ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

日が沈むのを

2018-10-23 18:48:58 | 読書
野呂邦暢『日が沈むのを』





 野呂邦暢小説集成2。

 1巻目と表紙の印象が似ているが、よく見ると少し違う。

 絵が異なるだけでなく、刷り色も微妙に違う。

 どちらも特色を2色だけ使っていて、その組み合わせが同じではないのだ。

 カバーの紙は薄く、丁寧に扱わないと破いてしまいそうだ。

 野呂邦暢の文章に似て繊細な本。


 本文の行間がわりと広い。

 同じ判型のほかの本より、1ページの行数が5行くらい少ない。

 総ページ数が600に近い厚い本。

 行間を詰めて薄くせず、この厚さを保つようにしたのかもしれない。

 馴れないと、この行間の白地に目がいってしまい、読書の呼吸が乱れる。

 でも、ときにこの間に意味があるように感じる文章がある。


「今なにをして生活しているんだ」

「あそんでいます」

「ひとり」

「ええ」
 (『日常』から抜粋)


 会話の間に、表情の変化があり、身体の動きも想像される。

 野呂邦暢を読む楽しさの、ひとつかもしれない。(2018)




2巻めを示すのは、帯の片隅にある「2」だけ
カバーと表紙にはない




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 傍迷惑な人々 | トップ | キャッチ=22 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事