ロバート・L・スティーヴンソン『宝島』
スティーヴンソンの『宝島』を久しぶりに読もうと思った。
書店で探すと、新潮文庫、光文社古典新訳文庫、岩波文庫などから出ている。
冒頭を読むと、翻訳の微妙な違いがわかる。
しかし、決め手となったのは、カバーの良さ。
冒険心を刺激された新潮文庫を購入した。
波しぶきを上げて進む帆船と、古いコンパスのイラスト。
ほぼ中央に赤い帯が引かれ、英語のタイトルが白抜きで入っている。
子どもが好きな、昔々の冒険譚の世界。
主な語り手は少年(のちに大人になり、少年時代を振り返っている)なので、大人に降りかかる災難が、頭の上を通り過ぎていくこともある。
それゆえ、物語の中をすいすいと進んでいくようだ。
海賊が埋めた宝を探しにいく物語。
途中から、反乱を起こした乗組員たちとの戦いが話の中心になっていく。
そのボスである元海賊、一本足の船乗りは、ときに好感を抱いてしまうほど人心掌握に優れた人物。
しかし、抜け目なく、不意に残虐な面を見せたりと、複雑な面白さを持っている。
この小説、子どもだけに読ませておいてはもったいない。(2019)