ルイ・ズィンク『待ちながら』
アントニオ・タブッキの『島とクジラと女をめぐる断片』を読んでいて、舞台のアソーレス諸島に、一度行ったことがあるような不思議な既視感を覚えた。
ポルトガルに行ったことはない。
後日、ポルトガルを特集した雑誌を眺めていて、それがルイ・ズィンクの『待ちながら』の影響だったのだと気づいた。
何年も前に読んで、かすかな記憶が残っていた。
でも大半を忘れていたので、もう一度読んでみた。
とても美しい本。
140ページほどの、薄いハードカバー。
表紙はクリーム色。
入り江のように、細長く写真が入っていて、白壁に赤い屋根の家々が写っている。
帯は綺麗な青。
全体に港、海を意識させる作り。
かつて捕鯨がさかんに行われていたアソーレス諸島へ、ジャーナリストを名乗る男が訪れる。
まだ捕鯨をやっているのか、あちこちで聞いて回り、やっとトロール船に乗船させてもらう。
そして昔ながらの捕鯨を目の当たりにする。
この男の皮肉屋な口調に、最初のうちはイラっとさせられる。
けれども、周りの人間に翻弄される姿を見ていると、口ほどでもないなとおかしくなる。
捕鯨の描写は、『島とクジラと女をめぐる断片』の方が素晴らしい。(2019)
アントニオ・タブッキの『島とクジラと女をめぐる断片』を読んでいて、舞台のアソーレス諸島に、一度行ったことがあるような不思議な既視感を覚えた。
ポルトガルに行ったことはない。
後日、ポルトガルを特集した雑誌を眺めていて、それがルイ・ズィンクの『待ちながら』の影響だったのだと気づいた。
何年も前に読んで、かすかな記憶が残っていた。
でも大半を忘れていたので、もう一度読んでみた。
とても美しい本。
140ページほどの、薄いハードカバー。
表紙はクリーム色。
入り江のように、細長く写真が入っていて、白壁に赤い屋根の家々が写っている。
帯は綺麗な青。
全体に港、海を意識させる作り。
かつて捕鯨がさかんに行われていたアソーレス諸島へ、ジャーナリストを名乗る男が訪れる。
まだ捕鯨をやっているのか、あちこちで聞いて回り、やっとトロール船に乗船させてもらう。
そして昔ながらの捕鯨を目の当たりにする。
この男の皮肉屋な口調に、最初のうちはイラっとさせられる。
けれども、周りの人間に翻弄される姿を見ていると、口ほどでもないなとおかしくなる。
捕鯨の描写は、『島とクジラと女をめぐる断片』の方が素晴らしい。(2019)