きのうは札幌で住宅団体・ソトダン21のオープン研修会。
評論家・南雄三氏の講演を聞きましたが、
まずははじめて行った会場、3社合同のショールームの件です。
メーカーさんとしては、LIXILがグループ化させたことで、
業界再編が加速して、もう一方のメーカーグループとして、
TOTO、大建、YKKの3社がグループ化の構えを見せてきています。
札幌ではこの3社による合同ショールームが市中心部、
サッポロファクトリー近くにこの度、オープンしました。
たしかこの場所は以前広大な駐車場だったはずですが、
その名残を留めるように、1階は広々とした駐車場スペースになっています。
ショールーム機能は2階に集約されていました。
で、わたしが面白いなと思ったのが、2階のトイレ洗面コーナー。
こういったショールームなので、とくに「使える」コーナーの設計デザインは
いちばん、考えた作りにするだろうと思って向かった次第。
設計コンセプトとしてアジア圏からの旅行客も狙っているとされていましたが、
写真のようなコーナーデザインに、そういった意図はあるのでしょうか?
鏡と照明の配置デザインは面白みが感じられましたが、
あとは手洗い後の乾燥機が連続性を意識して設置されていて、
なお、それらの配置が「個人ごと」ブース化の手段になっていました。
トイレの方では、背もたれが装置されているのが目に付いた。
さらに出がけにふと気付いたのが、姿見コーナー。
男性のドレッシングルームなのですが、こうしたコーナーが装置されていた。
洗面の鏡とは別にあるのですが、こういったコーナーであれこれと
身繕いをする、させるというような「設計意図」なのかと内心、小さな驚き。
わたし的には、ここで鏡をみて身だしなみを2方向から確認する行為には、
やや気恥ずかしさも感じる気分があるのですが、
やがて男性も化粧をするようになる時代の到来が予感された。
その他、評論家・南雄三さんの講演にて感じたこと。
日本人は、欧米の建築デザインの系譜を「ありがたがって」きたけれど、
そういった「知識偏重」的なデザイン研究がいま、必要なのだろうか。
わたしとしては、ちょうど鎌田紀彦先生と住宅デザイン論を推進展開してきていて、
その論議内容との距離を感じさせられていた。
具体的なモジュールとか寸法、空間感覚などを論議することの方が
より実践的なのではないかと思わされました。
戦後すぐの住宅建築でまさに庶民のためにどう住宅を作るべきか考えた
「立体最小限住宅」というような視点から、暮らしようと人間工学、建築の寸法、
空間性をどのように「調和」させるのかが、デザイン論の本質ではと思います。
その営為の上に立って、はじめて美しさへの肉薄が始まるのではないか。
いってみれば、デザインとは機能性を昇華させ、それを空間としてまとめ上げる、
そういった営為の全体を指しているのではないか。
いわゆる「様式」はそういった営為の「結果」の世界なのではと思いました。
大便後の拭き取り時の手指の接触による汚染拡大やジェットタオルによる空中飛散の現状、トイレにおける換気気流など、湿気によるカビ対策など、環境技術者にもっと注目してほしいエリアです。