ベーシックインカム//導入されたらどうなるの?実現可能性は?〜コーヒーブレイクしながらわかる
アフガニスタンで中国がタリバンに接近している。中国の王毅外相兼国務委員は8月19日、「国際社会は圧力をかけるのではなく、前向きな方向に導くべき」とタリバンの政権移行を支援すべきだと表明した。中国がタリバンを承認しない米国と競合する背景には、米中対立の中で地政学的に米国とせめぎ合い、またアフガニスタンで活動する中国の反体制派のウイグルの武装集団に関する情報を収集することのほかに、アフガニスタンの鉱物資源を獲得したいという思惑があることは間違いない。
■鉄、銅、リチウム、コバルト、レアアースなど鉱物資源が豊富
2010年に米軍の専門家や地質学者は、アフガニスタンには1兆ドル相当(約107兆円)の鉱物資源が眠っていると見積もった。それらの鉱物資源とは、鉄、銅、リチウム、コバルト、レアアースなどだ。さらに、2017年になると、アフガニスタン政府はその地下資源を化石燃料も含めて3兆ドル(約320兆円)と見積もった。リチウムは、電気自動車、スマートフォン、ラップトップのバッテリーに使われるが、需要は年率で20%増加している。アフガニスタンのリチウム埋蔵量は世界最大の生産国であるボリビアにも匹敵するとも言われている。
バイデン政権はアフガン撤兵でこれらの膨大な価値があるリチウム資源を中国の共産主義者の手に売り渡したという論調も「ニューズウィーク」に現れた(8月18日電子版)。
■世界2位の規模を誇るアイナク銅山
また、カブール南東40キロに位置するアイナク銅山は世界で2番目とも言われるほど規模が大きい(「ザ・タイムズ」8月18日電子版)。中国はこの有望な銅山に関する利権をタリバン政権との間でも維持したい意向だ。地理的に接するアフガニスタンの鉱物資源を獲得することは中国の「一帯一路」構想にもかなうものだが、他方、アフガニスタンにとってもアイナク銅山が年間25万トンの銅を産出すれば、毎年2億5000万ドル(約274億円)の利益を生み、4500人の直接雇用、また7600人の間接雇用をもたらすと期待されている(世界銀行調べ)。
■EVの普及で資源価格が世界的に上昇
電気自動車の乾電池など環境の改善に関す鉱物資源の価格は世界でうなぎのぼりと言ってよいほどの上昇を続けている。日本でも水道の蛇口の盗難が相次いでいるが、その背景には、蛇口に含まれる銅を抜きとることにあると考えられている。電気を通す銅は脱炭素の時代にますます有望な金属と見なされるようになった。
中国の自動車メーカー大手の間では、EV(電気自動車)の高級ブランドを立ち上げる動きが加速し、また小型EVの売れ行きも好調で、40万円台のEVが発売されて人気を集めるなど、テスラなど米国のEVブランドとの競合がますます意識されるようになった。
■米国は銅の6割をチリから輸入
米国は2030年までに新車販売の約半分を電動化したい意向で、EV分野でも中国や日本との競合が過熱していくことは予想される。米国は世界第5位の銅の産出国で、2020年の生産量は120万トンだった。中国は、それを上回る世界第3位で170万トンだった。アメリカ大陸にはチリという世界最大の銅の生産国があり、570万トンで世界ダントツ1位である。米国は近年自国で使用する銅の6割をチリから輸入し、03年から19年までの間に米国のチリからの銅の輸入は180%増加した。米国にとっては輸送コストがかかるアフガニスタンからの銅の輸入は視野に入れる必要はないと判断されたかもしれないが、他方、EVなど脱炭素分野で米国との競合を考える中国にとってアフガニスタンの銅は、今後経済成長を続ける上で欠くことができないとも考えられているに違いない。中国にとってアフガニスタンのリチウムや銅など地下資源は地理的な近接性もあって魅力があり、地政学ならぬ地経学(geo-economics)が、中国のアフガン政策を形成している印象もある。
経済的にも米国に対応し、覇権を手に入れたい中国は近隣諸国の資源をしゃにむに手に入れようとしていくことだろう。タリバンに対してはドイツが資金援助の打ち切りを表明し、ドイツのマース外相はタリバンがアフガニスタンを完全制圧という事態になれば1セントたりとも送らないと明言した。アフガニスタンは国家予算の75パーセント超が国際社会のドナー支援で賄われているのが現状で、こうした支援が滞ればタリバンはその政権維持も困難になる。日本も2001年以降、69億ドル(約7500億円)をアフガニスタン支援に拠出したが、米国の動向を見て、今後の支援を決定する方針だ。
タリバン政権で安定するかどうかは経済的恩恵をタリバンが国民に与えていけるかどうかもカギになることは言うまでもない。銅などの地下資源をめぐって中国と経済協力を行い、それによって経済発展を考えることはタリバンにとっても必要不可欠なことのように見える。
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1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。
「雨上がり」解散で吉本芸人と御用マスコミの宮迫博之バッシングが理不尽すぎる! 解散に追い込んだのは吉本上層部なのに
吉本を牛耳る松本人志が『ワイドナショー』でトドメ!?
これはもう、ほとんどいじめだろう。宮迫博之と蛍原徹のお笑いコンビ「雨上がり決死隊」が吉本興業のYouTubeチャンネルとABEMAで解散を報告する動画を配信して以降、ネットや芸能マスコミだけでなく、千原ジュニア、ナイナイ岡村隆史ら、吉本芸人から宮迫に非難が集中。宮迫は自分のYouTubeチャンネルで改めて解散に謝罪をし、当面の間、動画配信を休止することを宣言せざるを得ない状況に追い込まれた。
しかも、きょうの『ワイドナショー』では、吉本を牛耳る松本人志がトドメのように「宮迫は優先順位が違ってきた、ホトちゃんのほうを見ていない」「雨上がりというコンビはなくなりましたけど、ホトちゃんというピン芸人が生まれた」と発言。蛍原を持ち上げることで、宮迫を切り捨てた。
しかし、いったい今回、宮迫が何をしたというのか。言っておくが、例の闇営業問題から2年も経っているし、別に新たなスキャンダルを引き起こしたわけでもない。元相方の蛍原と本音と笑いを織り交ぜながら、解散を報告しただけだ。
今回、宮迫を批判している芸人が口を揃えているのが、解散報告動画での蛍原の言動から怒りが伝わってきた、この間の宮迫の身勝手さを再認識した、解散は全て宮迫に責任なのに、結局、きちんと謝らなかった、などというものだが、今頃になって何を言っているのか。
また、御用マスコミも、配信動画で蛍原が「YouTubeを始めた頃から、すれ違い始めた」と言っていたことから、「YouTubeが成功して天狗になって、蛍原をないがしろにした」などと書き立てているが、宮迫は吉本と決裂してテレビに出れなくなったから、YouTubeに活路を見出さざるをなくなっただけだ。
とにかく何から何まで意味不明な今回の宮迫叩きを見ていると、背景にもっと大きな力が働いているのではないかと勘ぐりたくなる。
周知のように、宮迫に対しては、今年2月、吉本興業のドン・大崎洋会長が「フライデー」の直撃取材に答え、「いや、もう(吉本に)戻らんでええと思うで。いちいちユーチューブでネタにすんなって話や。辞めてまで吉本のことネタにすんなよって」と怒りの発言。御用マスコミはこれに呼応するように一斉に宮迫叩きを展開した。
結局、これが号砲になって、蛍原が解散を決意。芸人と御用マスコミが今回の発表にあわせて宮迫バッシングを再燃させたということではないか。
「吉本芸人たちも、あの大崎会長の発言で、上層部が宮迫に本気で怒っていることを認識した。それで、忠誠を誓うために、今回改めて一斉に宮迫叩きに走ったという部分はあるでしょう」(スポーツ紙記者)
しかし、吉本の利益共同体によるこの理不尽な「宮迫叩き」「宮迫干し上げ」は今に始まったことではない。闇営業問題で、宮迫が吉本に反旗を翻した時点から始まっていた。