三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

第1回建築家住宅バス見学会

2009年03月21日 08時55分18秒 | Weblog



きのうは第1回建築家住宅バス見学会。
北のくらしデザインセンターの大きなイベントとして
セミナー・相談会とは別に
実際の住宅を見に行くツアーというのを
以前から計画していまして、ようやく実現できたもの。
朝、9時札幌市中心部のテレビ塔前に集合して、夕方4時半くらいまで、
札幌市内の住宅全8件を巡り歩くツアーです。
初めての試みと言うことで、参加者は全17名。
わたし自身もほとんどが初めて見学する住宅ということで、
大変興味深く、楽しみながら、参加者のみなさんと
いろいろお話ししておりました。

それぞれが個性的で、世界にふたつとない住宅ばかり。
コストもそれぞれ、まったく違っています。
また建築家もそれぞれ、個性が異なっていて、
まったく独自の価値観・デザイン感覚が展開しています。
ただし、建てられている敷地は、札幌の西側の宮の森や円山・界川といった
高台敷地で、緑の環境が得られやすい地域が多かったのが特徴的。
まったくの平坦地というのは1件だけでしたね。
で、その1軒の家も川縁という条件。
やはり、敷地選びから、個性的な「暮らし方」ということに
強い興味を持っている方たちが多いという感じがしますね。

札幌って、全国のどの都市よりも
そういう意味ではまだまだ、自然を感受できる環境が、
さまざまに残されていて、
「こんな暮らし方が出来るんだ」という発見ができる街。
全国で建てられている建築家住宅が、どちらかといえば、
自閉的で、周辺に対して無機質になっていて、
そういう無表情さが、かっこいい、っていうように
誤解が進んでいるように思われる中では、
きわめて特徴的に、周辺との関係性に重要なテーマ性を持っていると感じます。

このあたり、なんと表現していいかわからないけれど、
札幌に暮らすっていうことが好きになるような家づくりがある、っていうことか。
逆に言うと、それ以外のところでは、
どうもそのような「地域性」というものが感じられないデザインが多い。
シンプルな箱に、どんどん、還元されていて
そういう意味では、「デザイン」というものに近づいていて、
「家づくり」という、こころの襞を感じる部分がなくなっているように感じる次第。
わたし自身も、札幌を離れていろいろな住宅を見て歩くことも多く、
久しぶりに札幌の家を集中して見ることで、気付く部分ですね。

っていうようなことで、
バス見学会、第1回が終了いたしました。
けっこうなボリュームで見て回ったので、さてみなさん、
どのような感想を持っていただけたか、
でも、帰り際、みなさん、ちょっと疲れてはいたけれど、
楽しそうな笑顔を見せていただけたので、
すこしはお役に立てたかも知れません。
また、時期を見てやりたいと考えています。
別に建築家に家を頼む方以外でも、凄く参考になることは保証します。
家を建てる計画を思い立ったら、
ぜひ、こういう機会、大いにご利用ください。



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がんばれ、ニッポン

2009年03月20日 07時26分59秒 | Weblog



いやぁ、手に汗がじっとりと湧いてきますね。
一球一球にドラマの展開があって、
野球の面白さを思い切り堪能できますね、WBC。

おとといはダルビッシュ先発と言うことで、
生きた心地もしないくらいでしたが、
残念な結果になり、かなりこたえましたが、
きのう、岩隈くんがニッポンをみごとに立ち直らせてくれました。
やっぱり、ダルビッシュや稲葉選手という
代表選手には、自分自身のような思い入れを持ってしまうので、
いい結果、悪い結果、どちらもわがことのように感じてしまいます。
ダルビッシュ君は、1回だけが空回りに近いような結果。
討ち取った力ない打球が不運にも野手の間を抜けていったり、
併殺を焦ったタイムリーエラーが出たり、と、
もう、ふわふわとした地に足のついていない状態での失点でした。
考えてみれば、かれはまだ、22歳の若さ、
緊張感の中で、メンタル的にはまだまだ、成長途上の選手。
2回以降、開き直った小気味のいい投球で
辛抱強く、マウンドを守っていました。
残念ながら、結果は敗戦でしたが、
かれとしては、持てる力は出せたと思います。
そして、稲葉選手。きのうは久しぶりの先発出場で、
先制のチャンスを広げる、目の覚めるような強い打球の右2塁打。
その後、生還しての笑顔は実に清々しく素晴らしかった。
一時、バッティングの調子を崩していたのが、復調してきたようです。
JAPANの4番を任されたときにはびっくりしましたが、
そのプレッシャーをはねのける思い切ったスウィングを見せてくれて
本当にうれしいです。

さぁ、なんとか準決勝に進出が決まり、
きょうは、どっちの結果になってもいいかな、という試合。
韓国は本当に強いチーム。
いずれにせよ、決勝までいってももう一回、やるかも知れない相手。
負け癖を、これ以上は付けたくない。
韓国の闘争心に大いに火を点けてしまったイチローが、
やはり今後の展開の鍵を握るかも知れないですね。
かれに力強い打球の3塁打も飛び出し、
いろいろなドラマの予感が、高まってきています。
そういうなかで、わが北海道日本ハムファイターズの中軸が
しっかり役割を果たしてくれていて、
こんなに素敵な夢を見させてくれていることに感謝したいと思います。
がんばれ、ダルビッシュ・稲葉。
がんばれ、ニッポン!



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内装選択の楽しみ

2009年03月19日 06時49分21秒 | Weblog



マンションのリフォーム、
コーディネートをしております。
実際に行うリフォームの内容に沿って、
ユーザー側と施工者側の両方の視点で、いろいろと考えてみている次第。
こうやって見ていると、いろいろなことに気付きます。

ユーザー側からすると、
まずは経済的な自分の「身の丈」を計る、という辛い作業がある。
でも、ここの部分はそのあとの生活設計から考えて
やはり無理がなくて、現実性が高いものでなければならないのは大前提。
現状のような経済状況の中でも、
やはり底堅い実需の住宅需要というものが存在している実感はある。
衣食住というくらいで、この需要は根底的なんですね。
ただし現在は、その実需ラインは相当に下がったラインのような気がします。
そういう現状のなかで、でもどうやったら、
「楽しい提案」ができるのか、っていうのが試されている。
そんな気がしますね。

まぁ、たまたま、ゆりかごからお終いまで計画から工事まで
ずっと関わることになるのです。
で、ちょうど内装の床材の選択にたどりついて
そのカタログサンプルをお届けして、
見てもらっているところ。
やはりユーザー側からすると、こういう
直接自分の毎日の暮らしに影響してくる部分って、興味は高い。
当然コストのことはあるのだけれど、
そのなかでも、具体的にイメージできる部分にはこだわりも持ちたいだろう、
っていうことなのですね。
まぁ、自分自身も家づくりは何回か経験はしているのですが、
とくにマンションのリフォームっていう限定の中では、
こうした床材選択というのは重要度が高まる。
家を新築すると言うことなら、
そのほかにも考えるべき事柄が多すぎて、
つい重視はしないような部分だけれど、やはり大きくなる。
コストと騒音などの対策からカーペットになるのですが、
カタログ見本帳っていっても、かなりかさばるもの(!)。
デザイン・色合いともバラエティは無限に近い。
まぁ、「選んでおいてください」って言うしかないのですが(笑)、
とくに女性にしてみると、服を選ぶのにも似て
とても男が立ち入れないような気の遠くなるような(笑)、
ああでもない、こうでもない、っていう世界が広がっている。
ほほえましいというか、そういう部分でありますね。

しかし、考えるべき領域が狭くなるのではありますが、
現状の住宅需要というのは、
こういう部分に中心的な興味領域もあるわけで、
そういうなかで、どんな面白い展開を生み出せるのかどうか、
ちょっと、チャレンジしてみたいと考えております。
さて、どうなるでしょうかぁ?




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政治の大停滞

2009年03月18日 06時31分00秒 | Weblog



当然の声が、やっと上がった、というべきか。
フォーラム神保町というジャーナリストを中心にした勉強会、
もと日刊ゲンダイ編集長の二木啓孝さんが事務局を務め、
魚住昭
佐藤優
鈴木宗男(衆議院議員/新党大地代表)
田原総一朗
永野義一(弁護士/元東京地検特捜部副部長・元最高検検事)
平野貞夫 (元参議院議員)
宮崎学
といったメンバーで、緊急の集会が行われたことはご存知かも知れません。
題して「青年将校化する東京地検特捜部~小沢第一秘書逮捕にみる検察の暴走~」
現在、15日に行われたその模様が以下のサイトで動画配信されている。
http://www.forum-j.com/media/090315video.asx

大筋としては、
戦前の、腐敗政治の社会的暴露と、その救済的存在としての軍部の登場、
その実態としては、「統制派」官僚機構が独裁する形で
破局的戦争に至ったプロセスへの類推的な視角から
現在の東京地検特捜部という存在を見返す視点を
多くの国民に伝えていこうと言うことであると思います。
スキャンダルであるとか、政治とお金の問題って、
そのことと、政治が本来果たすべき役割とは別個の問題であるのに、
簡単に政敵や、都合の悪い政治家を葬り去る手段として日常化してきている。
とくにそういう種類の情報を握る中枢部分が
ある種の思惑を持って権力を行使したら、
とんでもない事態に立ち至るのではないか、という
きわめて当たり前のことが、警鐘を持って語られたことの意義は大きい。

確かに戦前、世界大恐慌以降、
政治家のスキャンダルが執拗に追求され、
そういう腐敗から「清廉潔白」な軍人や、官僚組織がこの国の中枢を壟断し、
政治的な、国際関係的な国としての自殺行為に突き進んでいって
国民を破滅的局面に追い込んだのが歴史的事実。
官僚組織というのは、
それを直接選挙などで、チェックする方法が、日本の民主主義には存在していない。
本来官僚組織は、民主的に選出された権力が使用する手足であって、
「公僕」という言葉がある由縁。
しかし、実態としては、
皇室に入内した官僚機構トップの家庭があるように
きわめて特権的な階級を構成してしまっているのが、日本の現実。
こうした現実の中で、
東京地検特捜部の垂れ流す未確認情報だけが一人歩きして
小沢一郎という政治家をターゲットにして
これを葬り去ろうとしているいまの動きは、
民主党が、政治による支配を強めて官僚機構の統制を強めようとマニフェストに
謳おうとしていることとの関連まで考えたとき、
かなり異常なことが進行しているという危機感はあるべきだ。

とにかくも、秘書の逮捕から次の展開期限である24日まで
政治的意志決定の全くの空洞期間は生じている。
こういう事態の相当重大な責任は東京地検特捜部にあることは間違いない。
この「政治資金規正法違反」という「疑い」への捜査が、
いま、世界的な未曾有の大転換期に
日本の政治プロセスを大停滞させてまで、取り組まれるべきことなのかどうか、
きわめて奇異な事態だと、感じています。



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縄文のヴィーナス

2009年03月17日 06時56分17秒 | Weblog



これ、歴史民俗博物館のエントランス正面に展示されている造形。
でも、これ、現代彫刻ではないんですよ。
実際に4000年から5000年以前のわたしたちの祖先が造形した「作品」なんです。
って、ちょっと信じられない。
・・・・
ということで、インターネットで調べたら

最初に「縄文のビーナス」と呼ばれた
山形県西の前遺跡で出土した土偶(重要文化財)は
あまりにも現代的な造形の土偶には驚かされます。
この土偶は頭部には紋様が見られませんが、衣装を纏っております。
この衣装と見られる腰部に文字と思われる紋様が描かれております。
縄文中期4000年前に制作されたものとされております。

っていうような次第です。
まぁ、ここに書かれている文字のようなモノも
きわめて興味深いものとはいえると思うのですが、
こういう形態を生み出す造形家としての芸術的感性に深く打たれます。
芸術というのは、日々の暮らしのなかでの余剰のような部分、
もしくは豊かさの発露、というように一般的に理解されるだろうと思うのです。
生きていることに対する賛歌のような思いが
芸術的な表現に人間を駆り立てるのではないか。
こういう表現物を生み出した社会や、その個人に対して、
たまらない愛着を覚えてしまいます。

日本的な感受性の系譜の中に
こういう作品を持っているというのは、誇らしい。
日本人が生きてきたことの記念碑的な作品ですね。
こういう作品を生み出した背景としての縄文社会というのは
おととい触れた三内丸山の暮らしぶりに理解できるように
非常に完成度の高い豊かさを持った社会だったと言えると思います。
文字は別としても、こういう表現物を生み出すほどに
文化レベルがきわめて高い社会であったことは疑いようがない。
日本社会は、何回か、
海外からの刺激によって変容した社会だと思います。
近くは欧米的価値観のまるごと受容。
古くは文字の導入、律令国家、仏教文化の受容などなど。
その都度、日本的にそれを受容し、
「日本的」と、今日、わたしたちが表現するような
独自文化として発展させる能力を持った社会だと思うのですが、
どうも、弥生の先達としての縄文社会も、
弥生を大きく包み込んで受容した
発達した社会的感受性を持った存在だった気がします。
弥生的な、東アジア世界の受容は、
このような作品を生み出した縄文によって可能だったのですね。

深く立ち止まらされるような作品に、
出会ってしまった思いがして、たまりません。




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建築行政の制度設計ということ

2009年03月16日 06時52分52秒 | Weblog



先日の東京出張でいちばん聞きたかった講演がこれでした。
野城智也先生という東大の建築の先生なのですが、
専攻は、建築を巡る社会システムの方なんですね。
建築にもそういう分野があるということを初めて知った次第ですが、
ちょうど、国が進めている「長期優良住宅」施策の基本を方向付けている中心メンバー。
こういう考え方が、長期優良ということの概念を規定している。

講演の内容は大変多岐にわたっているので、
時間を見て、しっかりまとめたいと思っています。
この講演の中で、大変面白かったのが、
日本の注文住宅である農家住宅は大変優良な長期優良住宅であるという点。
日本住宅の数量的な大部分を占める都市住宅は基本的に賃貸住宅であり、
確かに、構造的にも、社会システム的にも簡便な作られようで作られてきたけれど、
きわめて資産性を考えて作られてきた農家住宅は
基本的に数世代にわたって継承され、
大規模な修繕などの手も加えられながら、
数百年間の長きに渡って延命してきた建築ばかりであるとされていました。
まさに、言われるとおりだと同意できます。
日本の普通の考え方に木造建築のもろさ、みたいな誤解が
長くはびこっている気がします。
それは、度重なる都市圏での大火火災の経験が、
いわば、社会的な常識として、木造は燃える、
という安易な常識を形成してきたと言えるのだ、ということ。
そして、長期優良住宅を考えるには、
延命を担保する、社会的なシステムを設計することのほうが
建築自体の強度をどこまでも重装備にするよりも、
はるかに効果的であり、追求すべきである、という考えなのですね。

こうした考え方から、
究極的には、各戸に「住宅ID」を付与し、
その作られようが常に明確に把握できるように
建築を構成するいろいろな素材にICタグを埋め込んで
常にチェック可能にする、というような方向性を目指しているようなのです。
そのための「社会実験」は多様に取り組まれているようであり、
その様子も詳細に報告されていました。
わたしのブログでも、江戸中期の農家住宅の家屋記録保管を
ご紹介したことがありますが、
まさにそのような社会的なシステムが必要なのだと言うことですね。

ただし、江戸期には「家制度」が明確化して、
長子相続システムが基本的社会システムとして根付き、
権力の側でも、それを積極的規範として社会に強制した、
というような事実が大きかったと思います。
もし今日、長期優良住宅を社会システムとして考えるべきだというのであれば、
実は、この「家制度」という延命システムの代替制度創出まで
取り組んでいく必要があるのではないかと思われた次第です。
それは、民族的なレベルの同意形成が必要であり
単に、ICタグで解決出来る問題ではないのではないか、
根本的な問題に注目しながら、
そこから出てくる結論はどうにも目先的ではないのか、
というような思いが募ってきます。

いうまでもなく、今日社会では
結婚すら共通的な社会規範とは言えなくなっているような
「個人」を基本的な単位とした社会形成が行われており、
「家」の存続を、必ずしも保証するような社会システムではない。
端的に言えば、相続税を3代も払い続ければ資産がなくなるか、
きわめて中産階級的なレベルでしか「資産継承」が行われない、
という現実があります。
国としては、このような中産階級的な建築としての住宅を
「長期優良住宅」としてのレベルまで引き上げたいと考えているのか、
このあたり、どうも未消化ではないのかと思われたのが実際です。
みなさんは、どのように思われるでしょうかね。



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三内丸山の大型建築

2009年03月15日 09時37分36秒 | Weblog



さて、歴史民俗博物館取材で、しばらく歴史ネタは大量の取材在庫がありますので、
いくらでも取り上げられることになっています(笑)。
っていうか、通常の仕事関連のブログのほうが
触れなければならないテーマが多くあるので、
とても紹介は無理ですね。
写真撮影点数は、360点もあり、そのどれもが興味津々のもの。
自分自身の中でも、まだまだ整理統合できていないものばかりです。

ジオラマが興味深い、ときのう書きましたが、
さっそく目に飛び込んできたのが、
青森市郊外の「三内丸山」大型建造物復元ジオラマ。
ここには2~3回足を運んでいる記憶がありますが、
まさに「縄文の都」「国のまほろば」とでも呼ぶにふさわしい景観。
物見のやぐら建築がシンボリックですが、
縄文の都市、って呼ぶことに異論が出ないほどの大型建築が印象的。
その建築がどのように使われていたか、
現代最新の知見を動員して、ジオラマ表現しています。
建築の連なり、大きさから、どう考えても
千人を下らないひとたちがこの縄文の都で暮らしを営んでいた。
活発な交易活動を営む基礎の港が、ごく近くに迫り、
同時に海の動物性タンパクは豊富に消費され、
栽培されていたと推定される「クリ」が炭水化物の最たるものだったでしょう。
そうした植物性食物は2階に植物繊維で編み上げた袋や容器に貯蔵され、
多くの大型土器に、海山の幸が豊富に貯えられていた。
むしろを敷いて、いろいろな作業を分担しながら、
「都市的生活」を営んでいたに違いありません。
よく見ると、麻のような線維を編み上げた服を着ている。
衣食住というけれど、服を作るというのも人間の基本的労役。
女性の基本的な労役が機織りであるのは、
洋の東西を問わない。女性がファッションに敏感であるのは、
たぶん、こういうDNA的な部分での経験記憶が預かって大きいのではないでしょうか?
こういう大型コロニー、まぁ、都市と呼んでいいでしょうけれど、
その運営は、どのような社会システムで行われていたのか、
農耕社会が普及する中で必要性が高まった「文字数字表現」直前の段階で、
いったいどのように社会が運営されていたのか、
文字がないので、それを知るよすがは残されてはいませんね。
しかし、確実に写真のような共同体が営々といとなまれていたのは疑いない。

それと、「交易」というのは、
人類が出現してからずっと、営々と行われてきたことも間違いがない。
どう考えても、人間の本然の姿の中に、モノを交換して
自分たちの価値感を向上させたい、という欲求があると思います。

まぁ、こういうジオラマひとつに
実に多くの知見が集約されて表現されていて、
飽きることがありません。
生きた歴史・民俗のあたりまえの姿が克明に見えてきますね。



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日本建築の木組みの技術

2009年03月14日 07時27分23秒 | Weblog


先日の東京出張時、時間を縫って訪れた「歴史民俗博物館」。
展示されている歴史的知識の積み重ねに比較して
発表資料の少なさは、ちょっと拍子抜けするほど。
大体の博物館では、その収蔵展示物の詳細な紹介本が出されているものなのですが、
って、それを購入して、再度確認するのがわたしの見学スタイルなのですが、
そういう刊行物がない、ということ。
パンフレット的なものくらいしかなくて、
追体験しようと考えても、そのよすががなかなかない。
ホームページなどで、閲覧確認するくらいなのですね。
でも、そういうのではまったく全体像は見えてこないですね。
豊富に展示されている「ジオラマ」が特徴的ですが、
そういう復元展示模型の作成に至った「知のプロセス」なども知りたい。

常設展示の方は、一部、皇室が関係するとおぼしき資料部分については
「撮影禁止」の処置が散見されましたが、
大部分は撮影しても構わないと言うことですので、
カメラで収めていくのがやり方ということになるでしょうか。
歴史研究についての各大学のセンター的な機能も持っているそうで、
最新の調査研究の成果が反映される、むしろ、そういう部分で、
総体的な刊行物を出しにくい、ということかなぁ。
まぁ、それにしても展示の仕方も一般にわかりやすく
ジオラマや、展示模型が詳細で、具体的イメージがつかまえやすい。
本当に歴史好きにはたまらない環境が整っています。
できれば、1週間くらいは通い詰めて、
詳細な「取材」をしてみたいと思っています。

写真は、仕事にも関係する部分で展示室のアプローチに置かれていた
「根来寺」の構造模型展示。
たぶん、建築歴史に専門的に取り組んでいる研究者たちの調査成果なのでしょうね。
まさに日本建築の木組みの美しさを端的に見せてくれる模型。
アジア文化世界の最終的到達地域である日本が、
仏教というこの地域で繁栄した思想表現をどのように感受し、
建築としてどのように表現してきたのか、
その技術の断面を表していると感じます。
四角の中に丸い平面を調和させ、せり上がりの美しさを感じさせる
テーマ的な表現部分をクローズアップした次第。
住宅としては、竪穴のような住宅が一般的だった時代に
こういう木造建築は、思想とか、権威性とかを
民衆に具体的な視覚表現として、訴求させる効果があったのだと思います。
建築技術は、やはり権力に奉仕することが
発展を支えてきた一番大きな力だったのでしょうね。
こういう木組み、見ているだけでつい、時間を忘れてしまう気がします。
って、すぐに立ち止まって見入ってしまうものばかりなんですね(笑)。
ううむ、
これは困った博物館に出会ってしまったものだと思わざるを得ません(笑)。



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講演・会議、会議、会議・・・

2009年03月13日 06時28分56秒 | Weblog


昨日は午前中が建材店の展示会でミニセミナー。
写真のようなことでして、
会場の中でするので、なかなか落ち着かない雰囲気。
なんですが、きのうも一昨日も、始めると熱心に聞いていただける。
あれ、いつの間に、っていう感じでひとが集まってくる。
ちょっと不思議な雰囲気なんですが、
座っていただいた方には、絶対に面白く聞いていただきたいと、
一生懸命に頑張っておりました。
視点が他とは違って、北海道の歴史的な住宅形式というようなもので、
平安時代からさかのぼって現代に来て、っていうものです。
まぁ、住宅デザイン・性能に興味を持っていただくのがテーマ。

で、こういうセミナーを終えて、
2日間にわたった展示会出席を終了し、
会場で、あるメーカーさんと仕事段取りの打合せを終え、
マンションリフォームの件の段取り仕事を片付け、
今度は、たびたび触れている「北海道R住宅」の事業者協議会発足会議。
主催者側席に座らされて、ちょっぴり緊張感。
いよいよ、国に対して長期優良住宅の応募申請を行う
最終的な段階の会議です。
結果としては、総数73社の参加が得られ、
初めての取り組みとしては、かなり画期的なものになりました。
たぶん、全国的にも住宅リフォームでこんなにオープンな
社会制度設計を試みている事業構築はきわめて稀有なもの。
応募内容はかなり限定を受けざるを得ないものなのですが、
それにしても、「既存住宅の性能向上・流通促進」という社会的な大問題に
勇気を持って解決方法を探ったものなのです。
知事の高橋さんはこういうことに対して
どのような考え方を持っているか、不明なのですが、
現場的に取り組んできたメンバーからすると、
まさに日本全体の中でも、最先端的な取り組みを社会に生み出してきた、
という思いを持っています。
北海道が、住宅について試行錯誤してきた積み重ねの中で、
こういう制度の創設にまでこぎ着けつつある、ということは
大変、誇らしいことだと考えています。
まずは、なんとか離陸は出来て、
国の判断を仰ぎ、事業としての成功を図っていきたいと考えます。

さてその後、同じ会場で引き続いて、昨年からの流れでの
「北方型ECO」の事業者組織設立総会が行われました。
昨年の大成功を受けて、今回からは事業主体をなるべく民間に移管させようと
考えながら進めているものです。
こちらは昨年の成功事例があるので、一気に参加事業者数が微増以上の180社弱。
広い会場が埋め尽くされて、この事業への
地域工務店の参加意欲の高さがはっきりと見て取れました。
参加した全道のビルダーさんたちも長時間会議(両方で4時間超)で
さすがに終わりの方は、やや会場全体おつかれムード(笑)。

ってことでしたが、
なお、会社に戻って今度は営業会議が待っておりまして、
こちらも約1時間半。
さすがに精根尽きた感じで、疲れが襲ってまいりました次第(笑)。
あしたは建築家セミナーがあるのですが、
先週今週と、まったく準備集客などの活動が出来ていない状態。
今日一日で、なんとか準備を整えていきたいと考えています。
頑張るぞ!っと、いうところであります。ふ~~。



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建材店の展示会

2009年03月12日 06時40分35秒 | Weblog



きのうは初めて建材店・キムラさんの展示会というものに参加。
わたし自身のミニセミナーのようなものをやっていたのですが、
事前に打ち合わせはしていなかったので、
実際に行ってみると、かなり印象が違う展開。
かなり主催者側も忙しいと見えて、
プロジェクターの設置から、会場設営みたいなことも手作りで(笑)。
ということでしたが、まぁ、そこはなんとかクリア。
無事にプレゼンは終わらせることが出来ました。

その後は、建築関係の知人のみなさんがたくさん来たり、
来客のみなさんが引きも切らずに来られて、
時間があっという間に過ぎていく印象でした。
普段、これだけたくさんの人に会うことは
なかなか出来ないことなので、そういう意味では大変有意義。
北海道東北、東京など、
来場されるみなさんも全国各地域なので、
東北版でお世話になっている人も多く来ていただけた次第。
住宅雑誌として、こういう展示会に出展することに
あまりピンと来なかったのですが、
実際に出店してみると、たくさんの収穫がありました。
感謝の思い、しきり、というところ。
ある建材商社の方とは、ビジネス的な折衝まで浮かび上がって
すっかり意気投合したりしておりました。
ことしReplanでは実際の住宅建築プロセスに関与する活動を始めているので、
そういう意味で、建材の動向というものに
リアリティが出てきて、提案などのやりとりが具体的になっています。
こんど、ある建築現場を事例として利用して、
実験的な取り組みを行ってみようと考えた次第です。
より具体化したら、そのうち、ここで宣伝するかも知れません(笑)。

写真に使ったのは、ポリカーボネイトの断面模型。
先日の東京での建築建材展でも見かけたものですが、
札幌の会場でも出展しておりました。
ポリカーボネイト建材って、比較的初期から北海道の建築家グループが使い始め、
「北海道でも大丈夫なんだから」ということで、
全国的なブームに育っていった、という記憶があります。
ガルバリウム鋼板も似たような経緯があったと思います。
札幌がテストマーケティングの市場として利用される、ということがありますが、
建築材料の世界でも言えているのですね。
新しもの好き、っていうような北海道人気質(笑)なのでしょうか。

さて、本日もここでミニセミナーを行って、
その後、長期優良住宅の北海道の提案グループの総会が行われます。
リフォームの方の「北海道R住宅」は、提案主体者側なので
責任もある立場。なんとか初めての取り組みが成功するように
一生懸命取り組みたいと考えています。



北のくらしデザインセンター
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