小さく砕き強毒性ボンドで固定― サンゴ破壊
辺野古 米軍新基地 政府が行う移植の実態
接着剤で固定されたサンゴ片が海底に広がっています。米軍新基地建設(沖縄県名護市辺野古)に向けた埋め立てのため政府(沖縄防衛局)が進める移植が事実上、サンゴの“大虐殺”であることが、ヘリ基地反対協議会が撮影した写真や動画から分かりました。
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今月10日、撮影された写真や動画には痛々しいサンゴの数々が―。
岩場に自生していたサンゴが小さく砕かれ、買い物かごに無造作に積まれています。作業員が植えやすいよう、さらに削っていました。一連の作業は、大浦湾側の「I」地区から辺野古側の「S5」地区への移植で、I地区からの移植後、防衛局は27日から直ちにN2護岸の建設に着手しました。
割ったサンゴを移植先の海底にくっつけるためにコンクリートの補修に使う水中ボンドを使用。作業員が手作業で丸めると、海が白く濁りました。
ボンドの安全性についてメーカーは「長期的影響により水生生物に非常に強い毒性」と説明。製造担当者に聞くと「海底トンネルや港湾補修に使うもので、サンゴ移植に使っている話は初めて聞いた」と驚いていました。
サンゴ移植は、このような乱暴な手法で行われており、技術が確立されていません。
水産庁の「サンゴ増殖の手引き」(2019年)も移植後4年の生残率を「20%以下」と記載。今、防衛局が移植を進めているのは、3万9590群体ですが、その大半が死滅する恐れがあります。実際、沖縄防衛局が埋め立て海域南側の浅瀬から移植した絶滅危惧種オキナワハマサンゴが、21年3月時点で9群体中5群体が死滅。さらに、移植先に自生する同サンゴ12群体中6群体も死ぬなど、移植先の環境破壊も懸念されます。
ヘリ基地反対協の抗議船船長で水中写真家の牧志治さん(71)は「サンゴをたたき割って移植し、移植先に自生するサンゴなどの自然までかく乱する。これが環境保全か。まぎれもない大規模な環境破壊だ」と語っています。
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