2021年7月16日 流れ星 「大竹メインディッシュ」
今からでも五輪中止の決断を
感染悪化、「バブル」破綻、世界への拡大――
志位委員長が主張
日本共産党の志位和夫委員長は15日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う4回目の緊急事態宣言発令後も状況は悪化しているとして、感染状況の悪化、「バブル(泡)方式」の破綻、世界に感染拡大をもたらす危険の3点を挙げ、「今からでも五輪の中止を決断すべきだ」と強く主張しました。
無法の根本に焦燥感
志位氏は、酒類提供を続ける飲食店に政府が金融機関や酒類販売事業者を通じて圧力をかける方針を決めていた事態に言及し、「撤回ですむ問題ではない。特措法にも根拠がなく、独禁法も憲法22条も無視する暴挙であり、許されるものではない」と批判し、責任者の西村康稔経済再生担当相の辞任を強く求めた上で、「西村大臣一人の問題でなく、内閣全体の問題だ」と指摘。関係閣僚会議で事実上の了承を与えた菅義偉首相の責任は重大だとして、「国会に出席し事実経過と責任の所在を明らかにすべきだ」と要求しました。
そのうえで、「政府が無法な強権に走った根本には、感染拡大を抑止できないことへの焦燥感があった」と指摘。感染拡大が抑えられない最大の原因は五輪開催への固執だとして、「一方で国民に“自粛”を求めながら、他方では(五輪という)世界最大のお祭りをやることほど、はなはだしい矛盾はない。これでは国民の感染抑止への協力を得ることはできない。現に緊急事態宣言発令後も人流は減っていない」と批判しました。
五輪はいよいよ深刻な矛盾
志位氏は、五輪開催がいよいよ深刻な矛盾に陥っていることを3点にわたって指摘しました。
第1は、感染状況が極めて悪くなっていることです。志位氏は、東京都内の14日の新規感染者が1149人に達し、厚生労働省の専門家組織・「アドバイザリーボード」も同日、デルタ株への置き換わりなどが進み、「感染拡大の速度はさらに加速する」との資料を出したことを指摘。「感染拡大が加速する途上での五輪開催は、国民の命を文字通りギャンブルにかける無責任のきわみだ。絶対に許されない」と強調しました。
第2は、五輪関係者からの感染を防止する「バブル(泡)方式」の破綻です。大会関係者が外出する際、帯同するはずの大会組織委員会の監督者が付き添っていないなど「プレーブック」が守られていないこと、大会関係者を輸送するバスやタクシーの運転手が感染から守られておらず、強い批判があがっていることなどをあげ、「すでにバブルは破綻している」と強調しました。
第3は、五輪が世界に感染拡大をもたらす危険性です。志位氏は、世界看護師連盟が9日に菅首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長あてに送付した五輪の中止・延期を強く求める書簡の記述に言及しました。さらに、ワクチンの全予防接種の85%が高・中所得国で実施され、低所得国は0・3%にすぎない「ワクチンの格差」が世界の大問題になっており、「もし五輪が開催されれば、必然的に低所得国で、大会帰りの人を起因とした死亡・入院・感染の数が突出して多くなり、ただでさえ大きい富裕国と低所得国の間の格差をさらに悪化させる危険性がある」と指摘されていると強調。「東京五輪が震源地となって世界中にウイルスを広げる危険がある。とくにその被害を深刻な形で被るのは発展途上国だ」と警告しました。
志位氏は「この3点を考慮しても、今からでもオリンピックの中止を決断すべきだ。それを強く求めたい」と主張しました。
- 今からでも五輪中止の決断を/感染悪化、「バブル」破綻、世界への拡大――/志位委員長が主張
- 国民の協力 政権自ら崩す/支援金で酒販に圧力 田村氏が追及/参院内閣委
- 五輪中止署名45万人提出/政府・都・組織委などに宇都宮弁護士
- 「黒い雨」訴訟 人道的で画期的な判決/志位氏 上告断念求める
- 一つの党名で活動してきた意義/党創立99周年 志位氏が語る
- キャンセル 損失補償を/ワクチン接種 田村智子氏、国に求める/参院内閣委
- 論戦ハイライト/一時支援金「不備ループ」/申請あきらめさせる対応/参院内閣委 田村氏が改善迫る
- 日曜版18日号/五輪中止の決断こそコロナ対策/専門家が答えるワクチン接種Q&A
- 災害救援募金訴え 党京都府議団/五輪より命が大事 一緒に声上げよう
- ワクチン 国の責任/沖縄県政与党 デニー知事に要請
- コンテナ落下に抗議/党沖縄県委 米軍訓練禁止を要請
- 五輪中止決断せよ/全労連が表明 最賃地域格差解消を/「総選挙で政権交代」
- 「黒い雨」広島高裁判決/上告せず救済を/被団協など 厚労相に要求
- EU、温室ガスゼロ包括案/35年にガソリン車販売禁止 30年までに再生エネ40%に/“次世代への使命”
- 新型出生前検査 全妊婦に情報提供へ/命の選別 拭えぬ懸念
- 五輪バス乗務員守れ/共産党が都に処遇改善要求
★いよいよ東京オリンピック・パラリンピック開幕まで1週間となった。ところが東京の感染者数は増え続けており、第5波の始まりではないかとの懸念が広がる。五輪開催を1年延期して、協力してきた国民の努力はあまり報われていない。それどころか13日には国税庁の東京・霞が関で課税部に所属する20代から40代の男女7人の職員が新型コロナウイルスに感染したと発表した。いずれも送別会などでの飲食だという。国税庁の場合は7人の感染が確認されたから公表したが、クラスターになっていなければ今や霞が関では公表すらしない。
★公務員の皆さんは国民にいろいろ“お願い”なのか、強制しているのかわからないが、昨年4月の異動期にはあいさつ回りは全省庁で自粛されたが、この7月の異動期は当たり前のようにあちこちであいさつ回りや送別会が開かれている。人流を率先して減らすべきなのに霞が関はこんなところでも特権意識が働くのだろうか。それとも政治家の皆さんが自由に行動されているのを見て、政治家に準ずるとでもお考えになったのか。確かに宏池会の新型コロナウイルス感染者は6人に上り、当然、感染者の出た部屋は閉じられたり、秘書たちが濃厚接触者となっているために出勤していない部屋もある。議員会館の同じフロアのトイレなどは消毒が施され「14日あたりは物々しい雰囲気」(同じフロアの秘書)だったという。
★この間、政府のコロナ対策を批判してきた立憲民主党だが、ご多分に漏れず党本部役員室からも感染者。立憲関係者が言う。「役員室は議員も職員も週1回PCR検査を行っている。外に出かけることや会議が多いなどの理由だが、リスクを考えればそれくらいの対策は当然だ。それでも感染するという重みを感じてほしい」と丁寧に説明する。それに引き換え政府の楽観主義は五輪後、どんな結果になっているだろうか。(K)※敬称略