三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

香木がさわやかに薫るトイレ

2007年02月28日 06時14分35秒 | Weblog

福島特集、こんどは会津に来ました。
会津もことしはホント、記録的な大暖冬ですね。
大体2月のこの時期だと、ほぼ北海道札幌とも変わらない
気候という印象がありましたが、なんと、
ぽかぽか陽気で、とても冬とは思えません。
みなさんに聞いてみても、これはことしは冷夏になるのでないか、
というような声が多く、季節らしさがまったく感じられない冬を過ごしていますね。
そんななか、訪問した会津山義さんの建てた家。
こちらの会社、横山義秋さんという社長さんで、名前の真ん中の2字をとって、
会社名にした、ということだそうです。
社長は根っからの職人さんで、宮大工気質を持った一本気ぶり。
家づくりにも、その気質が真っ正直に表現されていました。
家にはいると、本物の木の香りが圧倒的に迫ってきます。
聞くと家中の床材は青森ヒバを使用しているということ。
この香ばしさは、なにものにも勝る心地よさです。

というような家なんですけれど、
写真はこの家のトイレ。
開けてみてびっくりしてしまいました。
よくバリアフリータイプの家で、トイレに手すりなどを付けるというのはよくありますが、
なんと、ここでは手すり代わりに、大黒柱のようなのが一本、すっくと立っています。
それも自然木の風合いそのままの無垢材。
で、香りが床材ばかりではなく、なんとも言えない芳香が・・・。
もちろん木の種類まではわかるまでもなく、聞いたら
「白檀です」とのお答え。
「え~、びゃ、白檀?」とぶったまげてしまいました。
白檀といえば、古代インドから日本に香木として輸入されていた木です。
仏教の伝来とセットで、蓮なんかと同様に日本の地にもたらされたもの。
そんな素材を、トイレのもたれ木として使っているワケなんですね。
目的と手段としては、たいへん明快にわかります。
香木の香りで、さわやかな瞑想の時間を楽しもうという次第なんでしょう。
トイレ、よくみたら、反対側には坪庭へのピクチャービューも開けられています。
なんとも、「五感を刺激してくれる」しつらいなんですね。

まぁ、びっくりした次第なんですが、
こういう考え方での家づくりというのが、社長さんのポリシーなんですね。
家中、まさに本物素材のオンパレードです。
取材が終わって車中に戻っても、ずっとしばらくは木の香りが残っていて
さわやかなフィトンチッドに包まれたような空気感のなかにいました。
まぁ、すごいものです。
この家の様子は、リプラン東北版次号の福島特集に掲載されます。
見どころも一杯の家なので、ぜひごらんください。
あしたも、その一部分をご覧いただこうと思っています。
この写真を整理していたら、また残り香が漂ってくる気がします。
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愛着というもの

2007年02月27日 06時38分20秒 | Weblog

さて写真は、きのう書いたおとうさんが愛着を持っていて
頑強に取り壊しに抵抗している「土蔵」です。
この周囲は道路の工事が行われて、地盤面が相当に掘削されています。
そのために、なのか、土留めの上に建てられているこの土蔵、
誰の目にも明らかなように、垂直が保たれていません。
右の写真は家の方角から見たもので右側に傾斜し、
左側の写真は道路側から見たものですが、
こちらでは、あきらかに左側に傾斜しています。
この様子では、大きめの地震が来れば一発で倒壊の危険があります。
建築業者さんは、危険でもあり、取り壊しを説得しているのですが、
おとうさんは、愛着を感じていて、抵抗しているそうです。
お話を聞くと、この土蔵に隣接して古家があるのですが、
その奥の半分以上が、道路工事の時に解体撤去されているのです。
土蔵の傾斜も、そのときの地盤面の変動が影響したのでしょうか。
ただし、それ以前からも傾斜していた、ということ。
傾斜角度に多少は影響したということなのかも知れませんね。
いずれにせよ、危険だと思うのですが、
おとうさんによると、この建物はおとうさんの父親が建てた建物だそうで、
今回、建て替えた主屋は、自分が建てたのだから自分がつぶしてもいいけれど、
どうも、自分の父親が建てたものをつぶすのは忍びない、
という心情なのだそうです。
このあたり、方言と共通語との翻訳機能の限界にさしかかる
言葉のやりとりだったので、
いまひとつ、明瞭ではない部分がありますけれど・・・。

まぁ、他人から見れば、あきらかに危険だし、
それに、どうしても保存しておくべきだ、と主張するようなものでもない気はします。
しかし、個人が、その心情において愛着を感じている部分というのは
これはやはり、尊重すべきだとも思えます。
まして、その内容が尊厳を持った肉親の思いにかかわるような場合、
他人から、どうこうは言えない部分はあります。
しかし、社会存在としては、道路にも隣接しているし、危険。
気長にお父さんを説得していくことになるのでしょうが、
そういう背景を別にすると、この土蔵、やはりユーモラスでもある。
建築的には、たぶん骨組みの構造の柱の何本かが破断していると
想定できますね。
それが、壁の土でなんとか維持されているというような状態。
なんとか踏ん張っている、という視覚的な主張が感じられて
擬人化したような存在感が伝わってきます。

やはり人間、住み暮らしてきた建築への思いというのは
ほかからはあれこれ言えないような部分、
言ってみれば、愛着の個人性のようなもの、
そういうものを呼び起こさせるようなものがあるのでしょうね。
変わってはいるけれど、伝わってくる思いは確かに強いものがありました。
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すし桶

2007年02月26日 06時09分38秒 | Weblog

リプランの次号東北版では、「福島特集」を予定しています。
ということで、週末2日間は福島県で取材が入っていました。
郡山市近郊、三春の近くの農家住宅でのひとこま。
取材は、遮熱材を使った家づくりというポイントで進んでいましたが、
写真は、ご主人のお父さんといろいろお話しするウチに
見せていただいた「すし桶」です。
なんでも、この家は建て替えで、その工事の時に伐採した杉の木の古株が出てきたので、
それを、もったいないし、記念にもなるということで、
知人に依頼して、こういう食器にしてもらったのだそうです。
断面方向にスライスして、木目が生きてくるように工夫。
杉ということで、繊維がおおらかなので、この50cm近い大きさでも
持ってみると大変軽い。
ふた付きにしてもらって、内部にはごらんのようにみごとに漆塗り。
これがまた、なんともいい色合いですね。
ふたを取って、このなかの鮮やかな赤が目に飛び込んでくる。
まだ、出来上がってきたばかりなので、使ってはいないんだそうですが、
これにチラシ鮨でも入れたら、こたえられないだろうな、
というお話、のようなんです。
この仕事をしてもらって、悪いからと10000円、対価を支払ったということ。
いいですよね、これが一万円って、そりゃ、安いと思います。
杉の木の香りも漂ってきたりして、
ふたを開けた瞬間の驚き、楽しさが目に浮かんでくるようですね。
日本人の、食の器に対する感覚って、素晴らしいものがありますが、
この演出も、絶対いいだろうなと、うなづけますね。
家に遊びに来た来客に、由来を話しながらこの食器で
すしを振る舞えば、最高のおもてなしになること、うけあい。

って、実は、残念ながら、福島の方言訛りがきつくて、感じはよくわかるんだけれど、
内容は今ひとつつまびらかには、わからないんですね、これが(笑)。
やはり土地土地で、豊かな方言がありますが、
都市ではさすがにあまり聞くことはない。
こういう田園地帯にまで来ると、情感豊かな言葉の表現力に出会えます。
標準語とは違って、雰囲気やひとの感じ方のようなものは
圧倒的にわかりやすい、と思います。
ただ、惜しむらくは意味がよく理解できない。
まぁ、だいたい、大意は間違いないと思うんですけど・・・(笑)、
頭のなかの翻訳機能をフルに活用した取材(笑)、でした。
冬なんだけど、日射しはまったく春爛漫のなかで、
楽しい会話を楽しむことができました。
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盛岡「めぐみいわて」

2007年02月25日 06時23分18秒 | Weblog

先日、盛岡出張の折、疲れ切っていたので、
駅前のホテルでチェックインしたあと、簡単に夕食をすませて早々に寝たい、
ということで、駅のなかのお店を探してみて入ってみたのがこの店。
なんの予備知識もなく目にとまったのですが、
上の写真のとおり、店名も読みにくい看板だし、
「めぐみいわて」と、なんとか読めても、どういう食べ物店か、不明確。
なので、どうしようかな、パスしようかな、と考えていたら
店員さんにキャッチセールスされて、つい入ってみた次第。
店の外観やらを見ただけではわからないのですが、
要するに、できるだけ自然志向で作られた岩手の地元食材を
バイキング形式で食べさせてくれるという店なんですね。
夕食時間で、1500円なり、ということでしたので、
「そんなら、食べてみるかなぁ」となったのです。
このあたり、ディスプレイや、アピール方法について、一考の余地ありと
老婆心ながら、思った次第ではあります。

で、なかに入ってみると、岩手の地鶏料理とか、きんぴらゴボウだとか、
まぁ、おばあちゃんの手作りみたいな惣菜づくし。
それがセンターテーブルに所狭しと並べられて、満艦飾。
どれもが、確かにヘルシー志向な食べ物ばかりで、なかなかいいんですよ。
そうしたディッシュと、5~6種類もあるごはん、写真下のような飲料など、
さまざまな食材を自由に取ってきて食べられるんですね。
はじめは勝手がわからず、どうしたらいいのか、と途方に暮れていましたが、
あとから入ってきた、ファンとおぼしき方の挙措動作を見ていて
段々理解できてきました。
ついつい、何度も往復して食べまくってしまいました。
セットメニューでどうしても栄養が偏ってしまう外食続きの身には
なんともうれしいコンセプトなんです。
「めぐみいわて」というのも、ようやく了解できるようになってくる。

まぁ、味とかはあまりにもたくさんの食材がありすぎて、
これ、という印象には乏しくなるので、頭に叩き込まれるメッセージ性は弱くなる。
その点、食べ物屋さんとしての成功はどうなのか、
ちょっとわからないな、とは思いました。しかし、コンセプトは実にいい。
なかなかいいところをついている、と思います。
聞いてみたら、岩手の地酒メーカーの「あさ開き」というところがやっている店とのこと。
そういうことで、地元食材にこだわって、ということのようですね。
ただ、バイキング形式でのメニューというのは、
単価として、食事の料金としてはちょっと高くなるので、
それなりの作戦をしていかないと、なかなか受け入れられないのではないかなぁ。
なにせ、店員さんに説明されなかったら、わたしも入ったかどうか。
十分な判断材料をわかりやすくメッセージしていない、
あるいはメッセージしにくい、というのでは、問題なのではないでしょうかね。

って、どうも、商売として考えてしまうのは大きなお世話でしょうね(笑)。
客なんだから、払ったお金と、受け取ったサービスの勘定を
ただ、書き残せばいいのですよね。申しわけありません。
わたし、この店、合格でした。
けっこうおいしくて、もりもりディナーを食べた上、おいしい地元の牛乳のアイスクリーム
まで、デザートで平らげまして、満腹満足でございました。
うるさい客で、申しわけありませんでした。(笑)
って、外へ出たら、知人とばったり。 いやいやぁ、狭いですね、ニッポン。
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五感で感じる家

2007年02月24日 05時43分21秒 | Weblog

先日伺った水沢の家のトイレです。
まぁ、朝1番からこのブログ、見ている人、ごめんなさい。(笑)
でも、朝だと、このトイレのようなさわやかさ、かえっていいかもしれません。
なんで、写真をわざわざ撮る気になったかと言えば、
やっぱり、なんともいえないさわやかさに感動したからなんですね。
この家の設計施工者は、木の香の家、というブランド。
そのコンセプト通りの空気の印象がトイレに感じたんです。
写真はわたしの拙いデジカメですので全体の印象まで伝えられませんが、
要するにこのトイレ、床から壁、天井、さらには造作の手すり替わりの棚にいたるまで、
すべてが清々しい無垢板で被われているのですね。
家の中でも、いちばん清々しい空気がたっぷりの感じ。
たとえていえば、早朝の森のようなフェトンチッドを体感するんです。

換気は24時間、第1種計画換気が働いているので、
このトイレももちろん、常時換気されています。
その意味では、軽い空気流動が仕掛けられているので、
よどんだような空気感はありえない。
なので、入っても、何とも言えない木の香りだけが満ちているんですね。
こういう場所で、1日のスタートを哲学的に瞑想し、
スッキリとした気持ちではじめられる、ということ。
考えてみれば、北国住宅ではトイレの考え方が
「ご不浄」と呼ばれてきた感覚からずいぶん乖離してきて、
ある建築家の設計住宅では、なんと居間のなかに1コーナーとして
あしらわれるくらい、明るくオープンな存在となっている気もします。
そこまででなくても、スペースを節約できるという意味以上の、
いわば、積極的な3イン1の計画とかも多い。
少なくとも、暗い、くさい、という雰囲気が消えてきている。
そして、この家のようにより積極的に楽しめる空間っていうように
進化してきている感じを持ちますね。
においや手触り、といった部分まで、いわば五感を呼び覚ますような
家づくりの考えが感じられた次第です。
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竣工式参列

2007年02月23日 06時54分02秒 | Weblog

きのうはわたしの実家の食品製造業のほうで
札幌市近郊、30分ほどの距離にある恵庭工場の増築竣工式がありました。
この施設、けっこう面白い仕事をやる拠点になるもの。
北海道の地元食材を活かしたユニークなチルドタイプ商品を
いろいろに開発していこうというものです。
一時期、おせち料理で注文が殺到して配送が追いつかず
ちょっとした騒動になった事業がありましたが、
それと連携して、独自の冷凍技術を用いながら
北海道のおいしい食を新開発していこうというワケなんです。
まぁ、そういう面白い動きなので、製造業の事業革新として
国や、自治体などから大きく注目されていまして、
冷凍技術の開発元は、ものづくり日本大賞を受賞したりしています。
そんなこともあって、竣工式には経済産業省の外郭団体やら
北海道の経済部商工局とか、いろいろな金融関係、そして、
多くのバイヤー企業さんが竣工式に見えられていました。

というのが、実家のための宣伝です。
ふう、やれやれ。
まぁ、関係者としては、大丈夫なんだろうか? と心配ではあるのですが、
やる以上は、絶対に成功させたいものだと思っています。
で、わたしは朝から、竣工式に出席すべく準備。
お祝いはまぁ、簡単に包めばいいので、それはいいとして、
こういうときには、やっぱり熨斗のついた清酒2本セットというのが定番。
それを買い求めようと出かけました。
ちょうど会社事務所の向かいがセブンイレブンで、酒も扱っているので
やってくれるんじゃないかと思って、アルバイト店員さんに伝えました。
が、反応はすこぶる鈍い。
一応こちらも、こういうのは年のいった方にと思って
2名いた女性のなかからやや中年近いとおぼしき(失礼)方に話を振った
のですが(笑)、案の定、説明してもにわかに事柄が特定できていない。
お酒自体は扱っている。
しかし、包装する2本入りの紙箱という存在自体を知らない。
教えて、バックヤードで探してもらう。
ごそごそ、「これですかね?」「やった、あるじゃん!」
って、今度は酒を、と思ったら1升瓶入りの酒がなんと1本しかない。
って、おい?という状態なんですね。
これじゃ、どうにもならないな、この先、のし紙に筆書きなんて
理解されそうもなさそうなので、時間もないので早々に退散。

こういうコンビニ関係だと、こうした贈答文化は理解できないよな、
と、ひとりごちしながら、古くからやっているような酒屋さんへ行ってみました。
開店まもなくだったのか、「こんにちは」と声を掛けても
人が出てこない。「ん、ん」と思っていたら背後からくぐもったように
「いらっしゃい・・・」
と、中年手前くらいの主人とおぼしき男性が登場。
こちらも時間があまりないので、手短に用件を伝えたワケですが・・・。
これも反応が心許ない。
お酒はややほこりをかぶっているけれど、「剣菱」やらがあるので、
それでいい、と2本指名。なんですが、どうも雪かきの直後らしく、
動作が全体にゆっくり気味な上に、無表情っぽいので、
こちらは不安が募る。
手早くこちらは名刺を出して、記名はこうで、領収書はこう、と用件を言うのだけれど、
その名刺も机から落っことしちゃうんです、・・・。
それにどうも、落としたことにも気づいていない。
紙箱はすぐに引っ張り出してきたけれど、どうもやり方を理解しきっていない手の遅さ。
それからの包装の段取りの悪さ、っていうか、こういう作業平面について
この店では、こういうとき、どこを使うのか決まっていない様子。
なので、包装手順も知らないようで、おいおい、という感じです。
極めつけはのし紙への筆書き。
たぶん、書いたことがないようなんですね。(冷や汗)
筆ももちろん筆ペン。まぁそれはいいですけど、
それが筆先が、あまりにも使っていないからか、インクが出てこないらしく、
悪戦苦闘している。傍目にも、だんだんイラついてきているのが伝わってくる。
どうもご主人、こういうのやったことがないようですね。
で、家人を呼びにか、バックヤードに消えてしまいました(!)。
それもどうも不首尾のようで、渋々また出てこられました。
「そこにあるマジックでいいよ」とわたし、たまらず声を掛けました。
「そうですか」とほっとした様子ですが、
今度はその段取りも悪く、またうまくいかない様子なんですね。
「いいよ、わたしが書くから、貸してください」とマジックを受け取って書きました。
で、どうやら、出来上がりまして、受け取れましたが、
こんどは領収書の宛先記入の仕方もまた再度、説明させられました。
考えてみれば、中熨斗にするか、外熨斗にするか、なんてことも聞かれもしなかった(笑)。

という顛末だったのです。
約束の時間まで、迫ってきたので、店を出て、一路車を走らせたのですが
こういう日本的な贈答の習慣って
これからどうなっていくのか、不透明だなぁと思い知らされました。
コンビニみたいなのが、小売りの主流になっていけば、
アルバイト店員にこういう文化を仕込んでいくのは無理があるし、
古くからの酒屋などでは、そもそも客が来ないので、
そういう文化を維持していく基盤がなくなってきている。
今の時代、こういう狭間にいるんだなぁと思う次第です。いかがお考えでしょうか?
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住まいのメンテナンス

2007年02月22日 06時00分04秒 | Weblog

先週からブラインドのひとつが不具合が出て
開閉できない状態になっていました。
よく建てた建築会社とは疎遠になっている、というケースが多いと聞くのですが、
施主の立場からすると、そういうのは困りますよね。
わが家では、工務店さんにお願いして、こういうメンテナンスを看てもらっております。
建ててからもうすでに17年目という時期になってきましたので、
いろいろのことを考えていかなければならない時点になってきます。
わが家で言えば、用途変更にともなう大規模なリフォームを一度、
いまから11年前にやっております。
建築当初から職住兼用住宅だったのですが、
仕事が増え、スタッフが増えてきたので、増築のやむなきに至ったのですね。
でも、結局はそれでも追いつかずに事務所を別に建てたのです。
それ以来、自宅のみとして使ってきているのですが、
やはり、そういう用途変更にともなう変化ばかりではなく、
建物としてのさまざまな構成部分のメンテナンスは待ったなしで出てきます。
主体構造はコンクリートブロック外断熱なので
そういう部分では、2,3年前の時点での気密性能測定でも
1cm2/m2という性能値が出ていますから、建築当時の水準を考えれば
現在でも、問題はないといえますが、
やはり、消耗せざるを得ない部分や、設備的な耐久性の劣化は
日々進行していきますね。
まぁ、施主とともに建物も老朽化していくのは避けられない(笑)。

ということで、ブラインドの不都合です。
ブラインドくらい、と思って自分でチャレンジはしてみたのですが、
調べたりする時間が取れるわけがない。
それと、構造はやはりカーテンのようなわけにはいかない、複雑。
写真の業者さんに聞くと、
やはり、ブラインドを留める金物部分などが、長期使用による摩耗など、
どうしても避けられない部分があるのだそうですね。
そういうのが、カーテンなどとは違って、素人では難しい構造になっている。
昔の民家などでは、基本の柱や梁の構造部分だけは大工が造作するけれど
そのあとは、だいたい素人が建てる、みたいなことって、
現代では非常に難しくなっているのですね。
やれないことはないけれど、昔と違って、建て主側で時間が不自由。

でも忙しい中で、こういうメンテナンスに付き合っていると
この建物って、ほんとうに自分の人生と一緒に時間を過ごしてきている、
ということが実感も出来ますね。
自分の体力や、目とか歯とか、パーツもいろいろ、老朽化してくる(笑)。
そういうのに、時間もお金もかけなければならない。
そういうことと同じなんですよね。
そういう風に考えれば、逆にしっかり目をかけて、大切にしていくという気が起こってくる。
年を取ってくると、こういうこととの付き合いが増えてくるのでしょうね。
こちら側の心構えが大切だなぁと、思いますね。
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岩手富士絶景

2007年02月21日 11時16分09秒 | Weblog

盛岡での取材時に、ちょっと足を伸ばして
御所湖方面へ行って参りました。
盛岡に来ると、やっぱりこの岩手山の美しさにうっとりさせられます。
大きい山がある、という風景のなかで育つかどうか、って、
けっこう人間教育にとって決定的だ、という説があります。
盛岡で生まれ育った方たち、とくにいま関係している住宅業界の関係者と接してみて、
このことって、強く感じる部分。
なんというか、考え方が骨太というか、原理的というか、
一本、筋を通したいというような雰囲気を強く感じさせられます。
よくブログで触れている住宅技術研究実践団体、新住協を指導する
鎌田紀彦氏がそうだし、いま、岩手のビルダーさんたちが
推し進めている、ドットプロジェクトという運動のメンバーのみなさんなど、
住宅性能についても、きわめて原理原則を立てて、筋道を立てようとする
姿勢がみなさん、強いなぁと感じます。
あ、ドットプロジェクトっていうのは、新住協のQ1.0住宅運動と
同様のプロジェクトで、熱損失係数で1を絶対に切ろう、
小数点以下にしよう、なので、ドットということなんですね。
ちょっと、説明しにくいよ、わかりにくいんじゃないの、という声が来そうかな(笑)。
こういう人物的な雰囲気、姿勢みたいなのって、
たとえば東北で言えば、会津や弘前などの大きな山の麓で
生まれ育った人たちにも、感じられる部分。
やっぱり、誇らしく、筋道を立てて生きていく、というような規範が
こういう大きな、立派な山からは知らず知らず、感じられるものなのかも知れません。
そこへいくと、わたしの育った札幌の街は、
そういう身近な山というのが、いくつもあって、
いろいろ、多様性がある、っていうようなふうなのかもしれないと思ったりします。
さらに、東京などは特徴的だけれど、特段大きな山がなくて、
海や川というような流動性が重要な地域に暮らすと、
融通無碍というか、「上手にやる」というような雰囲気があるのかも知れません。
原理原則もそうだけれど、それより人間関係優先みたいな。
大阪や、関西というのも、そう大きな山、独立火山のようなものがない。
そんな連想の範囲で言えば、札幌はやはり京都の地形と似ている部分がある。
京都は北側が大きな山地があるけれど、
札幌は南側が大きな山なみが連なっている。
そんなことからの人間性育成環境というのもあるのかなぁ、と感じています。

きょうは、出張からの連続勤務で、しばらく休みなし、なので、
疲れがたまっているのか、久方ぶりに寝坊してしまいました。
ブログは、わたし、朝一番のウチに書ききる、と決めているのが
ダメだったのです。ということで、
ちょっと、アップが遅れてしまいました、お許しください。ではでは。
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玄関先の工夫

2007年02月20日 06時08分00秒 | Weblog

写真は盛岡市内の旧市街のなかの住宅。
前面の道路幅が厳しくて、家の前にようやく駐車スペースを確保している家。
見てみると、周囲との地盤面の高低差がある。
土間コンクリートレベルの関係で、生じてきた感じ。
そういうことの結果、おもしろい足下の工夫、素材使いになっています。
玄関の前、短いアプローチ部分は、コンクリートでほんの少し
他の地盤よりも高くなっていて、そのうえ、木で覆われています。
盛岡は雪も多いし。凍結もする。
コンクリート土間では、とくに冬場の朝は厳しいものがある。
それを緩和させるのに、木を張っているようなのですね。
これがなかなか、いい表情を建物に与えています。
以前、たいへん高名なデザイナー建築家が札幌に建てた住宅の玄関前が
一面、コンクリートの土間平面が大きく取られているケースがありました。
夏場には、かっこよくていいのでしょうが、
凍結する冬場は、アイススケート場状態になっていて、
毎日買い物から帰ってきて、荷物を抱えながら、
転倒しないように、ものすごく注意しながら住んでいました。
あぶないんですよね、ああいうの。その点、こういう工夫は面白い。
というような印象を、抱いていたら、
さらにそのうえ、ドアを開くと玄関土間平面が2段になっている。
まぁ、こちらのほうは、土間コンクリートのレベルの調整の結果、
ということのようでしたが、結果としては面白い。

日本人の家は、他の国の家と、玄関が一番違う。
靴を脱ぐ習慣が、一番面白いですよね。
あれって、ようするに雨の多い、泥のつく足下環境が多い、
という気候風土条件の結果なのだと思うのです。
そして、そういうものを解決したのが、玄関で靴を脱ぐ、
そのための段差をわざわざ、作ってきて、場合によっては、腰掛けてわらじを脱ぐ、
そういう動作空間を仕掛けてきたのだと思います。
玄関のこうした作られようが、日本人の清潔感覚を養ってきた大きな部分なのではないか。
そういった感覚で、この玄関土間の2段構成を考えると、
こういうのも、悪くはないのではないかな、と。
雪国の場合は、外の足下環境が刻々と変化するので、
こういうふうに、家の中との結界を何段階か、仕掛けておくのは
心理的な仕組みとして面白い生活装置のような気がしました。
外の木の床のところで、十分に雪を払い落としてから、
この一段低い土間部分で、靴の水分を一度落としてから、
本来の玄関土間にいたる、という生活上のシーン展開が想像できるのですね。
まぁ、でもあきらかにコストアップ要因だと思われるので、一般的ではないでしょうけども。(笑)
有用性は結構あるように思った玄関の工夫でした。
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前沢有形文化財・太田家住宅 太幸邸

2007年02月19日 05時54分55秒 | Weblog

犬も歩けば、古民家シリーズ。
先日、奥州市水沢区の取材先に行く途中、
旧前沢市の市役所(現在は区役所?)の近くで、面白い民家を発見。
時間に若干のゆとりがあったものですから、
引き込まれるように、周辺をウォッチしてしまいました。
近くに住んでいる方から聞いたところでは、
歴史的にも、この前沢は商業的な富の集積が岩手県南部でも有数の地域で、
この古民家の太田家は、明治期には
現在の盛岡銀行の前身となる銀行事業を始めるなど、
有数の富裕な家だったそうです。
旧国道と思われる道すがら、思わず目を奪われたのが、
写真左側下の建物だったのです。
軒を支える部分の飾りなどちょっとありえない豪華さ。
それが、古びて、なんともいえない表情を見せている様子に引き込まれた次第。
で、インターネットその他で、調べてみました。

「太田家住宅」は、明治43年、県内有数の資産家であった太田幸五郎によって、凶作などで疲弊した地元の救済事業(いわゆる「お助け普請」)として建築された屋敷です。屋敷には1600坪の敷地に、主屋と炊き場、前座敷、土蔵、門、塀、庭園が配されており、明治期富裕層の屋敷構成をよく残しています。このうち主屋と庭園、土蔵などが時代性を反映した建物と屋敷構成であるとして平成9年に岩手県の有形文化財に指定されています。
築90年を過ぎた現在も生活の空間として使われ続けている住宅。現代の住宅の寿命が30年とも20年とも言われていることがひどく悲しい。県指定文化財であるが、魅力の反面、大勢の見物者がやってくるので住み続けながらの保存には、持ち主にとって一般への公開などの大きな負担ものしかかってくる。太幸邸「白鳥梅の会」の活動拠点として、全国の文化財的な古い建物や庭の所有者のネットワーク、日本建築や日本庭園の技術者・技能者のネットワークづくりをしている。
建築用材は杉が主で、柱材・土台・天井板・板戸などに用いられている。床材は栃・松・欅が用いられ、天井は杉・桧葉、敷き居は桜材が用いられている。欄間の透かし彫り飾り板は神代杉である。杉四方柾の二階の通し柱、三十尺物の長押など

というような紹介文が、出ていました。
ちょうど、日曜の午前中だったので、近隣の方からは
「大丈夫、言えば見せてくれるよ」と励まされたのですが、
やはり、主屋内部の見学は遠慮いたしました。
しかし、左真ん中の写真の「土蔵」の優美なデザインなど、
ちょっと信じられませんでした。
いやぁ、東北って、奥行きが深い歴史を持っていて、
北海道のような「新開地」から来ると、思わぬ宝物の宝庫と感じますです。
恐れ入った、富の蓄積ぶり、その歴史を感じざるを得ません。
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