昨日、8月24日に塔短歌会主催の「現代短歌シンポジウム」に参加しました。作家の高橋源一郎氏の講演は過去の人々が書き残した言葉に耳を傾けて、今度は自分が何かを足して次世代に渡さなければいけないと言われた。
小島ゆかりさんと吉川宏志さんは各10首ほどの歌を資料として「古典和歌の生命力」と題して対談をされた。そのなかで印象に残ったのは河野裕子さんの若山牧水賞を受賞した歌集『歩く』の中の歌は、
さびしさよこの世のほかの世を知らず夜の駅舎の雪を見てをり
河野裕子
牧水賞の選考委員だった大岡信氏は「この世でないほかの世を見たことのある人だけが詠める歌だ」と評された。この頃、裕子さんは乳癌と闘って常に死を意識されていた。
閉会挨拶でご主人の永田和宏氏は大岡氏のように歌の読める人に会えて幸いだったと言われて、我々、言葉に携わる者として歌を詠むことはもちろん歌を読める人にならなければいけないと結ばれた。