わたしの密かな楽しみのひとつに
JR東北新幹線に乗って見ることができる車内誌 トランヴェールの講読があります。
このフリーペーパーは通巻で234号にもなる月刊誌。
で、表紙のようなものなんですが、
ごらんいただけるように、東北ゆかりの歴史物特集が組まれています。
今回はなんと、歴史好きにはたまらない、
東北の謎に満ちた豪族・安倍氏、清原氏の興亡を描いたもの。
これまでも東北に由来する歴的事跡を紹介する特集が頻繁に組まれています。
従来型の販売型メディアでは、歴史マガジンなどでも
どうしても日本全域を対象にすると、全体バランスに配慮して、
あるいは「買ってくれる」読者の興味におもねってしまって、
中央政府周辺の事跡をなぞるような特集テーマになってしまうことが多い。
歴史マガジンの宿命というか、
たぶん、販売から営業、などの状況を全体として会議などすれば、
どうしても無難な特集テーマを選んでしまうのは理解できる。
結果として、ほぼ毎回のように、戦国ものや、
義経を中心とする時代、幕末、というような
たくさん歴史上のスターが登場するテーマと時期が多くなってしまう。
だから、わたしのような読者からすると、
パラパラと立ち読みしても、「あぁ、またこんなことでお茶を濁している」と
思ってしまう。極端に言うと、これまでの号から手を変えて
焼き直したのではないかと、疑われるような内容が展開している。
だいたいが、どこかで読んだような内容が羅列されているケースが多いので、
そのうち、立ち読みもしなくなってくる。
そういう歴史雑誌の現状のなかで、
このフリーペーパーの特集の内容の厚みにはいつも感嘆しています。
なにより、地域に密着してテーマを選定し、
考証や監修なども、たとえば東北歴史資料館の館長さんとか、
東北域内の大学の先生など、地元の歴史発掘家のみなさんが
深い造詣を語ったり、アドバイスを送ってくれている。
どうも、歴史関係でも、全国一律の画一性、ということには
未来展望が見えなくなってきているのではないでしょうか。
その分、販売と言うことを考えれば狭い範囲になるわけですが、
このフリーペーパー「JR車内誌 トランヴェール」というようなメディアであれば、
いま、挙げたような状況を突破する可能性が広がってくる。
中央の知的欲求とは全然違う欲求に対して、
特集を打つ必然性もあり、それがやれる条件がほとんど揃っている。
読者の側は、きっとそういう諸条件などもきっと見越していると思う。
メディアに携わるものとして、留意しなければならないポイントだなぁと思っています。
で、昨日忙しいのと、疲れ切っているために
まだ、読みかけなので、じっくり読んでみようと持ち帰ってきた次第なんです。
あ、ちゃんと、「ご自由にお持ち帰りください」と銘打たれているので、
決して、ネコババ行為ではありません(笑)。誤解のないように(笑)。