きのうは、青森県南部地域のビルダーさんたち12人が
札幌で建築家住宅視察研修に来られて駆け足視察。
おとといはリプランオフィスでスライドレビューを行っていました。
地道な積み重ねではありますが、
北海道の寒冷地住宅としての性能・デザインレベルを
本州地域のみなさんに、広げていくために、不可欠な営為だと思っています。
こういう視察を積み重ねてきていますが、
その参加者の中から、けっこう性能向上への取り組み努力を
聞くことが多くなってきました。
北海道と東北、さらに日本全域で、ビルダーレベルの技術交流が
盛んになっていくように、願っている次第です。
北海道は、厳しい自然条件の中から、伝統的な束縛から自由に
合理的な家づくりが育っているアジア有数の先進地域。
このコンテンツは、北海道にとっても、環境の時代を迎えている
日本全域にとっても、大変有用性が高まってきているものだと思います。
ということなんですが、
まぁ、住宅の面白いディテールを発見できる機会にもなっています。
きのうの研修でも、何回かうかがっている小樽市の建築家・奥村晃司さんの
職住一体型住宅でのお風呂で、ディテールを再発見。
眺望を楽しむお風呂の配置的な面白さに、これまで目を奪われていたのですが
参加者の方からの質問から、壁天井の造作に
感嘆させられた次第。
ふつう、ユニットでない造作のお風呂の場合、
相当念入りに内装下地の防水は行われるのですが、
この建築家の自邸では、実験的に挑戦していて、
なんと、下地には壁天井部分では、特段の防水処理をしていないということ。
そのうえ、使用している壁の素材も、一般的で安価な木材を使っています。
他の居室でも、内装の仕上げに使っているものです。
お風呂なのに! という驚きなのですが、
このお風呂にはしっかり床暖房が敷設されていて、
しかも換気は24時間連続運転でなされています。
湿気が滞留する要素がなくなれば、
お風呂の丹念な防水は、そこまでは必要ないのではないか、
という実験なんですね。
で、それは4年間以上の居住経験に踏まえると、成功しているということ。
というような会話に、みんな感嘆していました。
もちろん、この家は建築家の自邸なので、メンテナンスなど、
プロであり、その内容をすべて把握している人間が自分で毎日チェックしている、
という特殊条件の下での実験であり、
そのまま、一般化できるものではありませんが、
ひとつのおもしろい成果ではあると思います。
もしこういう考え方が可能になってくれば、
お風呂の内装の可能性は大変大きくふくらんできますね。
今後の展開が面白いなぁ、と感じられるひとつのディテールでした。