ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

生き残る判断 生き残れない行動

2019-03-08 18:47:07 | 読書
アマンダ・リプリー『生き残る判断 生き残れない行動』





 書店の平台で見かけた文庫本。

 不思議な存在感で、思わず手に取った。

 表紙の周囲は太めの白縁で、中に薄い色の写真、その上に左右いっぱいに白い文字が並んでいる。

 よく見ると、埃まみれになった男性の写真。

 近くでタイトル、サブタイトルを見ると、意外と読みにくい。

 腕を伸ばして、1メートルくらい離すと、文字がくっきり浮かび上がる。まるで老眼になったようだ。

 長いタイトルの上に、さらに長いサブタイトル。

 「災害・テロ・事故、極限状況下で心と体に何が起こるのか」

 これを読むだけで内容がわかってしまう。

 で、何が起こるのか? 気になってしかたがない。

 自分は死なないとか、不測の事態に巻き込まれてもなんとかなる、なんて根拠のない自信は、この本を読むとあっさり崩れてしまう。

 諦めと絶望。

 でも一方で、準備の必要性を理解するようになる。

 カバーデザインは水戸部功氏。(2019)




壊れやすいもの

2019-03-04 21:48:21 | 読書
ニール・ゲイマン『壊れやすいもの』





 色鮮やかな蝶が円状に並び、中央に、英語と日本語のタイトルと著者名。

 英語の書体は特徴的だが、青色の日本語の方がすっと目に飛び込んでくる。

 清潔で、とてもきれいな表紙。

 背も印象的で、縦に置くと日本語の本、横にすると英語の本のようだ。

 本を手に取ると、厚さのわりには軽い。

 小口に塗られた青いインクは、パラパラめくってみると、ところどころにじみが見える。

 その手作りを思わせる感じが、なぜか無性に読書欲を刺激する。


 31編の小説と詩が並び、どれも雰囲気が似ているようで違う。

 次はどんな世界が広がっていくのか、見当がつかない。

 ただ、すべてがとっつきやすいものではないので、文章の波にもまれ、想像がうまくできないこともある。

 そうなったら、考えすぎてはだめだ。

 自由に流れに身をまかせ、雰囲気を楽しむのだ。

 あるいは、何年後かに読み返すことで、鮮明にイメージが広がるのを期待するのだ。

 それまで、ずっと手元に置きたいと思わせるに十分なつくり。


 装丁は鈴木久美氏(角川書店装丁室)。(2015)