三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

床下防湿の大切さ

2006年08月31日 04時37分40秒 | Weblog

<つい昨日、NPO住宅110番に寄せられた相談投稿から>

カビ・カビ・カビ・・・
新築住宅を購入して4年。でも今年、引越しを決意しました。
長男を産んだばかりの新築1年目の初めて梅雨
実家に3日ばかり里帰りをした時のこと
家に戻ると、リビングつながりの和室の畳の上に置いたベビーベットの下にカビが・・・
新生児のベットの下にカビを発見した時のショックといったら
しかし、新築はカビ易いという他人の言葉を鵜呑みにしてしまいました
それからはそれまで以上に換気に気を使い。
換気扇は今日現在まで絶やす事無く除湿機も購入しました。
しかし、それからも何故か換気しても掃除してもカビ臭さが部屋に広がる一方
2階は全くカビ臭さは感じることはないのですが、
一階のキッチンのシンクの下、下駄箱の中は、異常なカビ繁殖・・・
和室の押入れも言うまでもなく・・・
押入れに関しては襖をあけて毎日換気
特に毎年梅雨時になると、カビ臭が異常に
そして、今年の梅雨のあの湿気についに和室の天井に繋がる木の四隅が全て黒くカビに
同じ業者から購入した隣の家の和室も1年目にカビが大繁殖したそうです
4年たってもなお、増え続けるカビに健康への不安を感じ、ついに引越しを決意
とはいっても新築を購入して数年、頭金もなく
このまま泣き寝入りして、賃貸か中古住宅に引越しするのも・・・
カビというだけで瑕疵責任で契約解除まで請求できるでしょうか?
もし、業者が入って何かしらの手を講じて貰ったとしても
もうこんなにカビが繁殖する家に住みたくはありません
是非何か教えて頂ければと思います
■■■■
というなんとも切実な相談投稿がありました。
こういうインターネットの相談では現場確認が出来ない点はありますので、
断定は出来ないまでも、大変疑わしいのが、
床下の「防湿施工」がされていないのではということ。。
写真は、宮城県でのリフォームでの防湿工事の様子。
ここでは、いったん床板も外して、
地盤面にビニールを敷き込んで、湿気の上昇を抑えているのです。
床下の湿気の管理は家の基本性能に関わる部分。
きちんとした施工が行われないと、こういう問題が起こる場合があります。。
また、床下で水回り関係の配管が水漏れを起こして
そこからの漏水が、床下をプールのようにして・・・、というケースや、
また、地盤面の状況によって、地下水が滞留して、というケースもありました。
いずれにせよ、家族に健康被害をもたらし、
住宅には構造材の腐れをもたらす、湿気は住まいの大敵。

まぁ、しかし、他にも原因はあるかも知れませんね、結露とか。
建築のプロからの経験豊かな回答を待ちたいと思います。 
でも、すごい状況ですよね・・・。
こういう現実が、けっこうまかり通っているんですよね。 なんとも・・・。
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冷房効率のいい家

2006年08月30日 05時24分39秒 | Weblog

先日は気温32度という山形市で取材しておりました。
山形は冬場は北海道並みに気温が下がるし、
日本最高気温を記録したこともある、という寒暖差の激しい街。
ということで、家づくりをしっかり研究して新築したお宅を訪問しました。
写真には、こうした「冷房効率の良さ」というのは表現できませんが、
高温の直射日光があふれかえっている屋外から
一歩、室内に入って、その涼やかさにびっくり。
まさに生き返るような心地がいたしました。
聞いてみると、居間にある家庭用のエアコン1台で、全館、みごとにクール。
噴き出していた汗が、一気に引いていくのがわかる心地よさ。
わたしたちが取材に到着したのが10時で、奥さんのお話では
エアコンのスイッチを入れたのは8時半頃とのこと。
写真は1階の床下に仕込まれた床下ピットからの暖気上昇口と
いっぽう階段の踏み段に設けられた空気吸い込み口。
一階は床下の土間に蓄熱させる電気による暖房を採用し、
その暖気を家中に対流させて、全館暖房とするシステム。
高気密高断熱住宅を大前提とした、クリーンで快適な暖房方式ということで
建物の性能面には十分な配慮がなされています。
断熱的には通常のグラスウールによる充填の他に、
板状断熱材での「付加断熱」を採用し、
熱損失係数、Q値1.28という高性能住宅になっています。
次世代省エネ基準の北海道でのレベルが、1.6というものなので、
それを遙かにクリアする性能なのですね。
この数値は、換気システムとして第3種換気を採用してのものなので、
熱を回収するタイプの第1種換気システムを採用すれば、
北海道で多くのビルダーさんが取り組んでいるQ1.0住宅レベルのもの。
取材していて、高性能住宅での冬場の暖かさ
というのは体感できますが、
夏場の高温状態のなかでの「冷房効率」を今回みごとに体感。

こういう温熱環境に関することは、
一度体感してしまうと、絶対に元には戻れない性質の事柄です。
地球の空気に対して結局は温暖化させているだけで、
エアコンの温度レベルのみを目標にするよりも、劣悪な断熱気密レベルの改善が
地球環境問題へのまっとうなアプローチ手法だと思います。
こういう取り組みが、基本的なエネルギー負荷の削減をもたらすことはあきらかです。
まずはきちんと室内気候をコントロール可能なものにすること。
高温多湿な日本の夏に立ち向かう住宅技術は
多くのユーザーも望んでいることだと思います。
断熱がしっかりしていて、気密性能が高い住宅だと、
みごとに夏場の高い冷房効率が実現できることを
ここ山形市で、確認することができた次第です。

にしても、山形の暑さはひとしおでした。
まだまだ、今年の暑さは続くのだそうで、
残暑お見舞い申し上げます。
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メルマガ100号キャンペーン

2006年08月29日 06時19分10秒 | Weblog

当社のリプランHPでは、メールマガジンサービスをやっています。
ほぼ毎週1回のペースでHPから登録していただいた方や
雑誌で登録希望を寄せていただいたみなさんに
最新の住宅関連ニュースをお送りしています。
まぁリプランで選択した情報ですので、北海道東北の住宅関連の
ビルダーさんや建築家のみなさんのリアルタイムな情報が中心になります。
全国相手の情報ではないので、幅広い情報ソースとは言えませんが
逆に、「地域」にこだわったきめ細かな情報をお届けしています。
よくニュースで寄せられるのが、建築家住宅のオープンハウス情報。
こういうのって、ほかにあんまり目に触れる機会がないもので、
けっこう反響があるのだそうです。
ほんとうに住宅を建てる人たちで、真剣にいい家を考えているみなさんには、
絶対に役立つイベントや展示会などの生の情報を選りすぐっています。
今週発行分のニュースタイトルをお知らせすると、

 ◆[谷川正己氏講演
      「歴史的建築物を語る フランク・ロイド・ライト」開催]
 ◆[8/26・27・9/2・3 今井ヒロカズ設計事務所 
                      オープンハウスのご案内]
 ◆[9/2(土),3(日) 北海道中古住宅流通促進モデル住宅 
                      オープンハウスのご案内]
 ◆[新住協青森住宅フェア開催のお知らせ]
 ◆リプラン スタッフコラム(連載)

というような内容になっています。
地域密着で、家づくりの参考になる情報ばかりというわけです。
まぁ、年に4回の季刊誌なので、その発行サイクルの間を埋めるような
ニュースソースを会員限定でお送りしているというものなんですね。
もちろん、メルマガを受け取るのは無料です。
HPの「リプランクラブ」に会員登録していただければ、
どなたでも会員になれます。
一般の住宅をご検討されているみなさんに限らず、
工務店やビルダー、建築設計事務所のみなさんなども
登録することで、地域のなかでの最新のきめ細かな情報を得ることが出来ます。
登録は以下のアドレスから申し込めますので、どうぞよろしくお願いします。
リプランクラブ

で、このメルマガ発行が今回100回を迎えることになったので
担当の若いスタッフが、記念キャンペーンを企画しまして、
なんと、たくさんの応募景品が多くのスポンサーさんからいただけたのです。
そのなかでも、担当者が口コミでお願いしていたら
それを聞きつけてくれた北見の工芸作家さんから
「ぜひ景品で使ってください」と大変ステキな木製レリーフ工芸までいただいちゃったんです。
写真がその実物でして、
大きさは、大体天地左右とも60cmくらいの大きさがあります。
絵柄はごらんの通りのかわいい森のこびとさんたち。
このレリーフは、パッチワークのように
小さな部分がバラバラになります。
それを組み立てて遊ぶということも可能。
ですから、家を建てようかと考えている、小さなお子さんのいる家庭では
けっこういいプレゼントになるかも知れません。
ふだんは壁に絵として飾っておいても、とってもステキ。
この作品をご提供いただいたのは、
北見市留辺蘂町の、「ヤマヒサ工芸舎」の山久建さん。
連絡先はHPアドレスが、http://park22.wakwak.com/~yamahisa
メールは、y.craft@ar.wakwak.com
となっています。本当にありがとうございました。

このほかにもたくさんステキなプレゼントが集まっていますので、
北海道・東北で家づくりを考えているみなさんにはチャンスです(笑)
是非この機会に、メルマガ会員になってみませんか?
って、完全になんか、営業っぽいトークですが
まったくお金はかかりませんので、ご安心ください(笑)
きょうは、若いスタッフこん身のキャンペーンのお知らせでした、ヨロシク!
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盛り上がる札幌ドーム

2006年08月28日 06時04分15秒 | Weblog

朝晩はさすがにぴりっと来る冷気が感じられて秋の気配もあるのですが、
日中はおかげさまで、まだまだ、熱い北の夏が続いている札幌。
全国の野球ファンのみなさんには恐縮ですが
高校野球も決勝戦まで、それも2回も楽しめました。ありがとうございます。
そして、春の好調を維持し、この時期になっても
首位争いを演じているという、もう有頂天を通り越しての感激の
快進撃を続けています、われらが北海道日本ハムファイターズ。
ブログには書き込みませんでしたが、本当に一喜一憂、
手に汗をにぎりながら、毎日毎日を楽しませていただいています。

きのうはロードから北海道に帰ってきて2戦目。
連勝街道驀進中ということで、札幌ドームも大入り。
観客動員数: 35,394人という発表で、
北海道でこんなに地域一体型のことってはじめてという、
みんなドキドキの初体験ゾーンに突入しはじめております。
そのうえ、チームは苦しみながらも勝ちつづけています。
きのうもボテボテながら、何とかタイムリーが出て
後半で逆転しての強いチームの勝ち方。
ここしばらく、北海道に戻ってくるとチームは本当に生き生きと
リフレッシュして、のびのびプレーが見られるようになってきていますね。
移転から3年目。選手たちも北海道がホームなんだと、ほんとうに実感し始め、
わたしたち応援する側も、いよいよ熱がこもってきております。
野球はホームとアウェーを繰り返しながら、
盛り上がっていくプロスポーツですから、
わたしたち、応援するファンも、チームと一緒に戦っているわけですね。
こういう体験をさせてもらって、それもこの時期まで、いい位置で
首位争いに加わっているという、チョーうれしい毎日であります。
もちろん、その陰では不調なホームチームを抱えて
苦い思いを味わっているみなさんもいるわけで、たいへんその意味では
恐縮なんですが、ほんとうに楽しいです。
きのうも2時間前に札幌ドームに着いたんですが、
春の頃とは大違いのすし詰めぶりになってきていまして、
43000が満員掛け値なし、の状態なんですが、
だんだん、熱気が充満してきています。ラーメン食べるのも長い行列待ち。
でも、不満そうな顔の人、だれもいません。
たくさん入って、みんなうれしそうな顔で、待っています。
新庄選手の涙ぐましいドラマ作りもうまくいって
なんとか札幌にプレーオフの熱風を持ってきて欲しいと思います。
セリーグは、ドラゴンズの独走で消化試合的なムードになっています。
そういう意味でも、日本全体が盛り上がるためにも、
北海道日本ハムファイターズを、秋の野球シーンの主役に!
と、夢想する毎日です。頑張って欲しい! 北海道のみんなで盛り上げますよ!!
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ひょうたんって、初めて見た!

2006年08月27日 05時32分25秒 | Weblog
写真は先日の盛岡市郊外での取材を終えて、なにげに見回して発見したモノ。
新興住宅地のなかの家なので、周囲には農地が広がっていましたが、
住宅街に取り残されたような一角があり、
いろいろな野菜類を栽培されていたなかに、あったのですね。
ひょうたん、とはよくいったものだなぁと感心しますね。
こうしてなっているのですね。
いかにも瓜の仲間のような作られ方。
ひとつとして同じ形にはなっていなくて、それぞれの形が個性的。
地面に届きそうな長く伸びたヤツまでありましたね。
しかし不思議、なぜこのように締まったり、太ったりを繰り返すのか
しばし、夢中でシャッターを切っておりました。

まぁ、畑を持っているようなみなさんにはなんでもない光景なのでしょうが、
3才から、札幌の都会暮らしのわたくしとしては、
目が点になるような、オモシロ体験でございます。
食用というよりは、この独特な形を利用して
水筒のように使われるのが一般的なのでしょうが
こういう状態で出来ていって、さてこれからどういう行程で
ひょうたんに仕上げていくのでしょうか?
ということで、以下ネットで調べました。

yahoo検索で「瓢箪の作り方」と検索すると
たくさんのページに行き当たります。そちらをごらんください。
(なお、うっかり、その内容をここで転載しておりました。
お詫びして、内容を訂正いたします。)

ということだそうです。
ネットは便利ですね。いろいろ勉強も出来ます。
きょうは、日曜日で、住宅ネタはお休み。
あんまり好きでなかった、理科のお勉強でした(笑)
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沖縄の歌、踊り

2006年08月26日 11時38分05秒 | Weblog

中年になってきて、あんまり流行の音楽とかは
興味がなくなってくるところなんですが、
例の大ヒットの携帯音楽プレーヤー、iPodは興味半分で購入。
で、やっぱりパソコンで音楽を購入できる、という簡便さを持った
iTunes Music Storeで手軽に、最近の歌とかをダウンロードできる、試聴も出来る
というサービスに、すっかり音楽好きのこころがよみがえってきています。
そうか、娘の好きなのはこんな歌なんだ、
とかと世代間ギャップを埋める役にも立ちそうで、
たいへん重宝して使っております。

そんななか、発見したのが夏川りみさん。
沖縄、石垣出身ということで、最初のデビューに失敗したあと、
「涙そうそう」のリメークでブレークしたという歌唱力のある歌い手さん。
高音の伸びのある歌声、抑揚のある歌い方、
やっぱり沖縄の歌謡伝統のなかにある才能ですね。
沖縄の歌は、潮騒がこだましてくるようなゆったりとしたリズムのなかに
アジア的な旋律が、しっとりと情感を歌い上げる感じがします。
いちばんポピュラーな「島唄」が特徴的。
写真は、伝統的な舞踊衣装の極彩色のあでやかさと、
那覇の街中の「島唄ライブスポット」の娘さんたちのコーラス。
独特の躍動感に満ちた迫力が、感じられます。
地元の伝統的な音楽の文化で、主張しようという部分なのか、
ちょうど、弘前の津軽三味線のライブスポットと同じような
若い世代からの地元性への熱い熱気が感じられて、楽しかったです。

いまは、売れっ子になっている夏川さんも
売れない不遇の時代を経験してきているということ。
そして、そういう先輩に続きたいと、こういう若い娘さんたちが
地元にこだわった文化を盛り上げているのだと思います。
確かに一種の観光資源ではある側面はあるけれど、
こういう場を生かして、自分たちの文化としての歌を
もっと大きなモノに育てていって欲しいものです。

夏の暑い時期になると、
夏川さんのBGMで、iPodを聴きながら、
汗だくになりながら、朝、散歩するのが無上の楽しみになっているこの頃です。
でも、ことしの夏はまだ、あついですね~。
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宮床の家

2006年08月25日 05時53分38秒 | Weblog

仙台市の北方、中心部からは20km程度の距離に
「宮床」という地域があります。
この地域は著名な歌人を輩出したり、一種独特な文化性で知られています。
その伝聞で言えば、仙台藩始祖、伊達政宗が、ちょうど徳川の御三家のように
自らの直系の孫を、この地に遺し、
万が一、自らの仙台城の直系が危うくなったときに、
この宮床の血で置き換えるために配置した、といわれています。
ですから、小さな集落ながら、独特な気品を保っており、
武家屋敷の連なりで、趣のある家並みが続いています。

今回の住宅は、こうしたなかの一軒の住宅の改造事例。
上の写真が正面からの写真ですが、
屋根が少し段差がある、右側の棟をあらたに増築したもの。
こうした歴史のある建物なので、その家並みや家格に配慮して
景観の継続性を考慮した住宅になっています。
とはいえ、増築した部分だけでも普通の大型の家の一軒分の広さ。
こちらがわに現代的な暮らしが可能な
住宅装置を造作したというモノなのですね。
こちら側だけでも、4LDKになっており、
家族三人の暮らしには十分以上の広さが確保されました。
建物全体の断熱や気密に配慮し、また
暖房も、地盤面ベタ基礎の床下ピットを利用して
開口部の床付近から暖気を上昇させる工夫をしています。
こういう古民家的なたたずまいですが、
内部では大きな吹き抜け空間を作り出したり、
そのなかに、天窓からの採光がたっぷりと降り注いだりして
現代的な、開放型の住宅が実現しています。
そういう意味では、もう半分側の古いたたずまいと明確なコントラストがあります。
外部的には景観の連続性に配慮しながら、
内部では、現代と歴史的継続が同居しているような住宅です。

玄関には、おもしろい家紋もガラスに入っていたりしています。
家紋の名は、電字なんとか、という名前だそうで、
まったく見たこともないモノでした。
写真下左が、玄関を内側から撮影したモノ。
衝立がある、武家の住まいの基本的なありようを伝承しています。
まさに家に歴史あり、そのままのくらしをつづけていらっしゃるみなさんもいる。
こういう住宅も、作り手がしっかり想像力を持って
時代をリレーしていく建物の形として遺していかねばなりませんね。
後世に、現代が、ただただ、スクラップ化しかできなかった
建築的な不毛で無能な時代と指弾されることがないことを
祈るような、気持ちがしてきます。
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森に暮らす家_3

2006年08月24日 09時52分49秒 | Weblog

さて、森の家の3回目です。
写真はこの家を特徴づけている「下屋」部分の様子。
右側写真が室内側からの光景です。
室内から見ると、ピクチャーウィンドを切り取る上部の額縁であって
熱環境的には、南面からの強い日射を遮蔽する役割を果たしています。
伝統的に日本の家屋では、このように景観を切り取って
眺め愛でるのが、私たちの精神文化。
こういうフレームがないと、間延びした自然に感じられるのではないかと感じます。
こういうふうに枠に嵌めることで、かえって、奥行きを感じるのかもしれません。

一方、左側の写真は窓の外側の下屋の様子。
ここでは屋根の付いた外部、ガラスのない外部と一体化した内部、
そのどちらともいえない、いわば中間領域ですね。
庭土とは若干のレベル差があるので、外気のなかにある「内部」という感じが正確。
この半外部には、中側から4カ所の出入りが考えられていて
ちょうど取材に伺ったときにも、小学生の息子さんが
森を眺めてたたずんでいたところでした。
たぶん、感覚的には「外の居間」というイメージで暮らしているようです。
キャンプ用のテーブルや布製の折りたたみ椅子などが
いま、現在のこのお宅で、もっともくつろいで過ごしている場所なのだなぁ、
と実感できましたね。

屋根や、ガラス窓越しの内部、床の煉瓦などがここちよい安心感をもたらして
からだは気持ちのよい薫風に包まれる、
そういう居心地の良さ、というのがこのスペースの特徴。
戸建て住宅の素晴らしさ、を十分に堪能できる空間ではないでしょうか。

この家のほかに都合3軒の取材と、事務仕事をかたづけ、
夜10時半頃に仙台から札幌に帰還いたしました。
けさ、全日空のわたしのHPをみると、ことしの搭乗回数が42回に達したそうで、
さすがに体が、しんどく感じられて参りました。
疲れが溜まってくるとストレスが増してくるので、
運転も気が行き届かなくなってきます。
十分に安全運転を心がけねば・・・。
バタンキューで、今朝の目覚めもイマイチか、イマ3くらいのつらさ。
ということから、更新が時間、遅れました。
申し訳ありません、元気を出して頑張ります。
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森と暮らす家_2

2006年08月23日 05時36分15秒 | Weblog

きのうご紹介した家の続編です。
この家は、いろいろな思いが込められた住宅。
写真は外観と、換気で吸気用の塩ビ管ダクトです。
このダクトは、ベタ基礎で外断熱された床下空間に外気を取り込むためのもの。
換気はパッシブ型の考え方で、廃棄側は
屋根の近くに簡易な換気扇が取り付けられています。
内部の主暖房装置である薪ストーブのすぐ直近に開けられた空気導入口から
床下ピットを通った外気が、薪ストーブがもたらす上昇気流によって
室内に迎え入れられ、大きな吹き抜け空間を介して
建物最上部の排気口から出ていくという流れが考えられています。
まぁ、大きく機械に依存せずに、自然なかたちの換気システム。
夏場については、大きな居間開口部の窓下に付けられた
「換気窓」を開放させて外気を導入し、
外気と室内空気の「温度差」による、自然対流で、
換気を行おうという考えですね。

外観的には、シンプルな切妻が基本。それに対して、
建物外周をぐるっと「下屋」~げや~が取り囲むように配置されています。
基本性能的にはこの切妻の単純な形態で
断熱気密の性能を確保させやすくデザインしているわけですね。
下屋部分は、ごく一部を除いて、断熱的には外部の扱い。
豪雪地帯とは言えないまでも、積雪も多い地区なので、
屋根形状は単純にして配慮しています。
ことしの冬はけっこうな積雪もあったということで
ややごつい雪止めも装置しています。
屋根上には太陽熱で温水を得るためのソーラー装置を取り付けました。
冬場は、若干ボイラーによる加温が必要ですが、
夏場には、ほぼ十分な温水がこれで得られるということでした。
外壁に張っているのは、杉板。
隣家との距離が十分に取れるメリットを生かして
木の素地表しという質朴なデザインを実現しています。
十分に下屋の庇が伸びていて、外壁を保護しているので
メンテナンスの意味でも大きな問題は出ないでしょうね。

外観的には、非常にシンプルな表情を見せていますね。
北国型の住宅のデザインとしては、
やはりこうした単純形態が、自然条件に似合っている、といえるでしょう。
ポイントは、やはり下屋部分ということになります。
・・・という部分は、明日のブログで。
仙台から滝沢村、2カ所の撮影で往復してきましたが、
移動距離は約400km。
だんだん、疲れが出てくるようになって、
仙台に帰ってきたら、バタンキューでした。・・・はあぁ、歳ですね。(笑)
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森と暮らす家

2006年08月22日 04時56分36秒 | Weblog

居間には大きなピクチャーウィンドが全面に広がっています。
しばし、撮影を忘れて、その森の眺望の心地よさにうっとり。
正面には岩手県の木であるアカマツが繁り、
それを取り囲むように東北らしい広葉樹・針葉樹の群生が展開している。
四季折々、いっときも変化を止めることのない
ゆたかな森が生活のなかに取り込まれています・・・。

ちょっと、取材は夏休みでしたが、きのうから
ふたたび、いろいろな日程が入ってきております。
きのうは岩手県盛岡市北方の滝沢村に取材に行ってきました。
滝沢村は豊かな財政基盤に恵まれた自治体で
隣接の盛岡市と合併せず自立している村。
高速のICからして豊かな森の中にあって、伸びやかな心地がします。
以前東京で暮らしていた建築家のご夫婦が建てられたのがこの住まい。
ご主人の仕事場に近く、高速などのアクセスもいい立地条件。
敷地は300坪ほど。しかし、南側に面して県の管理する
自然公園に隣接した土地なのです。
住宅新築に当たって、古い家が付いたこの土地と巡り会えたのですね。
建築家って、こういう立地条件のいい敷地を探すのが巧み。
というか、自分自身の家であれば、おのずと
素晴らしい選択眼が働いてくるモノなのでしょうね。
建物はまた次回以降にご紹介するとして、
やはり住宅、それも自由設計の注文住宅であれば、
その建てられる敷地の選択は、もっとも大きな部分です。
なにを大切に暮らしたいのか、の部分が端的に表れてくる部分でもあります。
マンションなどの都市型集合住宅に対して、
生活の器としての戸建て住宅の、最大のメリットでもあります。
そこがしっかりと明確化された住宅であれば、
設計プランとしては、ごくシンプルに明快なプランがぴったりだと思います。
この家では、南面する居間・食堂などのメインスペースに
大きな木製窓が大開口を形作って、眺望が開けられているのです。

ついつい、時間の経過を忘れてしまって
椅子にどっかりと腰を落ち着けて、しばし美しい森に癒される時間を
楽しませていただきました。
やっぱ1/f のゆらぎ。
歩みを止めることのない自然の変化に抱かれて暮らすのが
人間にいちばん似合った、内省的な人生を楽しめるものだと思います。
おとぎの国の森を訪れたような、・・・楽しい一日でした。
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