リコの文芸サロン

文化、芸術、手芸など人生を豊かにする情報発信ブログを始めました。より良いブログに育てるためにコメントなどお寄せください。

宮中歌会始の儀③

2021-12-29 | 短歌

平成31年1月 平成最後の歌会始の儀(正殿松の間)

平成年間の歌会始の儀の全歌集
『宮中歌会始の全歌集』厚さ2cm(235頁)
東京書籍 2019年4月19日発行

平成31年 歌会始 お題「光」
御製
贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に

皇后宮御歌
今しばし生きなむと思ふ寂光に園の薔薇(そうび)のみな美しく


214頁に「平成の歌会始預選歌を読む」・・・三枝昂之
歌会始は1時間15分程の儀式ですが終了後にも行事が続き、最後に選者と預選者10人との懇談会が行われます。その席で十人は自分の歌の背景を説明し、選者は各作品の優れたところを評します。
 短歌は暮しにもっとも近い文芸ですから作者の来し方や夢や抱負などを託すに最適な詩型、詠進歌にも平成の世の暮らしぶりや祈りや夢がこめられています。主題ごとに見ていくことにしましょう。
震災の歌、仕事の歌、暮らしの歌、戦争と暮し、社会、季節、風景、と解説が続き、
224頁の「表現の工夫」を抜粋します。
魅力的な歌にはキラリと光る一点がある。そんな特徴を待った歌を紹介しましょう。
草はらに生れしばかり仔馬立ち母より低き世界を見てゐる 高野伊津子
13年「草」
手話交はす少女二人が図書館車に紋白蝶と歩みくるなり  森元英子
17年「歩み」
ぎりぎりに光落とせる会場にボストン帰りの春信を観る  瀬戸口真澄
31年「光」

 高野さんは生まれたばかりの仔馬の視野を「母より低き世界」と捉えたところに工夫があり、森元さんは二人が蝶と一緒に歩んでくるとも読めますが、手話の手の動きを「紋白蝶」と見たと読みたいと思います。そこに明るさが生きています。瀬戸口さんはぎりぎりに落とした光が絵画展の現場を生かし、なぜ江戸の浮世絵師の作品がボストン帰りなのか、曰くありげな物語も示唆しています。春信は鈴木春信です。

以下、海外、青春と227頁まで続きます。


★平成24年に入選された大石悦子さんによれば宮中歌会始の儀のスケジュールも宮内庁より送られてくるそうです。
1、9時30分までに到着(各種説明)
2、歌会始の儀
3、天皇皇后両陛下との一問一答
4、記念品の賜与
5、預選者の記念撮影
6、報道関係者との記者会見
7、預選者と宮内庁職員との食事会
8、選者、歌会始委員会委員との懇談
9、賜物、賜饌御礼の記帳


来年・令和4年1月18日に皇居・宮殿で行われる「歌会始の儀」はNHKで生放送されます。

皆様の励ましで楽しく続けていますブログも今年最後のブログアップとなります。

来年も「リコの文芸サロン」を宜しくご支援下さい。
良いお年をお迎え下さい。


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宮中歌会始の儀②

2021-12-27 | 短歌
令和3年の入選者の東京の川坂浩代さんの他にリコの属している「あけび歌会」の会員さんの京都市の大石悦子さんも平成24年(2012年)の歌会始の儀で入選されました。

お題「岸」
とび石の亀の甲羅を踏みわたる対岸にながく夫を待たせて

京阪電車の終点の出町柳駅の、前の鴨川の中に置いてある飛び石のことです。







リコはまだこの時はあけび歌会に入会してなかったので入選時の会員さんの歓の様子は知りませんでした。

大石悦子さんが
「歌会始体験記」を月刊のあけび誌に書かれました。

平成24年3月号から抜粋します。
❴今年の歌会始の儀は1月12日、正殿松の間において、「岸」のお題で執り行われました。この「岸」のお題は図らずも東日本大震災の情景と重なって、感慨深いものとなりました。思いもかけず予選者として出席することになった体験を、今一度辿ってみたいと思います。

昨年12月6日に、宮内庁から最終候補に残っていると報告があり、12月12日に預選者決定通知を受けました。そして、マスコミ発表は12月26日になされました。
その期間は怒涛のような日々で、喜びよりも戸惑いの方が強かったと思います。
歌会始はかなりの重圧でした。
マスコミの電話取材、自宅でのインタビューや撮影と、馴れないことの連続で、神経を使う事が多かったからです。想うことを伝える難しさも、また学びました。ただ、記者の方々には、根気良く話を引き出して頂き、有り難く思っています。
(中略)
天皇、皇后両陛下には、自己紹介の後、歌の背景や想いをお伝えしました。鴨川には、対岸に渡る亀の飛び石があること。先に渡った夫の姿を見て、待っていてくれる人がいる幸せと同時に、対岸で待つ行為に、死者と生者の関係性も重なり、しみじみとした感情が湧いたと申し上げると、大変共感して頂きました。
 選者懇談会では、亀の「甲羅」まで詠んだ具体性が良い、対岸の扱い方が個性的である、下の句の表現がなかなか手足れであるとの、評を受けました。
(後略)❵

★リコの補足説明
 あけび歌会関係者からは召人として三師が皇居に参内されました。 
☆昭和39年「紙」あけび歌会創始者の花田比露思•主幹。
ふるさとの清き流れに今もかも翁はひとり紙漉(す)くらむか

☆昭和41年「声」、清水比庵
ほのぼのとむらさきにほふ朝ぼらけうぐひすの声山よりきこゆ
 
☆平成19「月」、大津留温•主幹
天の原かがやき渡るこの月を異郷にひとり君見つらむか

会員さんは3名が入選しています。
☆昭和61年「水」、横山隆
源へ黄河辿りし調査隊水誕生の青きを捉ふ

☆平成24年「岸」、大石悦子
とび石の亀の甲羅を踏みわたる対岸にながく夫を待たせて

 この年の歌会始の儀の平成24年は(2012年)2011年3月11日の東日本大震災の翌年になります。
大石さんは川岸で対岸のご主人と向き会われた時に震災の犠牲者に思いを馳せられたのでしょう。

☆令和4年「窓」、川坂浩代
来年、1月18日の皇居の歌会始の儀で披講されます。

大石悦子さんの「岸」の詠進歌にはこんなに深い思いがあったとは知りませんでした。
つくづく良い歌を私も詠みたいと思います。



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宮中歌会始の儀

2021-12-25 | 短歌
❝嬉しいお知らせ❞
リコの属している「あけび歌会」の会員さんの川坂浩代さん(54)が来年の1月18日に皇居•宮殿で行われる「歌会始の儀」の入賞者10名の中に入られました。
NHKで1月18日の10時から中継予定ですので皆様、どうぞご覧下さい。

正殿•松の間の歌会始の儀

お題は「窓」で海外からの作品も含め13830首の中から10名が選ばれました。

 皇居で開催される「歌会始」のお題に合わせてお菓子も作製されます。
4店舗のお菓子を紹介します。


老松


鈴懸


両口屋是清


とらや





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優しい眼差し

2021-12-24 | 奇貨譚

「O Holy Night」を聞いて下さい。

 2年も続くコロナパンデミックとここ数日の悲しい、つらい訃報に言葉を失う。

常に気に留めて下さい。
あなたの心に「優しい心」が有るか。
差し出された手、
注がれる優しい眼差し、
優しい言葉の響き、

八十路の夫は優しさを行動で示してくれます。
5歳のミー姫は「優しい心」を招いてくれる招き猫です。

••新しく輝く年を迎える為に••





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早すぎる•さよなら

2021-12-22 | 日々彩彩
上の英語を、クリックしてし少し下に下がると曲が聞けます。

「Time to say goodbye」
4人組のボーカルグループのイル・ディーヴォのリーダーのカルロス•マリン氏が新型コロナウィルスに感染してイギリスの病院で亡くなりました。

右端がカルロスさん、享年53。
コロナウイルスが蔓延して2年近くになりますのに治療法は無かったかと残念です。
リコは左端のアメリカ人のデイヴィッド•ミラーさんが好きで3回公演を見ました。
Tシャツ、CD、クリアファイルなど買い込みました。

★神田沙也加さんの早すぎる逝去。
哀しくて言葉も有りません。
父の手に骨箱、母の手に位牌。
神田正輝さんと松田聖子さんがマスコミの前に出て来られ、挨拶をされました。



神田さんは「そっとして置いてください」 
聖子さんは「皆さん寒い中、申し訳わけありません。ありがとうございました」と、挨拶された。
お二人の涙をこらえた姿に心が痛みます。

沙也加さんの歌声が日に何度も蘇ります。
心からご冥福をお祈りします。 


リコの姉は56歳で2003年に、病気で亡くなりましたが、母は77歳で1人暮らしに成りました。(父は姉の亡くなる2年前に亡くなったので)
月に1度実家に帰った時の母の寂しげな日々を思い出し、哀しみが蘇ります。6年後に母は姉の七回忌を、済ませてから亡くなりました。
姉は母の宝ものでした。

★大阪•北新地の放火殺人で25名の方が殺されました。
谷本盛雄容疑者(61歳)は10年前に別居している長男を道連れ心中に刺して重症を負わせ、4年半の実刑判決を受けたばかりです。
今回も道連れ心中を計画し25名もの人を道連れにしました。
神も仏もないものがと思いました。
皆さまのご冥福をお祈りします。

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