ヨシムラ・サイエンス・ラボ

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鐘や銅像の表面にできた緑錆は無害?

2010年09月05日 | 日記
お久しぶりです。
今日は、鐘や銅像の表面にできる錆(さび)について材料科学の観点からサイエンスしてみたいと思います。
屋外に設置されている銅製の鐘や銅像の表面には、緑青(りょくしょう)と言われる銅特有の緑色の錆びで覆われています。思い出してください。アメリカの自由の女神も確か緑色ですよね? 自由の女神の表面もたっぷりと緑青で覆われています。
この表面にできた緑青は錆が進まないようにする効果があり、この緑錆のおかげで、銅製の鐘や銅像は屋外での風雨に曝さわれてもそれ以上にボロボロに錆が進まない様になっています。まさに、“毒をもって毒を制する”ならぬ“錆をもって錆を制する”ですね。
この緑青は銅であれば別に屋外でなくても発生します。
長い間、机の中にしまっておいた10円玉なんかにも緑青は発生します。皆さんは子供の頃に親から、「緑青は猛毒なんだから、触っちゃいけないよ!」って言われた記憶はありませんか? 筆者の私もそのように教えられており、子供の頃に誤って触ってしまい、思いっきり石鹸で手を洗った記憶があります。
しかし、この緑青。実は無害だったのです!

昔の銅製品には、今ほど技術が進化していませんので不純物が多く含まれていました。
また、今ほど金属元素の有害性も明らかになっていませんでしたので、作りやすさなどからヒ素と呼ばれる金属が銅製品に含まれることが多くあった様です。
ヒ素は人体に有害な金属で、和歌山県で起こった毒入りカレー事件もこのヒ素と関係していました。
昔の銅製品には人体に有害なヒ素が含まれていたため、その銅製品の表面に発生した緑青にもヒ素が混じっていました。そのために、「ヒ素が含まれていた銅製品にはヒ素入りの緑青。ヒ素入りの緑青は猛毒。」となったようです。

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