東大の前真之先生はたいへんエネルギッシュに活動されている
建築研究者としていま、注目の存在。
昨年来、北海道の住宅性能研究について精力的に活動されています。
きのうは、以前から打ち合わせていた新住協・武部建設さんの
300mm断熱住宅の温熱環境測定の装置設置のために来道。
この建物の他にもたくさんの測定住宅があって、
定期的に助手の方を伴って来られています。
これまで温暖地の研究者のみなさんで、北海道に着目されて
住宅性能を徹底的に研究されるという方は少なかったので、
まさに瞠目するような思いで、見させていただいています。
北海道の住宅性能向上は、官民挙げた長年の研究開発が背景にありますが、
とくに木造住宅については、
室蘭工業大学に赴任された東大出身の鎌田紀彦先生の研究開発努力に
大きく与ってきたことは紛れもない事実。
その成果が、国の基準のベースになったりしてきた経緯があります。
国の側でも近年、エネルギーの問題が大きなテーマになってくる中で
住宅性能についての探求が急ピッチで進んできています。
現に北海道で実現している住宅の革新が、
国レベルにフィードバックされていくためには、
このような中央の研究者による再確認が大きなベースになっていくと思います。
そのことが、国レベルの住宅性能を押し上げていく方向に結びつき
同時に、北海道にとっても新たな展開を生み出す方向性を
再度、発見できる可能性があると思っています。
この住宅は大きな気積の建物で、北海道江別市にあって、
主暖房装置はエアコン1台で賄おうという計画の建物です。
補助的に薪ストーブは設置されているのですが、
それは、むしろ炎のある暮らしを「楽しむ」ことの方が目的というもの。
計算する暖房の熱としては、
空気熱ヒートポンプ技術であるエアコンだけなのです。
それを担保するのが、壁300mm厚の重厚な外皮と
3重ガラスや、Low-Eガラスを装備した「透明な壁」ともいえる開口部仕様。
このような重厚な断熱仕様を、合理的で一般的な価格水準で
広く普及させてきているのが、北海道住宅のメリット。
ぜひ、多くの研究者のみなさんによって、
技術の核心が広く伝わっていって欲しいと念願しています。