ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

甘い道草

2021-11-17 17:09:09 | 読書
 梶山季之『甘い道草』




 裸の女性が、裸の男性の上に堂々と腰掛けている絵に注意がいく。

 古書店で手に取ったとき、表紙の絵から、ポルノっぽい小説なのかと想像した。

 昭和47年発行の本。


 毛皮宝飾店で働く京子は、客を観察し、確実に売る技術を身につけている。

 彼女が店にいるとき、5万ドルのエメラルドが紛失した。

 同僚の鞄から、エメラルドが入っていた函だけが見つかるのだが、京子は女社長の道楽息子である常務が怪しいと感じている。

 京子は、弟を大学に進学させ、職場の寮を出て二人で住みたいと思っているが、先立つものがない。

 クラブでアルバイトをし、店の客に毛皮宝飾店の社販で買った毛皮を売ろうとして騙されてしまう。

 窮地に陥った彼女に手を差し伸べてくれたのは、ホテルの経営者でもある、親友の父親だった。

 彼には風変わりな性癖があって、援助する代わりに京子にある要求をする。

 
 紛失したエメラルドを探す、ちょっとエッチなミステリー。

 読後感が爽やかだ。


 のちに『蜜の味の復讐』と改題、電子版で読めるようだ。


 挿画と装丁は宇野亜喜良氏。(2021)