長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

分身宇宙人ガッツ星人 への遠い道のり 巨大ロボット出現……誕生!地球防衛軍

2011年02月13日 22時41分09秒 | 特撮あたり
《前回までのあらすじ》
 ちょっとひと休みしてみたんですが、ゴールまでの見通しを冷静になってたててみたら、ひざがガクガクと震えてきました……いつ終わるかわかんねぇ! 今月は日数が少ないのよ? 目指せ、今月内終了。
 私が設定している「ガッツ星人襲来」は1967年の事件なんですけど、それまでの10年間の濃度のこさったらありませんよ! インスタントみそ汁のタネをウィダーインゼリーみたいにぢか飲みしてる感じ。


4、世界がひとつになった時
1957年12月『地球防衛軍』(特技監督・円谷英二!)

 地球人にとって、1950年代中盤は試練の時代となりました。前回まで説明させてもらったさまざまな大事件を通じて人々は、

「宇宙には、いい人もいれば悪い人もいる。」

 という、わかったようで全然わからない大真理を、身をもって思い知ることとなったのです。地球とあんまし変わんねぇじゃねぇかァ!!

 とはいっても、とにかく問題なのは、地球人と宇宙人との「文明レベルの差」です。
 はるばる侵略してくる宇宙人に対しては、地の利のある地球で迎えうって撃退するという文字通りの「ホーム戦」でからくも勝利をおさめてきた人類だったのですが、当時、まだまだ人工衛星を打ち上げるのが精一杯で(同年10月にやっと初成功)、近所の月にたどり着くことさえ夢でしかなかった状況でした。対する向こうさんは突拍子もない強力武器をかついで大軍でやってくる実力をもっているんですから、もともとの力の差は歴然としていました。
 体力もまだあるし、地球の環境も味方につけて戦えるとはいえ、いつまた新たな侵略宇宙人が「空飛ぶ円盤」以上の兵器を持ってやって来るともかぎらず……不安の日々は続きました。
 そして、世界中が円盤の恐怖にさらされた1956年の記憶もさめやらぬ翌57年。その不安はすぐに現実のものとなってしまったのです。しかも、次は意外な場所から攻めてきた!

 ある日、日本の富士山麓で原因不明の山火事や地震が発生し、現場にはなぜか高濃度の残留放射能が。そして大規模な山崩れとともに、地中からなんと、身長50メートルで全身が金属でできた謎の巨大人型ロボットが出現したのです! こいつぁおったまげた。
 キャタピラのような胴体の凹凸、鼻のとがったモグラっぽい顔、ハサミ型の両手、淡々と鳴り響く「ピーッ、ピーッ……」という謎の発信音。これを見て地球生まれの地底怪獣が出たと思う人はいないでしょう。
 武器は、戦車のように民家をなぎ倒して進む馬力と、不気味に光る両眼からはなつ破壊光弾。あっという間に山麓の村落は壊滅してしまいます。
 でもそこは、世界一怪獣なれしている日本の自衛隊。なんてったって、発足した1954年にゴジラと戦ってんだもんね。
 予想通りに投入した兵器がいっさい通用しない巨大ロボットにたいしても動揺することなく、鉄橋に誘導したところで足場を爆破して落下させる作戦を決行します。ハデだけど地味~!
 結果はまんまと大成功。鉄橋を爆破され、自分の背丈ぐらいの高さから落下した巨大ロボットは、あえなくそれだけの衝撃で故障・機動停止しました。思春期なみに中身がデリケートなロボットだなぁ。
 とはいえ、全高50メートルの威容といい、火器攻撃の通用しない装甲といい、よくわかんない破壊光弾といい、こいつはいったい何者なんだ。やっぱり宇宙人の武器なのか?

 といった疑問をさしはさむ間もなく、そこからほどない距離にあるすそ野では、轟音をあげて地中から謎の巨大ドームが出現! 今度はなんなの!?
 なんと、その不気味に白く光るドームは、遠い宇宙からいつの間にかやって来ていた「悲劇のホームレス宇宙人」こと、ミステリアン遊星人の地球植民基地だったのです。

 説明させてほしい! ミステリアン遊星人とは、かつて5千年前まで火星と木星の中間に位置していた幻の太陽系第5惑星「ミステロイド」で繁栄していた宇宙人である。
 しかし、20世紀の地球以上に発達していたミステロイド文明は、20世紀の地球以上に激しかった核戦争によりついに惑星自体を爆砕するにいたってしまい、かろうじて巨大宇宙船に乗って滅亡をまぬがれた生き残りたちは、太陽系を放浪して第2の故郷となる星を探し回っていたのだ!
 ちなみに、現在火星~木星間にある、数百万もの小惑星が点在する宙域「アステロイド・ベルト」の中には、ミステロイド星の破片だったものも少なからず含まれているのだという……マジ?
 もひとつちなみに、ドーム出現の前に姿を現した謎の巨大ロボットは、ミステリアン遊星人が地球の地底で自分達のドームを建造するために母船から持ってきていた土木作業用ロボット「モゲラ」だったのだ。あと1台あるよ。

 ここで注目しておきたいのは、ミステリアン遊星人が「バッドエンドになった地球文明」のような経歴を持っていることです。ミステリアン関係のものがことごとく強い残留放射能をおびているのもそのためで、見た目も人間(とくに日本人)そっくりな遊星人たちは、5千年たっても消えない被爆症状のためにどんどん生殖能力がおちてしまい、「ここらで健康な血を取り入れないとヤバイ!」と困っていたところで地球を発見したのです。ヒャッホーウ! 気分はもう、中学生男子 in Space。
 ところが、おそらくミステリアン遊星人は、そのころ地球全体に侵攻して結局は撃退されていたあの「空飛ぶ円盤軍団」を見てこう思ったのでしょう。

「円盤だけで戦うのはアウェーすぎて不利だ。ここはひとつ、どっか地球のだだっ広い場所に基地をつくって、そこからじょじょに領地をふやして地球征服といこう。ついでに現地の女子もゲットして子孫繁栄だ!」

 ウキウキ気分で月の裏側に母船を停泊させ、そこから小型宇宙船を使って基地の部材やらモゲラ2台分のパーツやらをもって日本の富士山麓への往復セルフ引っ越しを敢行するミステリアン遊星人。そのころの地球は他の円盤との戦争でそれどころじゃなかったため、タイミングも最高でした。
 そして、地下基地が無事落成したところで満を持してモゲラを試し運転させてみて、「地球の軍事力はこんなもんか。」と見はからった彼らはついに要塞ドームを地上に展開させたのです。

 最初こそ、自分達の哀しい身の上を語って地球人に「土地と女子をちょっとだけくれればいいからぁ~。」と猫なで声を発していた彼らだったのですが、地球側に「最終的には地球征服なんじゃ?」と白い目で見られるやいなや、

「世界征服だって!? 困っている人を疑うなんてなんてヒドい奴らだ。そんな人たちばっかの汚れた世界なんか征服してやる!」

 とばかりに、巨大ドームの上部から強力な破壊ビームを360°全面に乱射させて人類を撤退させます。たてつく奴らはみんな追い出す! これぞ宇宙反抗期。
 そしてこのビームというのが思わぬ難敵で、戦車だろうが戦闘機だろうが、ドームの半径3キロ圏内に入ったものはすべてを破壊してしまうのです。夜の校舎の窓ガラスどころじゃないよ、こりゃ。
 やられた……不覚にも地上に要塞を作られてしまったことで、地球人は史上初の「アウェー戦」をやらされることになってしまったのです。攻めにくい~!!
 これはヤバイ。だって、こっちの持っている兵器がなんにも通用しないんだから。おそらく核戦争に精通している彼らのことだから、地球の核兵器も効かない可能性が高い。それに、ここ日本だしなぁ! 富士山麓で水爆はダメでしょ。

 悩む地球側。ここでついに、今までのように世界各国がそれぞれの国の自力で防衛するのではなく、「世界全体が力をひとつにして宇宙人に対抗する」時がやってきたのです。最早、いがみあってる場合じゃねぇ! みんなで力をあわせて世界中の女子を守るんだ! いいとこ見せるんだ!!

 そこで! 世界中の科学者・政治家・軍人が国連を介して結成した史上初の「地球規模の防衛組織」が、なにをかくそう、かの「地球防衛軍(Earth Defense Force)」だったのです。出た~。

 なんと素晴らしい団結の力か。発足ホヤホヤの地球防衛軍はさっそく数々の超兵器を開発します。
 まずは、ミステリアンドームの発する強力ビームを反射することのできる奇跡の物質「マーカライト」の製造。そして、理論上ドームも破壊できる出力を持つ新兵器「原子砲」の開発。
 これによって完成したのが、マーカライトを装甲に塗布して原子砲を搭載した全長200メートルの空中戦艦「アルファ号」と「ベータ号」の2隻と、原子砲とあわせてミステリアンドームの発するビームを何倍にも増幅させ反射することのできる直径200メートルの超巨大パラボラレンズを搭載した自走戦車兵器「マーカライトファープ」!!
 なんてったってマーカライトファープのパラボラがインパクト絶大なんですけど、「直径200メートル」は、ちょっとでかすぎなんじゃ……
 だってマーカライトファープって、いったん「マーカライトジャイロ」という巨大ロケットに乗っけられて打ち上がって、ミステリアンドームの上空でロケットが「パカッ」と開いて、そこからパラシュートをつけたファープがふわふわとドームの射程圏内に降り立つっていう配置法なんですからね。
 いくらなんでも、「直径200メートルのパラボラ兵器を中に入れたロケット」を作る余裕はなかったでしょ!

 マーカライトファープのことを「直径ニハクめとるノれんずデース。」と説明していたのは開発者のインメルマン博士46歳アメリカ人だったのですが、特撮ムック『別冊映画秘宝 東宝・特撮総進撃』(洋泉社)のコラムで作家の岸川靖氏も指摘しているように、私もこれはインメルマン博士の言い間違いなのではないかと思っています。パラボラの直径はたぶん、「200メートル」じゃなくて「200フィート(およそ60メートル)」だったんじゃないでしょうか。それでも充分でけぇし。

 それにしても、インメルマン博士がアメリカ人であることからして、彼が前年にアメリカで「空飛ぶ円盤軍団」を電波パラボラ兵器(直径1メートル)で撃退したあのマーヴィン博士(新婚)と親交があったことは間違いありません。同い年みたいだしね。マーヴィン博士、晩婚!

 ともあれ、こういった地球防衛軍とミステリアンドームのまさに手に汗にぎる空前の攻防戦のもようは、とにかく当時の記録映画をごらんになって確かめていただきたいと!
 とにかく、乱射したビームをことごとく何倍にもして撃ち返されたミステリアンドームはあえなく陥落。せっかく投入した最後の切り札・モゲラ2号機も、地上に出現したところで倒れ込んできたマーカライトファープが頭部に激突してしまい、なんの役にも立たないまま機動停止してしまいました。なんだ君は……
 ほうほうのていで地球から逃げ出した生き残りのミステリアン円盤は母船に帰還し、彼らは再びあてどのない放浪の旅に出るのでした。

 やったぜ地球防衛軍! 初戦を完勝で飾りましたね~。みんなでひとつになれば大丈夫!
 さぁ、次はどんな敵がやって来るのでしょうか。円盤だろうが巨大ロボットだろうが、なんでも来いってんでぇ!

 ……え? なに? 次は今までのとはちがう?
 なんだって、今度は「宇宙人」じゃなくて、「宇宙怪獣」?
 な、なんだそいつは~!?

 っていう三文芝居でつなげて、以下次回。

《余談ながら》
 現実の世界では、『地球防衛軍』が制作中だった1957年10月。ついに、人類初の人工衛星・スプートニク1号(ソヴィエト連邦)が宇宙に打ち上げられました。人類初が、宇宙人と映画の中でさんざん戦ってきたアメリカじゃなくてソヴィエトだったというのも皮肉な話なのですが、この一報を聞いた『地球防衛軍』の製作陣が急遽、人工衛星打ち上げのシーンを追加撮影したという裏話は有名です。
 そのころ日本では、糸川英夫博士による純国産ロケット「カッパ(ギリシア文字でKの意味)」シリーズの実験が繰り返されていましたが、まだまだ上空10キロまでにも到達できない段階にあったそうです。
 がんばれ、現実のニッポン~!
コメント
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