三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【人間環境「オモテ」ガラスオフィス 「ウラ」の住は?】

2020年02月02日 06時48分43秒 | Weblog

東京の変貌ぶりはいろいろに参考になるので、
ときどきはチェックするようにしているのですが、
今回「オフィス」の環境をチェックする機会も得られた。
いわば伝統的な田の字型の「オフィス環境」というのはパワハラの根源、
みたいな印象を受けるのか、あるいは「働き方改革」への対応から
環境を考え直す、という動きが強まっている。

この「オフィス環境」と人間の住宅環境とは
いわばコインの「ウラオモテ」のような関係なのだと思います。
オモテの変容はやがてウラの変化につながっていく。
いわば伝統的な一企業の占有環境というオフィスのありようから
シェアオフィス型の環境が徐々に多数派を占めてきている。
とくに地域としての渋谷はGoogleが日本支社を開くなど
「先端型オフィス環境」というイメージを刷り込ませつつある。
息子たちの世代にして見ると、そういう一種の「羨望感」があるという。
銀座や丸の内、などといった「地域ブランド」に対して
渋谷はそのような印象を強く持たれている。
それは了解するとして、ではそのインテリア的空間性は?という興味。
上写真は往来する通路部分から左右に展開するオフィス。
この「ガラスの壁」のガラスドアの仕切り鉄骨が列柱のように連なり、
外周窓まで「スケルトン」感そのままの光景が連続している。
ワーカーはみなノートパソコンで基盤的な情報とつながっていて
いわゆる装置的な「企業」感覚はきれいに除去された空間。
一方で会議などは、このセパレートされたガラス空間を
時間単位でレンタルすることで確保されている。
こういった基本的な「仕分け」になっている。
一方でラウンジ的な空間が下の写真。
こちらの方はまだしも「居住性」が仕掛けられている。
少しリラックスできるような家具配置が心がけられている。
しかし、どちらにしても「壁」という概念はなるべく除去され、
外周部の広大な「ガラス壁面」まで空間の連続性が確保されている。
建築の要素の中から「壁」というものが忌避されてきている。
極端に言えば、そのように言えるような空間性の志向になっている。
建築で言えば限りなく壁の要素を簡略化できる工法に向かっている。
そしてガラスが強度を持った壁としてリプレースされている。

こういった空間性がいわば「オモテ」の世界の印象の大きな領域を占める。
では、その「ウラ」を占める住宅の世界はどういう志向になるか、
というのが、本来的な興味分野になるでしょう。
いま現実に住宅シーンで起こっていることのなかに
そのキーワードやヒントはきっと表出しているのでしょうね。
コメント
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