさに高度経済成長のまっただ中。
おそらくは、日本が世界に通用する経済大国になる、そういった気負いもあったのでしょう。いままで誰も手をつけることのなかった、日本に当たり前のように存在していた多くの物事が、世界共通のルール向けに解体・改造されていく時代となりました。
生活サイクル、食生活、ファッション、社会通念、娯楽、そして自然環境、などなど。
そして、たかだか2~30年という短期間の中にギュウギュウ詰めに押し込まれたそれらの無数の変化によって、せまい日本列島の各地でついに、ある種の「ゆがみ」が生じてしまったのでしょうか。
今までの人々の常識では考えられなかった、世にも奇妙な「アンバランス・ゾーン」が発生してしまうようになってしまったのです……
要するに、いわゆる「怪獣」が次々と覚醒する時代が本格的に始まったわけで、こうしたユニコーンもびっくりの大迷惑時代は、いくつかの一時的な中断をはさみながらもだいたい21世紀、2007年の春先ぐらいまで連綿と続いていくことになります。日本って、こんなに住むのが大変な国だったんだ……
さて、そんな中でどさくさにまぎれて宇宙人や宇宙怪獣も襲来してくるわけなんですが、彼らもまた、時代が進むにつれて劇的な進化をとげていくことになります。
そういった流れの始まりとなったのが、今回とりあげる1966年です。とてつもなくおっきなアニバーサリーイヤーなのよ、この年は!
しかし前半の7月くらいまでは、比較的小規模な事件がポツポツ起こるといった程度のものでした。
有名な事件だけを簡単にあげておくと、
1月 東海地方で、トンネル工事中に地底から身長10メートルの古代動物ゴメス(どことなくゴジラに似ている)が出現するが、同時に孵化したライバルの始祖鳥リトラと闘って相討ち
2月 富士山麓に全身が岩石でできた怪獣ゴルゴスが出現するが、コアである謎の発光物体を破壊されて崩壊(発光物体は宇宙から飛来した物質だった可能性あり)
3月 農業研究用の特殊栄養剤を食べたモグラが身長50メートルに巨大化して暴れるが、火山のマグマ層にあやまって衝突し焼死
4月 核実験による南極の温暖化により、ペンギンが突然変異した怪獣ペギラが南極から北極に避難、道すがら春の東京をプチ氷河期にする
5月 地底から出現した怪獣パゴスが好物のウランをねらって原子力発電所を襲撃するが(あぶねぇ!)、「ネオニュートロン・ミサイル」という秘密兵器により粉砕
6月 中東の秘宝の中に眠っていた怪獣ゴーガが覚醒し巨大化、東京で大暴れするが自衛隊の攻撃により焼死
7月 日本初の国産超音速旅客機が謎の異次元空間に迷い込み怪獣トドラに襲われるが、なんやかんやで脱出成功
なんだよ、これ!
のちのことを考えると、これでだいぶおとなしめな事件ばかりなんですからね……日本は本当におそろしい国だ。
そして、そんな中にさしはさんで、宇宙人や宇宙怪獣の登場する事件もちょいちょい発生していたのです。
10、なめくじと風船
1966年1月『宇宙からの贈りもの』・3月『バルンガ』
1月のある日、半年前に消息を絶っていたはずの火星探査ロケットがひょっこり地球に帰還してきます。ロケットには、もともと火星から地球に帰ってこられるシステムはなかったはずなのに、なぜ……
ロケットの中には、正体不明の小さな金色の玉が2つ。なにこれ、宇宙規模の下ネタ?
その後、それを純金だと勘違いしたギャングが宇宙開発局から強奪したり、アクセサリーだと勘違いした由利っぺ(レギュラーヒロインの女性記者)がのんきに首からぶらさげてたりしたのですが、直後に衝撃の展開が!
なんと、謎の金色の玉は、火星怪獣ナメゴンの卵だったのです!
説明するまでもない! ナメゴンはその名の通り、なめくじによく似た火星の生物である。ただし、身長30メートルで体重は1万トンだ。きもちわりぃよ!
武器は、その長ひょろい2本の眼から発射する怪光線。それに当たった生物はことごとく硬直死し、物体はハデに爆破してしまう。うーん、怪獣っぽいね。
弱点は小学生でも予想がつくだろう。そう!「塩水」だ。
火星から地球に送り込まれた2体のナメゴンのうち、ギャングに持ってかれたほうは運悪く伊豆の離れ小島で孵化してしまい、調子に乗って人間を追いかけたはずみで断崖から海に落ちてしまい、ぶくぶくぶく~っと溶け去ってしまった。あわれ……
由利っぺが首飾りにしていたほうも、コーヒーメーカーの熱で孵化したものの(おしゃれ)、それを見た世界的な大科学者・一ノ谷博士はまったく動じず、助手に
「きみ、急いで塩水をつくってきてくれ。」
と言うしまつ。迷惑度がなめくじとおんなじになっちゃったよ、ナメゴン!
劇中にはいっさい登場しないのですが、帰ってくるはずのない火星探査ロケットにナメゴンの卵を2つ入れて送り返したのは誰かというと……やっぱり、火星人ですかねぇ。
かつて70年前にイギリスのロンドンを襲撃した、「侵略宇宙人の元祖」こと、火星人。
ところが、「地球生活はムリ! 住むリスクが高すぎる。」という意外な事実が発覚してしまい、火星人はそれ以後、地球侵略を思わせる活動のいっさいを封印していました。
つまり今回の事件は侵略目的ではなく、ぶしつけに火星に探査ロケットを打ち込んできた地球に対する「警告目的」だったのでしょうか。
とにかく、7割が海でおおわれている地球に塩水が苦手なナメゴンを送ったわけなんですから、悪い冗談ですよね。意図が明確でないだけに不気味な出来事でした。
しかし、今回の事件のいちばんの被害者は、宇宙の都合と地球の都合の板ばさみになっちゃったナメゴンですよね。なにが哀しくて、嫌いなものだらけの異国の地で散らなければならなかったのか……合掌。
「不気味な出来事」といえば、その2ヶ月後に発生した「バルンガ」事件もかなり不気味なものでした。
3月、調査を終えて地球への帰還を間近にひかえていた人類初の有人土星探査ロケット「サタン1号」が、大気圏突入時に原因不明の燃料切れを起こして墜落する事故が発生します。
燃料切れ直前の乗組員の通信音声には、なぜか「風船だ。」という発言が録音されていました。ゾクゾクするねぇ!
一週間後に事故現場付近から発見されたのは、自力でふよふよと空中にただよう風船のような形をした謎の宇宙生物「バルンガ」でした。
バルンガはどうやら、宇宙のどこかで帰還中だったサタン1号の外壁に付着し、サタン1号の燃料エネルギーを吸収しながら地球に運ばれてきたようなのです。
見たところ、目も鼻も口もない赤茶色のこきたない風船といった感じのバルンガだったのですが、セスナ機や自動車のエンジンなどの地球上のありとあらゆる動力エネルギーを吸収してみるみる巨大化していきます。
人類の文明そのものというありあまるエサを食い尽くすバルンガは大都会・東京でどんどん巨大化、ついには季節はずれに発生した台風さえも食っちゃう存在になってしまいます。どんだけ~!?
対応に苦慮した国連は、20年前から宇宙生物バルンガの研究を続けて学会から異端視されていた宇宙科学者・奈良丸明彦博士の助言を得て、大気圏外に人工太陽を打ち上げてバルンガを地球から追い出す作戦を決行します。
実験は成功! 人工太陽を食べようとしたバルンガは宇宙に去り、さらには本物の太陽さえも食べようとして地球から離れていくのでした……
以上のように、「怪獣」という枠におさまりきらないようなスケールを持った宇宙怪獣バルンガだったのですが、パワー押しで迫ってくるあの宇宙超怪獣キングギドラとも違った意味で手ごわい存在でした。
とにかく正体不明、なに考えてるのか全然わからない、どんな武器もエサになるだけで効果がない。まさに「地球の常識」の一切が通用しない宇宙サイズの事件です。
この「バルンガ」事件の資料映像は、鳴き声もださずに不気味な鼓動音だけを響かせて浮遊し続けるバルンガと、人類の発展しすぎた文明を批判する役割も持ち合わせている奈良丸博士の存在感が非常に印象的な「静かな名作」に仕上がっています。
まだ観てない方、ぜひとも観てみて! またモノクロ作品っていうのが、味わい深くていいんだよねぇ~。
日本が世界に誇る、21世紀になっても決して色あせることのない傑作SF特撮ドラマシリーズ『ウルトラQ』の第11話『バルンガ』。
私そうだいといたしましては、数多くあるウルトラシリーズのエピソードでもベスト10に入る珠玉の逸品だと思っております! ベスト8くらいかな。ベスト1は、当然ガッツ星人ね。
最後に余談として、現実の世界で人類初の火星探査機が火星に到達するのは、『ウルトラQ』初放映から7年後、1973年のマルス3号(ソヴィエト連邦)。土星探査は、1997年に打ち上げられた初の探査衛星カッシーニ(アメリカ)が、現在も土星の周辺を回って探査中という状況となっています。
うーん、さすがは『ウルトラQ』! 現実を先取ってますね。でも、宇宙関係は架空であれ現実であれどっちもロマンがあっていいやね。
《次回予告》
とまぁ、こんな感じで奇妙キテレツな宇宙怪獣がぼつぼつ現れはじめた1966年だったのですが、負けじとばかりに宇宙人も地球にやって来るようになります。
まず最初の宇宙人襲来事件は3月。トップバッターは……なんだあれ、ロボットなのか、あのカタチで~?