ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

壊れやすいもの

2019-03-04 21:48:21 | 読書
ニール・ゲイマン『壊れやすいもの』





 色鮮やかな蝶が円状に並び、中央に、英語と日本語のタイトルと著者名。

 英語の書体は特徴的だが、青色の日本語の方がすっと目に飛び込んでくる。

 清潔で、とてもきれいな表紙。

 背も印象的で、縦に置くと日本語の本、横にすると英語の本のようだ。

 本を手に取ると、厚さのわりには軽い。

 小口に塗られた青いインクは、パラパラめくってみると、ところどころにじみが見える。

 その手作りを思わせる感じが、なぜか無性に読書欲を刺激する。


 31編の小説と詩が並び、どれも雰囲気が似ているようで違う。

 次はどんな世界が広がっていくのか、見当がつかない。

 ただ、すべてがとっつきやすいものではないので、文章の波にもまれ、想像がうまくできないこともある。

 そうなったら、考えすぎてはだめだ。

 自由に流れに身をまかせ、雰囲気を楽しむのだ。

 あるいは、何年後かに読み返すことで、鮮明にイメージが広がるのを期待するのだ。

 それまで、ずっと手元に置きたいと思わせるに十分なつくり。


 装丁は鈴木久美氏(角川書店装丁室)。(2015)