ライリー・セイガー『すべてのドアを鎖せ』
鳥籠に似たエレベーターは、内側の格子扉を手動で閉める。
床には赤い絨毯、天井は金箔、壁はオーク材。
このエレベーターに女性が乗り込むシーンから、小説は始まる。
歴史のある高級アパートメント。
失業中の女性は、空室になっている部屋に住むだけで大金がもらえる仕事に応募してきた。
案内されて入った部屋は、セントラルパークを見下ろす最上階。
こんな素敵な場所に住めるなんて、夢ではないのか。
きっとこれは悪夢の始まりだ。
帯の背に「この建物は、何かがおかしい」とあるのだから。
ここに取り憑いているのは悪霊かゾンビか、それとも殺人鬼か。
サスペンスは導入部分が楽しい。
大都会の真ん中にあるのに、時間が止まったような古くて閉鎖的な建物。
犯人(?)がわかるまでは、ここ(小説)から逃げ出すわけにはいかない。
こんなことがあったら怖い。
でも本当にありそうで怖い。
装丁は大岡喜直氏(next door design)。(2021)
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