王谷晶『ババヤガの夜』
滅茶苦茶に強い女!
このとき想像するのは綺麗な女性。
でも闘っていないときには可愛いツヨカワな人。
この発想が、ありきたりな映像作品の影響を受けていることはわかっていた。
ぼくのそんな短絡的で未熟な部分を、この小説は激しく突いてくる。
読みながらカバーのイラストを見て気づいていたのだ。
握った拳がデカくゴツい。
強いことと美醜は関係ないのだと。
ぼくはひ弱な人間なので、腕力の強さに憧れを抱く。
でもそれは地道な鍛錬を重ねた武人であったり、素人には手をあげない格闘家に対してだ。
根っから暴力が好きな女性、しかも美人ではない。
こんな主人公を好きになれるのか。
それが。
折れない心、でも一瞬見せる弱気。
格闘シーンに惚れるが、それだけではない仕掛けにも感嘆する。
装画は寺田克也氏、装丁は山影麻奈氏。(2024)
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